金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

情報機器も倹約の時代へ

2010年06月11日 | デジタル・インターネット

少し前にこのブログでAusterity(倹約・緊縮財政)という言葉が欧州の政治・経済の世界で流行しているということを書いた。この倹約という言葉は倹約と一番縁遠いと思われていた情報産業の世界にも広がりつつあるらしい。

エコノミスト誌はIn praise of techno-austerity(情報産業の倹約を賞賛)というタイトルでこの潮流に言及していた。

倹約というと身を縮める印象が強いがLess is more(「質素な方が気持ちが良い」「過ぎたるは及ばざるがごとし」)というともっとポジティブな響きを持つ。

エコノミスト誌の記事はこの背景として二つのことに言及している。一つはコンピュータのユーザが過剰なソフトウエアに煩わされて、ワードで文章を作るなどという本来の作業の効率が低下しているというような現象がある。もう一つは発展途上国で機能を絞り込んだネットブックのようなコンピュータが流行しそれが先進国でも普及し始めているハード面の現象だ。

1年ほど前私はある雑誌に「オーバースペック時代の終焉」という記事を書いた。オーバースペック=過剰仕様という言葉は和製英語なのだが、このような言葉ができることは日本の家電・自動車・カメラ・パソコン・携帯電話など工業製品が過剰仕様の塊であることの証拠だ。

また以前はパソコンの上でも特定目的のアプリケーションが氾濫していた。例えば年賀状作成ソフトもその例。私も昔買って今も年に一度お世話になるので悪口はいえないけれど、実はワードとエクセルがあれば不要なソフトである。つまりエクセルで住所録を作り、ワードの差込印刷機能を使えば簡単に年賀状の宛名印刷ができるからだ。また干支の図柄などもフリーであるいは僅かなコストで気の利いたものを入手することができる。

今後はこのような単一目的のソフトは廃れるのだろう。

エコノミスト誌の記事はFrugality is the mother of inventionと結んでいた。「倹約は発明の母」という意味である。これから暫くの間、国も企業も倹約の中に活路とビジネスチャンスを見いだす必要があるだろう。そして個人はその中に楽しみを見いだす必要がある。

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【イディオム・シリーズ】Relief rally

2010年06月11日 | 株式

Relief rallyという言葉はイディオムではないだろう。相場用語というべきなのだが、あれこれ分類するのも面倒なので便宜上イディオム・シリーズというタイトルをつけた。意味は「何らかの危険を脱することで起きる相場の急反発」という意味だ。

昨日ニューヨーク・ダウは中国の強い貿易統計など世界景気の改善を示す数字を好感して、273ドル(2.76%)上昇した。

この背景を分析したニューヨーク・タイムズに次の一文がでていた(一部変更)。

The markets were heavily oversold and there were bargains. There’s also the possibility some investors were short covering today, like a relief rally.

(株式)市場は大量に売られ過ぎていたので、割安株があった。また幾人かの投資家がリリーフ・ラリーのような空売りの買戻しに入った可能性がある。

先週金曜日の米国雇用統計を受けて米国株は大きく売り込まれたが、私は売られ過ぎだと見ている。また今週はメキシコ湾でオイル漏れを起こしているBPの株が大きく売り込まれたことにより相場が下げていたがこれもやや過剰反応だとみている。ショートカバーから相場が急反発した可能性が高いだろう。

だがRelief rallyはブル相場の本当のラリーとは違い持続しない。相場が持続的に上昇するには、雇用の改善をベースとした安定した消費の拡大が必要だ。

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