新作「のんきな奴ら2」
レイカの部屋では、アユメとレイカが
同じくオオシマから差し入れを受けた
デザートを食べながら、
くそたの話しで盛り上がっていた。
ヘヤドライヤーを忘れたアユメとヒトミが
レイカに借りに来て、
そのままちょっとした雑談から、
話しが盛り上がり、居座ってしまったのだ。
「えー、レイカさんって、あのくそたくんが好みなの」
アユメの驚いたような顔に
「いえ、顔じゃなく、
ああいうマイペースなところに憧れているんです」
とレイカが真面目に答える。
「でも、それって、好きってことよね、ヒトメ」
とアユメがヒトメにふると、
「そう、そういうのが一番危ないのよ。
いつのまにか、虜にさせられちゃうのよ。」
とヒトミは同意する。
「実はね、ヒトミもくそたくん気になってるみたいなの」
とアユメが言うと、
「私の場合は、違うのよ。好きとか憧れじゃなくて、
面白いだけ。
顔全体も猿が、ヘルメットかぶっているみたいで、
そのくせ、男のくせにひげがなくて面白いじゃない」
ヒトメが言うと、
「猿がヘルメットかぶった顔でどういう顔よ、
レイカさん怒るわよ」
「いえ、私もヘルメットとは思いつきませんでしたが、
あのきのこの山のような頭が変わってるなあと思います。
顔は確かに猿面ですね」とレイカは言う。
「どうする。猿そっくりの女の子が生まれてきたら?」
とアユメがからかうと、
「そんな気の早い」
とレイカはまんざらでもなない顔をする。
「ヒトメ、レイカは本気みたいよ。いいの?」
とアユメがヒトメを冷やかすと、
「私は違うって言ってるでしょ。
レイカを応援するわよ。本当」
「そう、ムキになるところが怪しいわね。
お膳立てをするとかいって、
くそたくんに近づく気でしょう」
とアユメまたヒトミを冷やかす。
「ヒトミさんには注意します」
とレイカがわざと言うと、3人は大笑いした。
「ところで、アユメは誰?
本命、やっぱり、永久くん?...
じゃないわよね」
とヒトミが逆襲に走る。
「私は、純粋に勉強に来ただけですから、
男子なんて」
「本当は、やっぱり10代目の中にいるんでしょ」
とヒトメが冷やかす。
「10代目って何ですか」
とレイカが訊く。
「レイカ、知らなかったの。
このオンシラーズ高校は、昔、男子高で、
10年前にその前の中学で「キモ男三人衆」
と呼ばれるお互いに仲のよいキモ男3人が
入学したらしいの。
それ依頼、毎年、キモ男3人がつるんでいると、
キモ男三人衆と呼ばれるようになって、
今回のくそたくん、おちたくん、木太郎くんが
ちょうど10代目キモ男三人衆ってわけ」
「そうなんですか。でも、うちの高校には、
もっともっとキモいのたくさんいるじゃないですか。
それはひどいですよ。
それに、くそたくんはキモくないですよ。
確かに、猿面は否定しませんが」
とレイカが少しだけ憤慨する。
「やっぱり、レイカ好きなんじゃない。
でもね、ここ数代はいわれるほど、
キモくもなく、結構おもしろ路線で、
大体レイカみたいな隠れファンが結構いるみたいなの」
「そうそう、7代目の1人が元ミスオンシラーズ
と今付き合っているみたいよ。
在学中も多分こっそり
と付き合っていたとの噂もあるのよ」
とアユメが言う。
「へー、それじゃ、結構名誉なことなんですか」
とレイカが真顔で言ったので、
アユメとヒトメは大笑いする。
この部屋の3人もアスカの悲劇を知らず、
明け方までくだらない話しをしていたのであった。
(続く)