自分は明るいとか、根暗だ、忍耐強いとかいう性格ですが、たいていの人は、この性格は、自分の本性であり、不変のものだと思っています。しかし、暗示学の観点からすれば、本来、性格とはどうにでも変わるものなのです。性格とは、過去の経験から、自分とは「そういうものだ」と思い込んでいるだけなのです。そこで、その経験にとらわれずに、「自分とはこういうものなのだと」思えれば、自己改造ができるわけです。ただし、意志でやろうとしてもできません。潜在意識に働きかけないとできません。自分にこれを行えば自己暗示ですし、人にこれを行えば、「リーダーの暗示学」というわけです。
「認める技術」
人をいかにして認めるか、ということがずっと私のテーマであるわけです。先日来お話している、「人をほめる」ということも、そのなかの一つです。
人間は認めるようになる――以前触れた野口晴哉先生はそう言っておられました。優しい人だと認めれば、優しい人になる。辛抱強い人だと認めれば、やはりそうなる。
『小公子』という子供向けのお話がありますね。貴族で頑固で嫌味なお爺さんを、孫が「優しくて親切な人だ」と認めてあげたら、だんだんそういうふうに変わっていくというストーリでした。
大人でも、子供でも、認めると、そうなっていく。可能性はあるということです。しかし、ただ、「あなたは親切な人だ」とか言っても、なかなかそうはなりません。そこで、そのための技術とか、心構えが必要になるわけです。
リーダーにとって、この技術と心構えは、部下をリードするうえでは、不可欠なものです。その入り口として、昨日は「ほめる練習」をすることを提案したわけです。
しかし、この技術を部下がリーダーに使ったっていいのですよ。いや、むしろ積極的に使うことをお勧めします。
「部下からリーダーを考える」
前に申し上げたことですが、リーダーは、頭が良く、自分の意見を主張する、小生意気な部下が目障りになりがちです。
そういう部下は優秀ですが、なかなか自分の言うことを聞かない。何かというと逆らう。しかも、言うことは当たっていることが結構ある。リーダーにとって、そういう存在は扱いにくくて、不快以外の何者でもない。
けれども、これをただリーダーが未熟で能力に欠けるのだと部下が非難するのは、利口なように見えて、小馬鹿者なのです。
本当に優秀な人は、リーダーが初めから一目置いていて、彼の言うことなら仕方ないと思っています。こういう人は、めったにおりません。レベルA+ですね、こういう人は。
次に優秀な人は、リーダーをうまく誘導して、自分のやりたいように仕事をもっていく。これはレベルAの人。
そして、そのあとに来る優秀な人は、リーダーと対立して、しょっちゅう摩擦を起こす人です。もちろん、表立って摩擦を起こすとは限りませんが、心の内ではいつも摩擦が起きている。このタイプが、実はいちばん多いのではないでしょうか。これはレベルBの優秀な人ですね。
私がコンサルタント会社に入社したとき、リーダーをクライアントだと思って仕事をするようにと、よく言われました。新入社員が顧客に直接会うことはあまりない。リーダーを顧客と思って仕事をすることが、大切なのだということです。
組織で仕事をするときは、部下にとってリーダーはクライアントなのです。上司に好かれないと、まともな仕事はできないし、よい仕事もまわってこない。すると、自分が成長するチャンスが与えられないことになる。お客さんを馬鹿にしたって仕事にならないのと同じです。
レベルBの人がAに昇格するためには、そういう発想が必要でしょう。
「認める技術をリーダーにも適用する」
しかし、このままでは、ただの精神論です。それでは、レベルBの人には、なんの救いもありません。そこで、私は「認め方の技術」を提案しているわけです。
本来、これは指導者のための技術ですが、別に部下がリーダーに適用したって、全然問題ないわけです。私は、いつもそういうつもりでやってきました。
組織的には彼の方が上で、年齢も彼が上だけれど、人間としたら別に上下もない。ひょっとしたら、自分の方が人間的には上かもしれない。ちょっと不遜ですがね。
それで、上司をどうやって認めたらよいかを考える。いろいろな認めかたがあります。その人の良い点を認めてあげる方法、これは部下に使う場合が多いわけですが、上司に使ってもいい。
しかし、それよりもよいのは、どうしたら上司をサポートできるか考えることですね。上司は今何が困っていて、どんな手助けを必要としているかを、いろいろな場面を通じて知ろうとするわけです。昼食を一緒にとって話を聞くとかね。もちろん夜付き合うこともあるでしょう。しかし、私は下戸なので、これは苦手でした。
上司は、上からハッパをかけられて困っているかもしれません。自分のセクションを掌握できずに焦っているかもしれません。うまい提案を待っているかもしれない。あるいは、自分を頼る人間がいないことに、不満をもっているかもしれない。自分の能力を威張りたいのに威張れない。そういう問題意識がつかめたら、どんどん助けてあげることです。
そして、対立しているのではないことを上司に悟らせる。そうではなく、頼りになる人間だと思ってもらえる人間関係を作るということです。
結局、手柄を上司にとられてしまうかもしれません。これは癪なことです。でも、あまり気にしないほうがいい。まわりには、見ていてくれている人が必ずいます。捨てる神あれば拾う神ありです。
結果に一喜一憂しないことですね。結果は来ますが、それが良い結果か、悪い結果かは、人間は死ぬまでわからないわけです。
左遷されて、ゴミのような事業部に飛ばされたら、そこが成長産業、未来産業だったということがときどきあります。あるいは、社内では評価が低いが、顧客とか競合会社の人が見てくれていて、引き抜いてくれて、そこで大成功したなんて話もよく聞きますからね。
結果にいちいち右往左往しないで、自分の道を進むことです。でも、上司との関係はよく考えるべきです。それが、人間を学ぶよい経験にもなると思います。このときの思考や体験が、後々たいへん役立つのです。
「認める技術」
人をいかにして認めるか、ということがずっと私のテーマであるわけです。先日来お話している、「人をほめる」ということも、そのなかの一つです。
人間は認めるようになる――以前触れた野口晴哉先生はそう言っておられました。優しい人だと認めれば、優しい人になる。辛抱強い人だと認めれば、やはりそうなる。
『小公子』という子供向けのお話がありますね。貴族で頑固で嫌味なお爺さんを、孫が「優しくて親切な人だ」と認めてあげたら、だんだんそういうふうに変わっていくというストーリでした。
大人でも、子供でも、認めると、そうなっていく。可能性はあるということです。しかし、ただ、「あなたは親切な人だ」とか言っても、なかなかそうはなりません。そこで、そのための技術とか、心構えが必要になるわけです。
リーダーにとって、この技術と心構えは、部下をリードするうえでは、不可欠なものです。その入り口として、昨日は「ほめる練習」をすることを提案したわけです。
しかし、この技術を部下がリーダーに使ったっていいのですよ。いや、むしろ積極的に使うことをお勧めします。
「部下からリーダーを考える」
前に申し上げたことですが、リーダーは、頭が良く、自分の意見を主張する、小生意気な部下が目障りになりがちです。
そういう部下は優秀ですが、なかなか自分の言うことを聞かない。何かというと逆らう。しかも、言うことは当たっていることが結構ある。リーダーにとって、そういう存在は扱いにくくて、不快以外の何者でもない。
けれども、これをただリーダーが未熟で能力に欠けるのだと部下が非難するのは、利口なように見えて、小馬鹿者なのです。
本当に優秀な人は、リーダーが初めから一目置いていて、彼の言うことなら仕方ないと思っています。こういう人は、めったにおりません。レベルA+ですね、こういう人は。
次に優秀な人は、リーダーをうまく誘導して、自分のやりたいように仕事をもっていく。これはレベルAの人。
そして、そのあとに来る優秀な人は、リーダーと対立して、しょっちゅう摩擦を起こす人です。もちろん、表立って摩擦を起こすとは限りませんが、心の内ではいつも摩擦が起きている。このタイプが、実はいちばん多いのではないでしょうか。これはレベルBの優秀な人ですね。
私がコンサルタント会社に入社したとき、リーダーをクライアントだと思って仕事をするようにと、よく言われました。新入社員が顧客に直接会うことはあまりない。リーダーを顧客と思って仕事をすることが、大切なのだということです。
組織で仕事をするときは、部下にとってリーダーはクライアントなのです。上司に好かれないと、まともな仕事はできないし、よい仕事もまわってこない。すると、自分が成長するチャンスが与えられないことになる。お客さんを馬鹿にしたって仕事にならないのと同じです。
レベルBの人がAに昇格するためには、そういう発想が必要でしょう。
「認める技術をリーダーにも適用する」
しかし、このままでは、ただの精神論です。それでは、レベルBの人には、なんの救いもありません。そこで、私は「認め方の技術」を提案しているわけです。
本来、これは指導者のための技術ですが、別に部下がリーダーに適用したって、全然問題ないわけです。私は、いつもそういうつもりでやってきました。
組織的には彼の方が上で、年齢も彼が上だけれど、人間としたら別に上下もない。ひょっとしたら、自分の方が人間的には上かもしれない。ちょっと不遜ですがね。
それで、上司をどうやって認めたらよいかを考える。いろいろな認めかたがあります。その人の良い点を認めてあげる方法、これは部下に使う場合が多いわけですが、上司に使ってもいい。
しかし、それよりもよいのは、どうしたら上司をサポートできるか考えることですね。上司は今何が困っていて、どんな手助けを必要としているかを、いろいろな場面を通じて知ろうとするわけです。昼食を一緒にとって話を聞くとかね。もちろん夜付き合うこともあるでしょう。しかし、私は下戸なので、これは苦手でした。
上司は、上からハッパをかけられて困っているかもしれません。自分のセクションを掌握できずに焦っているかもしれません。うまい提案を待っているかもしれない。あるいは、自分を頼る人間がいないことに、不満をもっているかもしれない。自分の能力を威張りたいのに威張れない。そういう問題意識がつかめたら、どんどん助けてあげることです。
そして、対立しているのではないことを上司に悟らせる。そうではなく、頼りになる人間だと思ってもらえる人間関係を作るということです。
結局、手柄を上司にとられてしまうかもしれません。これは癪なことです。でも、あまり気にしないほうがいい。まわりには、見ていてくれている人が必ずいます。捨てる神あれば拾う神ありです。
結果に一喜一憂しないことですね。結果は来ますが、それが良い結果か、悪い結果かは、人間は死ぬまでわからないわけです。
左遷されて、ゴミのような事業部に飛ばされたら、そこが成長産業、未来産業だったということがときどきあります。あるいは、社内では評価が低いが、顧客とか競合会社の人が見てくれていて、引き抜いてくれて、そこで大成功したなんて話もよく聞きますからね。
結果にいちいち右往左往しないで、自分の道を進むことです。でも、上司との関係はよく考えるべきです。それが、人間を学ぶよい経験にもなると思います。このときの思考や体験が、後々たいへん役立つのです。