HIROの のはらうた

2012/7/31からブログを始めました。

16/12/16 「世界の果てのこどもたち」中脇初枝

2016-12-16 | 本・映画・能楽・美術館など
雨で降り籠めらた満州のお寺で、たったひとつのおむすびを分けあって食べた三人の少女。
それから別れ、それぞれの場所で生き、日本で再会してから、三十年。
忘れようとしても忘れられない、つらい記憶、それ以上に忘れられないものとは…


育ててくれた親を隠すほうが、人として恥ずかしいことだった。

なんでわたしらあは襲われたが?なんでソ連軍なのうて、満人が襲うてくるが?

二度とそんな愚かなことをくりかえさないようにするために、勉強するんだ

もう二度と戦争をしないということは、もう二度と、母や父たちが焼き殺されたりしないということだった。
もう二度と。

おむすびの持ち主だった友達が、一番大きいごはんのかたまりを一番小さい友達にやり、次に大きいかたまりを自分にくれたことを思いだした。おむすびの持ち主の友達は、一番小さいかたまりを食べながら、たしかにわらっていた。

墨を塗ったから、なにが書いてあったのか忘れられた。学校で先生はなにを教えてしまったのか、なにを教えてはいけなかったのか、学ぶことができなかった。
そして、くりかえす。

いくらみじめで不幸な目に遭ってもね、享けた優しさがあれば、それをおぼえていれば、その優しさを頼りに生きていけるのね。それでその優しさを人に贈ることもできる。


涙がこぼれました。読んで良かったです。