
先日、勤務先の高校に、テレビ局の取材が入った。3時間足らずという短い時間であったが、授業の様子を撮影したり、生徒や教員にインタビューしたりして帰っていった。
マスコミの仕事をじかに見る機会は滅多にない。なかなか面白い経験だった。
「えっ、3人だけなの?」
取材は、記者が1人とカメラマン1人、それに助手が1人というコンパクトな人数だったから、校長は拍子抜けしたようだ。もっとも、関東地方限定の番組に数分登場するだけだから、記者やカメラがわんさと押しかける様子を想定するほうがおかしい。
私は、撮影機材の小ささに驚いた。肩にひょいと担ぎ上げる、みかん箱ほどのカメラが1台と、スタンドつきのマイクや照明があるだけだ。自分にカメラを向けられても、「本当に撮影できているの?」と疑ってしまうくらい現実感がない。もっとも、これくらいの身軽さであれば、取材を受ける側も構えずにすむから、ちょうどいいのかもしれない。
記者の女性は、ときどき携帯電話で、栃木や神奈川の記者と連絡を取っている。
「あとから編集して、ひとつの番組に組み立てますから、内容がかぶらないように調整しているんです」と彼女は説明した。
授業の撮影では、位置を決めたカメラマンが、生徒に声をかける。
「テレビに映りたくない人は、こちらに移動してください。ここなら映りませんから」
何人かの生徒が、カメラの死角となる場所に荷物を持って移動した。なるほど、恥ずかしいと思う生徒には、映らない権利もあるわけだ。不自然に下や横を向く者がいては、いい映像にならないから、一石二鳥だろう。
しばらく撮影したら部屋を出て、別の場所に向かっていった。勝手に校内をうろつかれるのではと心配する声もあったが、あらかじめ取り決めた撮影場所以外、立ち入らないという約束も守られ、トラブルなしで取材は終了した。
「本日はどうもありがとうございました。これから徹夜で編集しますので、なるべくたくさん流せるように頑張ります」と記者の女性が挨拶し、取材班は帰っていった。まさに、体力勝負の仕事である。現場に出向き、何時間もかけて撮影したあとは、寝る暇もなく「ああでもない、こうでもない」と映像を組み立てるのだろう。とても私には務まらない。
放映日、中2の娘が録画してくれたものを、帰宅してから見た。
「お母さんが出てる~♪」と娘は大喜びだが、画面の中の自分は、えらくブサイクに見える。思わず苦笑した。
前日、娘に「お母さん、映る前に油取り紙でテカらないようにしなよ」と忠告されたことを思い出す。一応やってみたのだが、大した違いはなかった。
「これを使ったのか」「あれは使わなかったんだ」などと映像を分析する。こちらで選んだ生徒よりも、たまたま居合わせた生徒のほうが味のある意見を述べたら、そちらを優先する。当然だろう。見ていて、引き込まれる番組にしなければ意味がない。カメラ映えする生徒も、出番が多いと感じた。
数分後、放映が終わった。あれだけ長い時間をかけて撮影したのに、氷山の一角しか流れていない。撮影した9割以上の、おびただしい数の映像をボツにしたとわかった。
まるで、書初めの宿題のようだ。たった1枚を提出するために、会心の作ができるまで、50枚でも100枚でも書く者がいる。傍から見れば十分上手なのに、「まだ納得いかない」と半紙を買い足し、根気よく書き続ける。それくらいの気持ちがないと、テレビの仕事はできないのではないか。
私だったら、せいぜい5枚ほど書き、その中から一番マシなものを選ぶだろう。
友人の息子はもっとひどい。練習用の半紙を3枚持ち帰っても、はなから1枚しか書く気がない。ちゃちゃっと書いて提出用にし、「はい、宿題終わり」となるんだそうな。
もし、彼が番組を作るとしたら、どんな内容になるのか見てみたい。

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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
マスコミの仕事をじかに見る機会は滅多にない。なかなか面白い経験だった。
「えっ、3人だけなの?」
取材は、記者が1人とカメラマン1人、それに助手が1人というコンパクトな人数だったから、校長は拍子抜けしたようだ。もっとも、関東地方限定の番組に数分登場するだけだから、記者やカメラがわんさと押しかける様子を想定するほうがおかしい。
私は、撮影機材の小ささに驚いた。肩にひょいと担ぎ上げる、みかん箱ほどのカメラが1台と、スタンドつきのマイクや照明があるだけだ。自分にカメラを向けられても、「本当に撮影できているの?」と疑ってしまうくらい現実感がない。もっとも、これくらいの身軽さであれば、取材を受ける側も構えずにすむから、ちょうどいいのかもしれない。
記者の女性は、ときどき携帯電話で、栃木や神奈川の記者と連絡を取っている。
「あとから編集して、ひとつの番組に組み立てますから、内容がかぶらないように調整しているんです」と彼女は説明した。
授業の撮影では、位置を決めたカメラマンが、生徒に声をかける。
「テレビに映りたくない人は、こちらに移動してください。ここなら映りませんから」
何人かの生徒が、カメラの死角となる場所に荷物を持って移動した。なるほど、恥ずかしいと思う生徒には、映らない権利もあるわけだ。不自然に下や横を向く者がいては、いい映像にならないから、一石二鳥だろう。
しばらく撮影したら部屋を出て、別の場所に向かっていった。勝手に校内をうろつかれるのではと心配する声もあったが、あらかじめ取り決めた撮影場所以外、立ち入らないという約束も守られ、トラブルなしで取材は終了した。
「本日はどうもありがとうございました。これから徹夜で編集しますので、なるべくたくさん流せるように頑張ります」と記者の女性が挨拶し、取材班は帰っていった。まさに、体力勝負の仕事である。現場に出向き、何時間もかけて撮影したあとは、寝る暇もなく「ああでもない、こうでもない」と映像を組み立てるのだろう。とても私には務まらない。
放映日、中2の娘が録画してくれたものを、帰宅してから見た。
「お母さんが出てる~♪」と娘は大喜びだが、画面の中の自分は、えらくブサイクに見える。思わず苦笑した。
前日、娘に「お母さん、映る前に油取り紙でテカらないようにしなよ」と忠告されたことを思い出す。一応やってみたのだが、大した違いはなかった。
「これを使ったのか」「あれは使わなかったんだ」などと映像を分析する。こちらで選んだ生徒よりも、たまたま居合わせた生徒のほうが味のある意見を述べたら、そちらを優先する。当然だろう。見ていて、引き込まれる番組にしなければ意味がない。カメラ映えする生徒も、出番が多いと感じた。
数分後、放映が終わった。あれだけ長い時間をかけて撮影したのに、氷山の一角しか流れていない。撮影した9割以上の、おびただしい数の映像をボツにしたとわかった。
まるで、書初めの宿題のようだ。たった1枚を提出するために、会心の作ができるまで、50枚でも100枚でも書く者がいる。傍から見れば十分上手なのに、「まだ納得いかない」と半紙を買い足し、根気よく書き続ける。それくらいの気持ちがないと、テレビの仕事はできないのではないか。
私だったら、せいぜい5枚ほど書き、その中から一番マシなものを選ぶだろう。
友人の息子はもっとひどい。練習用の半紙を3枚持ち帰っても、はなから1枚しか書く気がない。ちゃちゃっと書いて提出用にし、「はい、宿題終わり」となるんだそうな。
もし、彼が番組を作るとしたら、どんな内容になるのか見てみたい。

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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
家のはカメ一匹に3人でしたよ。(_ _;)…パタリ
帰ってから徹夜で編集は口癖でしょうね。
おそらく帰ってすぐに寝たと思いますよ。
ところで砂希さんのピースサインがボツになったのは残念です。Σ( ̄ε ̄;|||・・・
冒頭のシーンじゃなくて、もう1つの進路指導室どこかのシーンでは、わざわざ白衣を着たんだね。
都内に高校はかなりあるのに、そんな中から選ばれて取材された事は凄い事だね。
何時間も撮影して映るのが数秒…長くて数分…(笑)
最近では店をオープンさせた時に取材を受けました。日曜日の昼間だけの営業と言う珍しい蕎麦屋…で、その後が大変!店の忙しさよりスーパーなどであまり知らない人から「テレビに出とったね…」また、本業の仕事先に行ったら「あれぇ~瓦屋さん、蕎麦屋もやってんの」などなど嬉しいような…ただ、どこで誰が見てるかわからないので万が一違った女性と飯なんか食べてようモンなら何を言われるかわからんな!都会じゃぁ考えられないでしょうが狭い町じやぁね…(笑)
あっ、先生も一応顔が映ったワケだし…デパ地下なんかで美味いモン買ってたら…「あっ、あの学校の先生あんな美味いモン食べてる」とか言われるかもよ(爆)
でも、関東限定だったのですね。
次回はぜひ、全国放送に出演してください。
数年前、ボクシングジムに通っていました。
ボクササイズ等も流行り出した頃で、ちょうど雑誌の取材に遭遇。
カメラマンは、高校の同級生!
「ダサいカッコしてるから、絶対撮らないでね」とお願いしたんですが、杞憂でした。
のちに雑誌を見たら、ご新規さんを招きそうな若い人ばかり載ってました。
せめて、腕の1本くらいは撮ってくれてもよかったのに・・・
まあ、カメ1人に3匹かかりですか!
あっ、間違えた(笑)
そっちのほうが面白いですね。
家族や撮影隊の何人もの大人が、小さなカメを追っているんですから~!
カメにも異様な空気が伝わる気がします。
動物奇想天外だと、撮影から放映までに時間があると思いますが、こちらはニュースのヒトコマだったので、翌日放映だったんですよ。
ホントに徹夜だったかも??
そお~??
冒頭の映像では「グワア~ッ!」と叫びそうになったけど(笑)
ただ、自分で思うほど、他人は気にしないからね。
「こんなもんさぁ」と諦めるしかないっ。
私はいつも白衣を着ているの。
でも、撮影中も白衣じゃ失礼かと思い、その日はスーツにしたんだよね。
生徒からは「白衣のほうがいいのに」と不評だった。
授業が終わり、いつも通りに白衣を着たところで「またお願いします」となったから、今度はそのまま映ってしまったわ~!
なぜ私の学校が選ばれたのかは謎…。
多分、おぼえやすい顔とおぼえにくい顔があると思うよ~!
陽水さんは役者顔だから、目立つし記憶に残りやすいのかも。
実は、放映中、娘の友達からメールが来たんだって。
「今、テレビに笹木ママにそっくりな人が出てる」って。
娘の同級生が1人だけ、私の顔をおぼえていたみたい。
どこにでもいるタイプだから、私はおぼえにくいと思うんだけどね。
同級生のほうが上手だったわ~!
買い食いには気をつけよう(笑)
お住まいはどちらでしたっけ。
ローカル番組だとご迷惑をおかけします…。
母にも一応連絡したら、叔母や従姉にまで話が伝わっているんですよ。
もし、私が映っていなかったら、「何だよ」って結果になっていました(笑)
ボクシングですか。
ダンスといい、白玉さんはアクティブなんですね。
全然かすりもしないと、それもまた面白くないのはわかります!
ちょっとだけ写っているのがいいのかと。
残念でしたね。
砂希先生の勇姿。
普段は白衣姿なんですね。
そういえば高校時代、現代国語と数学の先生(男)がいつも白衣だったな~。
国語の先生がかっこ良かったんですよ~。
と、無駄に昔を回想してみました(笑)
次回は是非、全国ネットor雑誌or新聞デビューを!!
見てみたかったな~。
ウチも高校のときTV局がやってきたことがありましたよ~。
野球部の取材でしたけどね。