20代の娘に『100日後に死ぬワニ』という4コマ漫画の内容を聞き、話題になっていることは知っていた。
「今日はね、100日目だからワニが死んじゃうの。どうやって描くんだろう」
娘も興味津々で、最終回の3月20日を迎えた。
連載開始は12月12日。ラストは最初から決まっていたというから、桜の開花を予想し、逆算してスタートしたのではないか。
ワニ君はフリーターらしい。バイト先では「センパイ」と呼ぶ異性に恋をして、一人暮らしをしているアパートではゲームに没頭しカップ麺をすする毎日のようだ。バイトを辞めたり、約束の時間に遅れたりと、今どきの「自由人」に見える。もっとも、人間ではないけれど。
この漫画は、毎回「死まであと○○日」との言葉で締めくくられ、読み手に結末を予告するところが面白い。キャラたちはワニの寿命を知る由もなく、毎日普通に呼吸をし、深く考えずに生きている。ワニはワニで、一年後に届く布団を注文したり、「死んだらあげるよ」などと発言したりして、自分の人生がカウントダウンに入ったことなど頭の片隅にもない。
だからこそ、交通事故死らしき最期が衝撃的なのだ。伏線もあり、よく計算されていると感心した。
「なんかね、この漫画家の友達が事故死してるんだって。人生、何があるかわからないから、限りある時間を大切にしてほしいと思って描いたらしいよ」
娘の解説に大きく頷く。残念ながら、最終回直後にアニメ化や書籍化の話が浮上し、炎上してしまったのは気の毒に思う。
ところで、無事に明日を迎えられる保証などどこにもないのに、私たちはなぜ「今日死ぬかもしれない」とは思わないのだろう。もちろん、死んだことがないから、死後どうなるかは誰もわからない。だけど、誰もがいつかは死ぬのだから、たまにはこれに向き合うことも必要だ。
もう2年も前のことになるが、職場で隣の席だった男性が亡くなった。滅多に休まない人だったのに、頭痛がするといって3日ほど休暇をとり、家で休養していた。4日目の朝に、家族が様子を見に行ったら、すでに布団の中で冷たくなっていたそうだ。死因はくも膜下出血だった。
亡くなってすぐに、彼のPCの電源が入ったままであることに気づいた。机の中からは、帰りが遅くなったときに備えてカロリーメイトなどの備蓄食料が残され、出勤できない事態を一瞬たりとも考えていなかった様子がうかがえる。私の場合、やりかけの仕事を残したまま旅立たぬよう、キリのいいところまで終わらせてから帰ろう。机の中には、クッキーやナッツ、カステラ、ビスケットなどが入っているけれど、「何だ、この食料は」と驚かれたら恥ずかしいから、必要最小限に減らそうと決めた。
男性が亡くなったのは10月だったが、ワニ君は3月である。
どうせ死ぬなら、桜の咲く時期にと願う話を、若いときに読んだ気がした。
わが家の桜は、まだ5分咲きといったところか。
桜に見送られて、生涯を終えるのも一興であることは間違いない。
でも、私は雪に見送られたい。
今年、東京に雪は積もらなかった。一面の銀世界と化した日に、あの世に旅立てば、天国に行かれそうな気がするのだが。
殺しても死にそうにないって、誰か言いましたか?
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「今日はね、100日目だからワニが死んじゃうの。どうやって描くんだろう」
娘も興味津々で、最終回の3月20日を迎えた。
連載開始は12月12日。ラストは最初から決まっていたというから、桜の開花を予想し、逆算してスタートしたのではないか。
ワニ君はフリーターらしい。バイト先では「センパイ」と呼ぶ異性に恋をして、一人暮らしをしているアパートではゲームに没頭しカップ麺をすする毎日のようだ。バイトを辞めたり、約束の時間に遅れたりと、今どきの「自由人」に見える。もっとも、人間ではないけれど。
この漫画は、毎回「死まであと○○日」との言葉で締めくくられ、読み手に結末を予告するところが面白い。キャラたちはワニの寿命を知る由もなく、毎日普通に呼吸をし、深く考えずに生きている。ワニはワニで、一年後に届く布団を注文したり、「死んだらあげるよ」などと発言したりして、自分の人生がカウントダウンに入ったことなど頭の片隅にもない。
だからこそ、交通事故死らしき最期が衝撃的なのだ。伏線もあり、よく計算されていると感心した。
「なんかね、この漫画家の友達が事故死してるんだって。人生、何があるかわからないから、限りある時間を大切にしてほしいと思って描いたらしいよ」
娘の解説に大きく頷く。残念ながら、最終回直後にアニメ化や書籍化の話が浮上し、炎上してしまったのは気の毒に思う。
ところで、無事に明日を迎えられる保証などどこにもないのに、私たちはなぜ「今日死ぬかもしれない」とは思わないのだろう。もちろん、死んだことがないから、死後どうなるかは誰もわからない。だけど、誰もがいつかは死ぬのだから、たまにはこれに向き合うことも必要だ。
もう2年も前のことになるが、職場で隣の席だった男性が亡くなった。滅多に休まない人だったのに、頭痛がするといって3日ほど休暇をとり、家で休養していた。4日目の朝に、家族が様子を見に行ったら、すでに布団の中で冷たくなっていたそうだ。死因はくも膜下出血だった。
亡くなってすぐに、彼のPCの電源が入ったままであることに気づいた。机の中からは、帰りが遅くなったときに備えてカロリーメイトなどの備蓄食料が残され、出勤できない事態を一瞬たりとも考えていなかった様子がうかがえる。私の場合、やりかけの仕事を残したまま旅立たぬよう、キリのいいところまで終わらせてから帰ろう。机の中には、クッキーやナッツ、カステラ、ビスケットなどが入っているけれど、「何だ、この食料は」と驚かれたら恥ずかしいから、必要最小限に減らそうと決めた。
男性が亡くなったのは10月だったが、ワニ君は3月である。
どうせ死ぬなら、桜の咲く時期にと願う話を、若いときに読んだ気がした。
わが家の桜は、まだ5分咲きといったところか。
桜に見送られて、生涯を終えるのも一興であることは間違いない。
でも、私は雪に見送られたい。
今年、東京に雪は積もらなかった。一面の銀世界と化した日に、あの世に旅立てば、天国に行かれそうな気がするのだが。
殺しても死にそうにないって、誰か言いましたか?
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
ワニくんの最終回からもう2週間経つんですね。
世間の人はすでに忘れかけているような気がします。
次々に押し寄せるコロナのインパクトが強すぎて。
著名人が罹患すると、軽く考えていた人たちも警戒するのではと期待します。
こちらも毎日振り回されていますが、客の来ない飲食店や在庫を抱えた小売店、収入の途絶えた旅客業などを考えれば何のその。
患者が押し寄せる医療機関も疲弊しているでしょうね。
「死」は弱った心につけ込んできます。
この危機的局面を何とか乗り切らなくては。
ワニ君は、まさか自分が事故死?するとは考えてもいなかったでしょう。
志村さんだって、まさか自分がコロナに感染して命を落とすなんて、思いもしなかったでしょう。
死は、今、私たちのすぐとなりにいます。
自分の死も。
大切な家族や仲間の死も。
無自覚な誰かが、私や私の大切な人を死に追いやるのかも知れない。
その無自覚な人は、私かも知れない。
恐ろしい話です。
ミンキーモモって生まれ変わったのですか。
だから、髪がピンクなの??
交通事故は年々減少していて、死者も少なくなったけれど、依然として一定数はあるようです。
さっきまで元気だった人がいなくなる事実はなかなか受け入れられませんね。
コロナによる死も同じでしょう。
いいニュースはないものか……。」
全く予期せずに交通事故で逝ってしまう。
『魔法のプリンセス ミンキーモモ』
を思い出しました。
魔法の国のお姫様だったモモがある日突然、
交通事故で逝ってしまう。
そして、彼女は人間の女の子として
生まれ変わる。
そんな明るい未来があればいいけど、
このワニくんには・・・、そして僕たちにも
そんな来世はない。
交通事故もそうですが、
コロナも僕たちに「死」を与える
大きな存在になってきて、ホント暗いわ。
結構、全話読むと時間がかかりますよね。
でも、誰かが炎上させると、それに同調する人たちがいます。
ちゃんと自分の頭で考えているのかしら。
ただのノリなら、やめてほしいです。
明日、東京の天気予報は雪です。
積もるとは思えないけれど、白いものがチラチラと落ちてくる景色はいいですね。
萩尾望都さんの『雪の子』に影響されているのかも。
ワニくんが切なくて、ネズミくんや周りの人たちが温かくて、素敵な物語でした。
こんな傑作を生んだのだから、炎上はお門違いではとも思います。
職場の隣の席の方が!ショック大きすぎですね。
そして微塵も亡くなるとは思ってなかったのが・・・
願わくば 花の下にて・・・
花も雪も美しく、消えてゆく身を愛しんでくれそうです。
覚悟はまだまだできませんが。
同級生が亡くなったのですか。
それは強烈な思い出ですね。
若いうちに亡くなるのは稀でしょうが、一定年齢を超えれば生きている方が珍しくなります。
覚悟しているかいないかの差もあるし。
コロナ問題も終わりにしてほしいですね。
この一カ月は電車に乗っていませんよ。
長く生きていると慣れというのか、父が死んだときなどは必然というか、あり得ることに平然としていたような気がします。葬儀の準備に追われ忙しくしていたのかもせれないですが・・・
新型コロナに感染して明日は分からない状況ですが、この年(前期高齢者)になってしまうと、それなりの覚悟が必要な気がしているところです(*^^*)ポッ
存在感のあるネコちゃんでしたね。
もうボブ様がいないなんて、ピンときませんよ。
また生まれ変わってくるのでしょうか。
コロナの感染者が増え続けており、心身ともに疲れてきました。
私は老衰で死にたいです……。
ウチではもっと長生きすると思っていたボブ様が突然死んでしまったので死は予測できないものです。
新型コロナウイルスで死んでしまう可能性もあります。