お昼過ぎ、勤務先の高校で、見慣れぬ男性二人がベンチに腰掛け談笑していた。池田小の悲しい事件があって以来、学校では外部からの立ち入りに神経質になっている。私も気になり、近寄って声をかけてみた。
「私どもは制服業者なんですが、荷物を運ぶ車の到着を待っているんですよ。あと10分くらいで来ると思いますので、それまで待たせてください」
「ああ、そうですか。それは失礼しました。どうぞごゆっくり」
彼らにお詫びをして背中を向けると、二人の会話が再開した。
「不審者だよ、俺たち」
「不審者か、あはは」
おそらく、苦笑いを浮かべたことだろう。まもなくワンボックスカーが到着し、彼らは荷物とともに去っていった。
昨日は、都立高校の合格発表日であった。
制服業者は、合格者を対象に、制服の採寸や注文を受け付ける。不合格者は制服までたどり着けず、門前払いとなってしまうのだ。雪の中、交通機関の遅延と戦いながら、発表を見に来たのに、気の毒なことである。
今年の受検生は、願書提出日が雨、学力検査当日も雨、合格発表日は雪というように、天候に恵まれなかった。この調子でいけば、遠足も雨、修学旅行は台風となるかもしれない。
恐ろしや……。
我が家の受検生も、雪の中、合格発表を見に行った。私も休みを取って、一緒についていった。まったく自信がないと言うので、一人では心配だったからだ。試験場に着き、掲示板から娘の番号を探した。
「ない……」
掲示板には、飛び飛びの番号が表示されており、その中に娘のものはなかった。残念ながら不合格だ。
覚悟はしていたが、実際に結果を突きつけられると、大きな衝撃がある。しかし、それが現実なのだから、受け入れるしかない。かくなる上は、私立の入学手続きをしなくては。
娘を連れて校門を出ると、駅に向かって歩き始めた。心はついていかなくて、足だけが進んでいる感じである。3分もたてば、コートは雪で白くなってしまう。不思議と寒さは感じず、頭の中で、言葉だけがグルグル渦巻くように浮かんできた。
本格的に勉強し始めたのが12月だから、やっぱり無理だったか。
神だのみの合格祈祷も意味なかった。
家庭教師も無駄だったのかな……。
娘も、過去を振り返っていたようだ。勉強せずに、年中昼寝をしていたし、パソコンで遊んでしまったことも多い。携帯やウォークマンもやめられず、怠けてばかりいた。競争相手はその間も、塾で一心不乱に学習していたというのに。
娘は、自分でも勉強不足を自覚しているせいか、涙を見せることもなく淡々としていた。
「大学は、いいところに入りたいから、私立で頑張るよ」
「……そうだね」
「勉強が好きになったから、校内で一番になりたい」
……それはちょっと無理だと思うが、目標を持つのはいいことだ。苦い経験をバネにして、同じ失敗を繰り返さないでほしい。
「修学旅行は韓国と中国だよ」
「へー」
私立らしく海外に出るのもいいだろう。ただし、天気は期待しないほうがいい。
今月中旬には新入生説明会があり、年度当初の計画を聞いて書類の提出をする。制服の採寸や注文もあるらしい。
まさか、今日の怪しい二人ではないと思うが……。

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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「私どもは制服業者なんですが、荷物を運ぶ車の到着を待っているんですよ。あと10分くらいで来ると思いますので、それまで待たせてください」
「ああ、そうですか。それは失礼しました。どうぞごゆっくり」
彼らにお詫びをして背中を向けると、二人の会話が再開した。
「不審者だよ、俺たち」
「不審者か、あはは」
おそらく、苦笑いを浮かべたことだろう。まもなくワンボックスカーが到着し、彼らは荷物とともに去っていった。
昨日は、都立高校の合格発表日であった。
制服業者は、合格者を対象に、制服の採寸や注文を受け付ける。不合格者は制服までたどり着けず、門前払いとなってしまうのだ。雪の中、交通機関の遅延と戦いながら、発表を見に来たのに、気の毒なことである。
今年の受検生は、願書提出日が雨、学力検査当日も雨、合格発表日は雪というように、天候に恵まれなかった。この調子でいけば、遠足も雨、修学旅行は台風となるかもしれない。
恐ろしや……。
我が家の受検生も、雪の中、合格発表を見に行った。私も休みを取って、一緒についていった。まったく自信がないと言うので、一人では心配だったからだ。試験場に着き、掲示板から娘の番号を探した。
「ない……」
掲示板には、飛び飛びの番号が表示されており、その中に娘のものはなかった。残念ながら不合格だ。
覚悟はしていたが、実際に結果を突きつけられると、大きな衝撃がある。しかし、それが現実なのだから、受け入れるしかない。かくなる上は、私立の入学手続きをしなくては。
娘を連れて校門を出ると、駅に向かって歩き始めた。心はついていかなくて、足だけが進んでいる感じである。3分もたてば、コートは雪で白くなってしまう。不思議と寒さは感じず、頭の中で、言葉だけがグルグル渦巻くように浮かんできた。
本格的に勉強し始めたのが12月だから、やっぱり無理だったか。
神だのみの合格祈祷も意味なかった。
家庭教師も無駄だったのかな……。
娘も、過去を振り返っていたようだ。勉強せずに、年中昼寝をしていたし、パソコンで遊んでしまったことも多い。携帯やウォークマンもやめられず、怠けてばかりいた。競争相手はその間も、塾で一心不乱に学習していたというのに。
娘は、自分でも勉強不足を自覚しているせいか、涙を見せることもなく淡々としていた。
「大学は、いいところに入りたいから、私立で頑張るよ」
「……そうだね」
「勉強が好きになったから、校内で一番になりたい」
……それはちょっと無理だと思うが、目標を持つのはいいことだ。苦い経験をバネにして、同じ失敗を繰り返さないでほしい。
「修学旅行は韓国と中国だよ」
「へー」
私立らしく海外に出るのもいいだろう。ただし、天気は期待しないほうがいい。
今月中旬には新入生説明会があり、年度当初の計画を聞いて書類の提出をする。制服の採寸や注文もあるらしい。
まさか、今日の怪しい二人ではないと思うが……。

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それに、「結果的に、私立校に行って良かった!」なんて例も多いからね。ただ、大変なのは私立の高い授業料を払う親のほうだね…。^^
きっと充実した高校生活を送ると思いますよ!
楽しみですね。
高校生ともなると、親は、子どものこれからの飛躍を、ただ祈るしかないんですよね~。
さて 北海道の受験生は、6日が試験。
13日が卒業式。16日が発表。
娘じゃないですが、速く終わってほしい。って感じです(汗)
報道に驚愕した事件でした
「おとうさんはいつも学校の中まで入って停めるけど
本当はいけないんだよ
ただでさえ、ガラが悪いんだから…」
当時4年生だった息子に叱られた記憶があります
どんどん成績が落ちていき、辛うじて公立校には
入れましたが心臓に悪かった記憶があります
もう前向きに歩き始めていらっしゃるお嬢さん、
将来が楽しみですね
僕は高校、地元では2番目の進学校でした。
無事合格して安心したのか、元々マイレベル以上なのか、全く勉強が面白くなく、見事に大学入試では浪人しました。
予備校で理解できたことも多々あります。
ミキちゃんも今回の経験で得た反省を忘れないで、JK生活を充実して欲しいです。
その子ども達も成人を済ませ一安心じゃないけどね(笑)
今では地元の小学校の先生もわかる人は校長くらいかな…
で、いつだったか覚えてないけど仕事が早く終わったので小学校のグランドで子ども達の野球を見てたら校舎の廊下で二人の女性教諭があきらかに俺を指差してる…ありゃ~俺を不審者と思ってるに違いない!するとやっぱり1人が近くに来て「どちらさんですか?」って…「あっ、すぐそこの…日曜日だけの蕎麦屋です」って言ったら話しが盛り上がり「今度食べに行きますので宜しく…」
しかし、未だに来てないって言うか違う学校に行ってしまったようです…(笑)
昔、「15の春は泣かない」という言葉がありました。
大学進学率が10%足らずの時代、公立高校の門戸を広げるスローガンだったかな。
今では「15で笑い18で泣く」という言葉に変ってしまったとか。
公立よりも、今では私立のほうが努力次第でいい大学にも入れます。
制服も超かわいいしね。(*^^*)ポッ
精神的に不安定な時期です。気持ちをすぐにリセットできたらいいですね。
どんな学校でも一長一短があるから、うちは私立の面倒見のよさに期待しようかしら。
たしかに、お金はかかる…。
入学手続き寺は約60万払ってきたよ。
年間経費は80万くらいかなぁ。
それでも安いほうだと思う。
学校との相性は、通ってみないとわからないからね。
住めば都。適応してもらわねば。
ミキが偉かったところは、他の友達の合格を心から喜んでいた点かしら。
自分がダメだったから、他の人も落ちればいいのに~、なんて思ったら悲しいです。
でも、笑顔で「○○ちゃんが受かった」と報告してくれました。
落ち着いたら、いくつか約束をして、同じ失敗を繰り返さぬよう言い聞かせたいです。
さくれさんちも心配だと思いますが、なるようになるんだな~と考えて、気楽にいきましょう。
ああ、温泉でのんびりしたい…。
挫折経験が人を成長させるようです。
これではいけない、と感じたときがチャンスですからね。
娘も十分心得ていて、ピンチをチャンスに変えると張り切っています。
心配なのはモチベーションの低下です。
すぐ気がゆるむもので…。
ところで、FREUDEさんは怖い外見をしているようですね(笑)
文章からは品のいい紳士に見えますが。
アンバランスなところも、魅力のひとつでしょうか。
高校では伸び悩みでしたか。
ミキは篠田麻里子さんのファンなのですが、彼女はAKBのオーディションに落ちた経験を持っているそうですね。
そのときの体験談が、ミキを元気づけてくれたようです。
正直いって、ギリギリで合格したら本人のためにならなかったかも…。
この先のプラスになるなら、どんどん苦労させたいです。
励ましのお言葉、ありがとうございました!