これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

投入堂が呼んでいる

2020年08月02日 21時48分38秒 | エッセイ
 夫の見ていたクイズ番組で、初めて投入堂(なげいれどう)の存在を知った。たしか、2018年ではなかったか。
「さあ、この写真の建物は何でしょう!」
 メインキャスターの問いかけに、若手俳優がすばやく反応しボタンを押す。
「はい、××さん」
「投入堂!」
 ピンポンピンポンピンポーン。
「正解で~す!」
 サブキャスターが解説を始めた。
「これは、鳥取県にある三徳山三佛寺の奥の院で、国宝なんですね」
「日本一危険な国宝といわれるように、信じられない場所に建っています」
「役行者が、山のふもとで作ったお堂を、エイヤッと法力で岩窟に投げ入れたという伝説があるんですよ~」
「普通、こんなところに建てられませんよね」


(鳥取県HPより)

 強烈な映像に、画面を見ていた私もたまげた。
「へー、すごいね」
 いつかは行ってみたいけれど、なかなかそんな機会はないだろう。おぼえていたらでいいやと軽く考えていたのだけれど、意外に接点があるのだ、このお堂は。
 テレビを見て2カ月後ぐらいに鳥取に行った。宿泊したのは三朝(みささ)温泉である。ホテルの観光案内をめくっていたら、見覚えのある写真が載っていた。
「あれえ、これって投入堂じゃん」
 あとから知ったことだが、ホテルの目と鼻の先に投入堂があった。行きたい気持ちはあったが、山登りが大嫌いな夫とひ弱な娘が一緒ではとてもとても。あっさり諦め、鳥取砂丘に向かったのだっけ。
 忘れた頃に、昔の職員が職場に挨拶に来た。臨時任用の方だったので、いったん3月で退職されたのだが、8月から別の学校で採用になったという嬉しい報告を聞かせてくれた。
「そうそう、僕、投入堂に行ったんですよ」
「へ? 投入堂?」
 秘仏マニアだという彼に、どうも私は投入堂の話をしたらしい。すごい場所にあるけど行ったことある? 御利益ありそうで登りがいがある場所ね、などなど。言った本人がおぼえていなくても、聞いた彼は気になっていたのか、緊急事態宣言が解除されてから友達と一緒に訪れたという。
「たしかに、険しいコースでしたが、年配の方もいらっしゃいました。よかったら、写真も見てください」
「おおお、すごいすごい」
「やはり、一度はここに行かないと。僕は強く強くおススメします」
「うむむむむ」
 ここまでプッシュされては邪険にできない。でも、コロナ禍だからねぇと渋っていたら、とどめを刺された。わが家に届いた夫あての郵便物に、なんと投入堂の切手が貼ってあったのだ。こんな偶然があっていいのか。
「うむむむむ」
 切手を凝視していたら、夫が切り抜いてくれた。では、大事に取っておこう。



 コロナが終息したら、行ってみましょうか。
 登山もお寺も好きな姉を誘って。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (6)
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