これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

即席5人家族

2015年02月01日 21時12分38秒 | エッセイ
 高3の娘はSKE48が好きで、昨日、名古屋で行われた握手会に行くことになっていた。
「わざわざ新幹線に乗るんだから、名古屋城も見なくちゃ」
 握手会は1時からなのだが、観光のため、彼女は8時台の指定券を買った。予定通りに行動し、一人で名古屋城を満喫したらしい。





 しかし、天守閣でビックリすることが起きた。
 来館者の中に、私の妹・奈津にそっくりな女性がいるではないか。隣を見ると、奈津の夫によく似た男が立っていて、奈津の息子と娘に瓜二つの子どもまでが一緒にいる。4人家族全員がそっくりとなると、人違いではない。
「奈津お姉ちゃん!」
 娘は、40過ぎの奈津を「お姉ちゃん」と呼ぶ。彼女が生まれたとき、奈津はまだ23歳で独身だったから、「叔母さん」では気の毒だったのだ。50代、60代に突入しても、「奈津お姉ちゃん」と呼び続けるに違いない。
 奈津は声のするほうを振り返ったが、まさか親族がいるとは思わなかったようで、娘に気づかなかった。
「お姉ちゃん、ほら、ミキだよミキ」
 娘はマスクを取り、奈津の前に立ちはだかった。
「えっ、ミキ!?」
 続いて、従兄妹の2人、奈津の夫も声を上げる。
「わぁ~っ! ミキちゃんだ!!」
「ギャーッ!」
「何でここに?」
「それは、こっちが聞きたい!」
 妹一家はすでに名古屋で一泊していたが、二泊目の湯谷温泉に向かう前に、もう少し遊んでおこうと考えたようだ。通常、名古屋城では時計回りに移動するというが、奈津たちは逆回りに回っていたので、ばったり会えたらしい。
「こんなところで会うなんて、すごい確率だよね」
 義弟は、まだ信じられないといった様子だった。
「ミキはどこに泊まるの?」
「ううん、日帰り。8時ちょっと前の新幹線で帰るんだ」
「帰っちゃうの? よかったら、一緒に泊まっていかない?」
 そんなやりとりのあと、ミキは私の携帯電話に「泊まっていい?」と許可を求めてきた。
 登校日まで学校はないから、やめさせる理由はどこにもない。むしろ、私だって加わりたい気分だ。残念ながら、こちらは仕事が入っているので、参加できる状況ではない。奈津に「よろしく頼むね」と伝えて電話を切った。
 握手会のあと、ミキは妹たちに合流し、即席5人家族になったらしい。
 妹に次の日の予定を尋ねると、「浜名湖でうなぎ」という返事が返ってきた。
「うなぎか、いいな~。俺も食べたい」
 夫までが、行きたそうな顔をして、ブツブツつぶやいていた。さすがに、実行には移さなかったようだ。
 6人家族にならなくてよかったね~!


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (14)
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