これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

カラオケ闇練

2013年04月18日 20時39分40秒 | エッセイ
 久しぶりに、高2の娘とカラオケに行った。
 年度末はお互いに忙しく、2カ月ぶりである。AKB48の「フライングゲット」を気持ちよく歌っていると、娘が天を仰ぎ難癖をつけてくる。
「違う違う。だれといても~じゃなくって、だーれといても、だよ」
「へっ?」
「音もいっぱい外れてるし」
「そんなの、だいたいでいいじゃん」
「ダメだよ、ちゃんと歌わないと」
 ただでさえ、うろおぼえの部分は、空白の2カ月で完璧に忘れた。歌えば思い出すかもという、甘い考えは通用しない。娘は、自分の好きな曲が適当に歌われることに我慢できなかったらしい。
「ウォークマン貸してあげるから、毎日聞いておぼえなよ」
「うん」



 今のウォークマンは、こういう形をしているのか……。アイフォンかと思った。
 自慢ではないが、私はいまだかつて、ポータブルプレイヤーなるもののお世話になったことがない。移動中はもっぱら読書。音楽にはほとんど興味がないのだ。
「プレイリストを作らなくちゃね。友達に見られてもいいように、『母カラオケ練習用』にしておこうかな」
「……」
 娘が勧めるAKBはともかく、私がチョイスした曲は、友達に見せられないとでも言いたいのか。
 工藤静香や槙原敬之のどこが悪い! キーッ!!
「じゃあ、操作の仕方を教えてあげるから」
 かくして、電車を降りてから職場に向かって歩く区間で、私はカラオケ対策に励むこととなった。もたもたとイヤホンを取り出し、耳にはめる。周りの音が聞こえるよう音量は控えめにして、メロディを確認する。
「だーれといても~♪」
 ああ、なるほど。これが正しいリズムだったのか。次に行ったときは、ちゃんと歌えそうだと自信をつけたとき、後から呼び止められた。
「笹木さん、おはようございます」
 振り返ると、同僚のシノさんが立っていた。イヤホンをつけたままでは悪いので、闇練は切り上げ、職場まで一緒に歩いて行った。
 翌日も、1曲終わったあたりで、今度はミエさんに声をかけられた。またまた練習は中断した。
 その翌日は、マサトさんである。いつになったら、練習できるのだろうか。
「今日こそ練習しなきゃ」と焦り、ちょっと早めに家を出た。これなら大丈夫だろう。余裕を持って出勤すると、周りの景色を見るゆとりがある。



 のんびり歩いていたら、まさかまさか。またもや「おはようございまーす」の挨拶が聞こえてきた。
 振り返ると、シノさん、ミエさん、マサトさんのフルメンバーが勢ぞろいしているではないか。
 もう知らん……。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (16)
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