これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

映画館の睡魔くん

2011年09月01日 20時19分01秒 | エッセイ
 メル・ギブソン8年ぶりの新作『復讐捜査線』

 新聞で映画の広告を見たとき、「これは行かねば」と、ファンとしての義務を感じた。
 しかし、作品の評価はイマイチだ。はたして、面白いのだろうか。
 映画館には睡魔がいて、退屈している客を探している。ちょっとでも「つまらないな~」と思えば、すぐに背後から忍び寄り、夢の世界へ案内する。

 2000年に公開された『ミリオンダラー・ホテル』では、メル様がFBI捜査官の役で出ていた。だが、出番が少ないこともあり、開始30分後にはスクリーンがかすんできた。やがて、何も見えなくなり、登場人物の声だけが遠くで聞こえる有様である。わざわざ休暇を取って、日比谷まで出てきたというのに、何をやっているのだろうと自己嫌悪に陥った。

 2007年公開の『シッコ』は、マイケル・ムーア監督の話題作だったので、わざわざ時間を作り、仕事のあとで観に行った。だが、館内が暗くなると、一日の疲れがドッと出てくる。しかも、単調な展開が続いたせいか、たちまち睡魔が肩車をせがんできた。「あっちにいけ、あっちにいけ」と念じたものの、意識がなくなるまでに長い時間はかからない。気がついたら爆睡していて、すでに話がわからなかった。「ついでだから、たっぷり寝てしまえ」と開き直り、体が傾ぐほど熟睡してしまった。
 映画が終わり、スタッフロールが流れると、「またやっちまった」と反省した。私の心はどんよりしていたが、館内は明るくなった。そのとき、私を呼ぶ声が聞こえてきた。
「笹木さん、笹木さん」
 ギョッとして振り返ったら、当時、娘の担任をしていた先生が手を振っている。たまたま、後ろの席に座っていたようだ。つまり、一部始終を見られていたらしい。もはや、逃げ隠れできない状況なので、顔を引きつらせながら挨拶をする。
「あっ、先生! 奇遇ですね」
「まさか、こんなところでお会いするなんて。これは夫です」
 担任が隣の男性を紹介したが、まったく頭に入らなかった。なんちゅう場面を見られたのか。
 もちろん、娘にはさんざん罵られた……。

『ハリー・ポッター 不死鳥の騎士団』でも寝てしまったが、原作を読んでいたので、目が覚めたあとは何とか話についていけた。不幸中の幸いである。
 昔は、映画館で眠ることなどなかったのに、どうしたことだろう。
 老化現象とは認めたくない。引き込まれる映画が少なくなった上に、睡魔の数が増えたのだと思うことにしよう。
 
 そんなこんなでグズグズしていたら、『復讐捜査線』の公開が終わっていた。
 ファンの義務を果たせず、申し訳ないとメル様に詫びる。DVDがレンタルできるようになったら、必ず借りに行かねば。
 映画館とサヨナラする日が、やがて来るのだろうか……。



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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