これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

春夏秋冬五七五

2010年08月05日 21時31分11秒 | エッセイ
 合同句集『なめがた』を読んだ。
 これは、茨城県行方(なめがた)市在住の俳人39名による、約2100もの俳句を刊行したものである。



 俳句はいい。わずか17字で、季節感あふれる情景が映像のように広がり、感嘆したり笑ったりと、心を動かされるのだ。
 ここでは、たくさんの句の中から、季節ごとのお気に入りを選んでみた。


 春
「ねぎぼうず教え子の顔畑いっぱい」  瀬尾清子さん

 この方も、教員だったのだろうか。
 ねぎぼうずを見ると、バリカンで刈り上げた、いがぐり頭の男子とダブるようである。
 こちらの勤務校で、坊主頭の生徒は野球部くらいだ。ねぎぼうずとはリンクしない。
 どちらかといえば、私はトウモロコシの毛に反応する……。


 夏
「裸婦像へ冷房直にあたりけり」  高野よしこさん

 うまい!
 クーラーの噴き出し口付近に、一糸まとわぬ裸婦の彫刻があるのだろう。「寒かろうに」と案ずる作者の温かさと、えもいわれぬ滑稽さが同居している句である。
 女は体を冷やしちゃいけないのだ!
  

 秋
「赤トンボ改札口を通り抜け」  石毛正子さん

 実にのどかな図が浮かぶ。都内のすし詰め電車ではなく、回りを緑に囲まれた、静かな駅なのだろう。スイーッと赤トンボが水平飛行をし、悠々と改札口を抜けてホームに向かう様子が描かれている。
 そのまま電車に乗り、どこか遠くの駅まで行ってはどうか。
 都会の電車に無賃乗車する虫は、せいぜい蛾か蚊だ。下手すれば、ダニやゴキブリかもしれない。赤トンボが乗ってくれたら、車内も和むのにな。
 かけ込み乗車にご注意ください。


 冬
「餅膨れ離ればなれとなる焦げ目」  高野よしこさん

 思わず唸る観察力である。
 オーブントースターの中の餅は、熱により膨らみながら、こんがり焦げてくる。地球儀にある、オーストラリアのような形に色づくこともある。しかし、風船のようにプーッと膨らむと、オーストラリアは裂けてしまうのだ。中から白くて軟らかな餅が飛び出して、焦げ目は離ればなれとなる。
 この餅は、野菜と鶏肉が入った、醤油ベースの雑煮に入れるのだろうか。それもいいが、私は断然、ゆであずきたっぷりのお汁粉にしたい。
 結局最後は、食べ物で終わるようで……。

※ 合同句集『なめがた』は市販されておりません。
  お求めになりたい方は、株式会社 さんゆう社印刷(0299-55-3535)までお問い合わせください。(1冊3000円)



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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)
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