20歳年下のメル友を持つ久美子は、休日になると朝からソワソワするようになった。9時半くらいになると、携帯のバイブ音がうなるからだ。それは可愛いユウキからの、待ちに待ったメールである。
-おはようございます。今日はメールできるかなぁ?
久美子もすぐに返信する。
-おはよう。大丈夫よ。今日は休みなの。
そしてまたブーンと携帯が鳴る。
-今日は、どんなストッキング履いてますかぁ?
「またか……」と天を仰いだあと気を取り直し、久美子は短い文を打つ。
-休みの日は履かないの。
-そぉなんだぁ~。それは残念だなぁ。
こんな調子で、メールは延々と往復を続ける。せっかくの休日だから片付けたいことはたくさんあるが、ユウキとのやり取りが楽しくてついこちらを優先してしまう。
-久美ちゃんの写メ欲しいなぁ~! 交換しようよぉ。
今日はユウキからこんな申し出があった。メル友が写メを交換するのは当たり前のことのようだ。が、アラフォー世代の久美子にとっては、少々荷が重かった。
やだわ……。もし送ったら、ガッカリするんじゃないかしら……。
きっと、ユウキは小池徹平のような、愛くるしい容姿をしているのではないか。年上の彼女のペットとなっていることといい、写メ交換を言い出すことといい、自分に自信がある様子が伺える。自分の写メを送るのはイヤな久美子だが、ユウキがどんな顔をしているのかは知りたかった。
まずは探りを入れてみよう。
-ユウキ君は、芸能人でいえば誰に似ているの?
-そうだね。ジャッキー・チェンに似てるって言われたな。久美ちゃんは?
え? ジャッキーに?
アラフォー世代にとって、ジャッキー・チェンは偉大なるスーパースターだ。クンフーの達人にミスマッチなベビーフェイス、抜群のユーモア、尊敬に値するプロ意識などなど、全盛期の魅力が鮮やかに蘇ってきた。
すっご~い!! ジャニーズ系美少年も捨てがたいけど、ジャッキーのほうが何倍もいいわぁ!
久美子はすぐさま、返事を送った。
-私、ジャッキーのファンだったの! うれしいな♪ 私は森口博子に似ているって。知ってる?
-知ってるよぉ。ますます写メが楽しみだよぉ~!
-私もユウキ君の写メが見たいな。
-久美ちゃんの写メもらったら、すぐ送るよぉ。
しょうがない……。久美子は携帯のカメラを起動させ、内側カメラに切り替えた。が、何回撮影しても納得のいく写真が撮れない。撮っては消し、撮っては消しを繰り返した末、ようやく妥協できるレベルにたどり着いた。
-お待たせ~! これが私でーす。ユウキ君の写メも待ってるからね。
久美子が送信して5分後くらいに、ユウキからの返信が届いた。
-ありがとうございました。これが僕です。よろしくお願いします。
久美子はドキドキしながら、本文のあとに添付された画像を見た。その瞬間、うず巻き型の洗濯機に放り込まれたようなめまいがし、世界がグルグル回りだした。
ユウキ!! あんた、ジャッキー・チェンが誰だかわかってないよ!!
そこには、ジャッキーの兄貴分、サモ・ハン・キンポーそっくりの、小太りの青年が映っていた。
久美子は、へなへなと床に座り込み、自分の思い込みを深く悔いた。
ああ……ストッキング返してぇ~!!!
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-おはよう。大丈夫よ。今日は休みなの。
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「またか……」と天を仰いだあと気を取り直し、久美子は短い文を打つ。
-休みの日は履かないの。
-そぉなんだぁ~。それは残念だなぁ。
こんな調子で、メールは延々と往復を続ける。せっかくの休日だから片付けたいことはたくさんあるが、ユウキとのやり取りが楽しくてついこちらを優先してしまう。
-久美ちゃんの写メ欲しいなぁ~! 交換しようよぉ。
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やだわ……。もし送ったら、ガッカリするんじゃないかしら……。
きっと、ユウキは小池徹平のような、愛くるしい容姿をしているのではないか。年上の彼女のペットとなっていることといい、写メ交換を言い出すことといい、自分に自信がある様子が伺える。自分の写メを送るのはイヤな久美子だが、ユウキがどんな顔をしているのかは知りたかった。
まずは探りを入れてみよう。
-ユウキ君は、芸能人でいえば誰に似ているの?
-そうだね。ジャッキー・チェンに似てるって言われたな。久美ちゃんは?
え? ジャッキーに?
アラフォー世代にとって、ジャッキー・チェンは偉大なるスーパースターだ。クンフーの達人にミスマッチなベビーフェイス、抜群のユーモア、尊敬に値するプロ意識などなど、全盛期の魅力が鮮やかに蘇ってきた。
すっご~い!! ジャニーズ系美少年も捨てがたいけど、ジャッキーのほうが何倍もいいわぁ!
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-久美ちゃんの写メもらったら、すぐ送るよぉ。
しょうがない……。久美子は携帯のカメラを起動させ、内側カメラに切り替えた。が、何回撮影しても納得のいく写真が撮れない。撮っては消し、撮っては消しを繰り返した末、ようやく妥協できるレベルにたどり着いた。
-お待たせ~! これが私でーす。ユウキ君の写メも待ってるからね。
久美子が送信して5分後くらいに、ユウキからの返信が届いた。
-ありがとうございました。これが僕です。よろしくお願いします。
久美子はドキドキしながら、本文のあとに添付された画像を見た。その瞬間、うず巻き型の洗濯機に放り込まれたようなめまいがし、世界がグルグル回りだした。
ユウキ!! あんた、ジャッキー・チェンが誰だかわかってないよ!!
そこには、ジャッキーの兄貴分、サモ・ハン・キンポーそっくりの、小太りの青年が映っていた。
久美子は、へなへなと床に座り込み、自分の思い込みを深く悔いた。
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