このBlogにときどきコメントを寄せてくださるm-funさんの座右の書のひとつということで手に取りました。
著者のマルクス・アウレリウス(Marcus Aurelius Antoninus)は、紀元後2世紀のローマ皇帝でストア学派の哲学者でもありました。
高校の世界史にも登場する「五賢帝の最後の皇帝」です。
五賢帝時代は統治に有能な人物を養子縁組によって後継皇帝に指定することで成立していました。しかし、彼は才能に欠ける実子コンモドゥスを帝位後継者に指定したため、彼を最後に五賢帝時代は幕を閉じたのです。
彼は、内政においては、学校・孤児院・病院の建設や減税等貧しい者に配慮した政策を推進し、また、法律の整備・刑罰の軽減・奴隷の待遇改善等にも尽くしました。
他方、ストア派哲学者としての彼の貴重な足跡は、著作「自省録」において公式化され表明・集積されているのです。
「自省録」はまさに古来より読み継がれてきた珠玉の箴言集ですから、どこをとっても刺激的なフレーズのオンパレードです。
まずはポジティブ・シンキング系です。
(p72より引用) 実際我々の精神はすべてその活動の妨げになるものをくつがえし、これを目的の達成に役立つものと変えてしまう。かくて活動の妨げになっていたものが却ってこれを助けるものとなり、道の邪魔をしていたものが却ってこの道を楽にするものとなってしまうのである。
彼は、自分自身の主観は自分自身の意志でコントロールできると言います。
(p205より引用) すべては主観にすぎないことを思え。その主観は君の力でどうにでもなるのだ。したがって君の意のままに主観を除去するがよい。するとあたかも岬をまわった船のごとく眼前にあらわれるのは、見よ、凪と、まったき静けさと、波のなき入り江。