今まで読んだウェルチの本ではあまり登場しませんでしたが、この本では、「危機管理」をテーマにした一章が設けられています。
まず、ウェルチ氏は、「危機は起こるものなのだ」と言います。
全くそのとおりで、この前提をどのくらい真面目にリアルなものとして認識するかが「危機管理の成否の分水嶺」だと思います。当たり前ですが、「危機は必ず起こる」と信じて?準備をしなくてはなりません。
「危機」が起こったときのリーダーとしての重要なポイントです。
(p174より引用) 危機時には、勇敢にバランスをとる必要がある。一方では、すべてを投げ打って、危機を理解し解決することに全力を尽くさなくてはならない。・・・同時に、それを引き出しに隠して、何も不都合なことがないかのような顔をして、仕事をこなさなくてはならない。これはリーダーが時としておろそかにし、後悔することだ。危機にばかり集中すれば、危機は組織全体に襲いかかり、非難、恐怖、停滞の渦に巻き込んでしまう。
ウェルチ氏は、「何かがおかしいと感じたら、それを否定するステップはすっ飛ばす」と言います。
これもまた全くそのとおりです。危機が現実に起こっているのに「起こっていない」と信じようとしても無駄骨です。(そう思いたい気持ちはわかりますが・・・)
さて、実際に危機が起こったときに覚悟すべき具体的想定事項としては、以下の5つのポイントが挙げられています。
(p177より引用)
- 第一に、問題は見かけよりもひどいと想定すること。
- 第二に、この世に秘密にしておけることは何もなく、やがてすべてが白日のもとにさらされると想定すること。
- 第三に、あなたやあなたの組織が危機に対処する姿は、最悪の形で描かれると想定すること。
- 第四に、業務手順と人に変化が生じると想定すること。血を見ることなく収拾できる危機はないと思っていい。
- 第五に、あなたの組織は生き残り、危機的事件のおかげでさらに強くなると想定すること。
そして、ウェルチ氏は、危機管理におけるもう一つの大事な肝について、こう言います。
(p187より引用) 危機のときに常に必要となるものは、信用なのだ。