先に紹介した「直観でわかる数学」の続きです。
畑村氏は、「わかるように教える」ということも大事にしています。
その例として「分数の割り算」が取り上げられています。
「どうして分数の割り算は、ひっくり返して掛けるとできるのか?」
畑村氏流の理解の仕方(教え方)では、割り算には3つの意味があると言います。
① △の中に○が何個あるか数える
② △を○個に分ける
③ △と○を比べる
で、「分数の割り算」は①の意味で考えます。
たとえば、6÷1/3の例でいえば、6の中に1/3が何個あるかと考えるのです。
その場合、いきなり「6の中に」と考えるのではなく、まず、「1の中に1/3が何個あるか」を考えてみます。すると「3個」あることが分かります。1の中に1/3は3個あるので、6の中だと「6×3個=18」となるわけです。
こんな感じで、いままで学校で「理由や理解はともかく『方法』だけ覚えこまされたこと」を、「わかるように解説」していきます。
さらに、そういった解説に使われている「図」が非常に効果的な役割を果たしています。
先の畑村氏の著作でもそうでしたが、シンプルでありかつ的確に理解を助けるような「図(絵)」が豊富に載せられています。
この本は、「数学がすらすら解けるようになるための本」ではありません。「数学(算数)を材料」にして、「わかったという状態に至るプロセスを描き出した本」「わかったという状態にするための工夫を開陳した本」という感じがします。
その裏返しとして、「自らの頭で考えて疑問を持つことの大事さを訴えた本」とも言えます。
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