OMOI-KOMI - 我流の作法 -

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新・地図のない旅 III (五木 寛之)

2024-09-30 15:53:26 | 本と雑誌

 

 いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。

 五木寛之さんのエッセイを見つけると、いまだについ手が伸びてしまいます。「地図のない旅」というタイトルの本ははるか昔読んだ記憶があるのですが、長い年月を経ての “新” 版です。

 先日来読んだ「Ⅰ」「Ⅱ」に続いて、本書「Ⅲ」が “完結編” となるようですが、内容は特段 “完結” を意識したものではなく、前作、前々作と同様に五木さんの普段と変わらぬ筆致で綴られたエッセイそのものです。

 ということで、今までどおり、私の関心を惹いたところをひとつ覚えとして書き留めておきます。

 「虚像と実像のあいだに」との小文の中で心を止めたくだりです。
 モハメド・アリとのインタビューの際のエピソードは、五木さんの他のエッセイでも紹介されていますが、本書ではこんな内容でした。

(p135より引用) 若い頃、ボクシングのヘビー級チャンピオンだったモハメッド・アリと対談をしことがある。
 私が最初に彼に質問したのは、生まれてはじめての記憶は?というものだった。どうせ通りいっぺんの答えしか返ってこないだろうと予想していたのだが、そうでは なかった。・・・
 「うーん」
 と、額に手を当ててうつむくと、十分以上も無言で考え込んでしまったのである。しばらくして、彼は独りごとのようにポツリポツリと話しはじめた。・・・
 古い記憶の糸をまさぐるように、遠くをみつめて彼は話しだした。

 こういう姿から、フィルターを通さないその方のそのままの人柄を伺い知ることができるのですね。
 とても魅力に満ちた人物です。

 

 

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〔映画〕暴走特急

2024-09-29 13:37:37 | 映画

 
 1995年に公開されたアメリカ映画です。
 
 スティーヴン・セガールが制作・主演の “アクション作品” ですが、私は、いままでもほとんどスティーヴン・セガールの出演作を観ていません。何となく“あか抜けない” んですね。
 
 本作を観て改めて感じたのですが、他の人気シリーズでは、主人公を中心に “いつものチーム” が活躍したり、主人公以上に話題を振りまく “パートナー” が登場したりと楽しみの幅が広いのに対し、このシリーズの場合は、ともかく“セガールが唯一のスーパーヒーロー” というスタンスに尽きるので、好き嫌いがはっきりしてしまうように思います。
 
 作品自体も、ストーリーは平凡ですし、映像は、ところどころに迫力のあるシーンもあるのですが、これといった目新しさがありません。
 
 まあ、そうは言ってもせっかくですから、もう1作ぐらいトライしてみましょう。

 

 

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〔映画〕バッド・バディ! 私と彼の暗殺デート

2024-09-28 13:17:05 | 映画

 
 2015年に公開されたアメリカ映画です。
 
 強いていえば “アクション・コメディ” というのでしょうが、まあよくわからない映画でしたね。
 設定もストーリーも・・・。感想も言いようがありません。
 
 まあ、目についたものを手当たり次第観ていれば、こういった作品にもぶつかりますね。

 

 

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〔映画〕マグニフィセント・セブン

2024-09-27 09:31:26 | 映画

 
 2016年に公開されたアメリカ映画です。
 
 1960年の映画「荒野の七人」のリメイクとのことですが、今作り直すとこんな感じになるんですかね。
 
 さすがに1954年の「七人の侍」の時代ではないのですが、「荒野の七人」はリアルタイムではないにせよはるか昔に観たことがあって、とても印象深かっただけに、このリメイク版は正直言ってかなりがっかりです。
 
 「荒野の七人」では、ユル・ブリンナーの人集めの過程がひとつの面白みであり、集まったガンマンも、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ロバート・ヴォーン、ジェームズ・コバーンといった個性的な超大物でしたが、本作ではそのあたりも大きく見劣りしてしまいます。
 
 ストーリー展開も、住人たちとの関わりに深みがなく、観ていても心情的な思い入れには至りませんでした。

 

 

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〔映画〕スタートレックIV 故郷への長い道

2024-09-26 14:54:20 | 映画

 
 1986年に公開されたアメリカ映画です。
 
 「スタートレック」シリーズは新旧合わせてかなり見ていますが、この作品は抜けていました。
 
 しかしこの作品、シリーズの中でもかなり変わったテイストですね。
 舞台の大半は”宇宙“ではなく“20世紀のサンフランシスコ”ですし、“クジラ” がキーアイテムになった設定は唐突感max。

 正直な印象では理解不能なのですが、いつものエンタープライズ号のメンバーによる “SFコメディ” だと思えばそれはそれで楽しめます。

 

 

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〔映画〕ザ・クリミナル 合衆国の陰謀

2024-09-25 12:21:31 | 映画

 
 2008年に公開されたアメリカ映画です。
 
 こういった時の政権を揺るがすような “暴露報道”をモチーフにしたサスペンスタッチの作品はよくあるタイプですね。
 
 本作品も実際にあった事件に着想を得たものとのことですが、描かれた物語は、モデルのケースとはかなり異なる内容になっています。
 正直なところ、中盤のストーリー展開が冗長なのと、結末がぼやけてしまったので、作品の出来栄えは今一つといった印象でした。
 
 ジャーナリストとしての職業倫理と国家安全保障上の危機管理との法的な優劣が、合衆国法においてどう規定されているのか不勉強なのですが、もしこの映画のとおりであるなら、結局のところこういったラストの持って行き方はうまく進めた方なのでしょうね。

 

 

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古代エジプト動物誌 (酒井 傳六)

2024-09-24 13:15:34 | 本と雑誌

 

 いつも利用している図書館の新着本リストで、タイトルに惹かれて手に取ってみました。

 1984年に出版された「古代エジプト動物記」を改題したものとのことでちょっと古い本ですが、変わった切り口なので気になったものです。

 読み通しての感想ですが、私が勝手に思い描いていた内容とはかなりズレていました。
 もう少し対象の “動物” にフォーカスして、その生態や当時の人々との関わり方をもっと立体的に解説しているのかと思っていたのですが、実際は、王家や宗教等を柱にエジプト王朝の中でのそれぞれの動物の位置づけを多くの “ピラミッド・テキスト” からの引用を示しながら顕かにしようと試みた著作でした。

 もちろん、それでも数々の興味深いトピックは紹介されていました。それらの中から特に私の関心を惹いたところをひとつ書き留めておきましょう。

 対象は “馬” です。

(p282より引用) 馬の主たる用途は軍事用であって、おおむね二頭だてで曳かせる戦車は戦場の主役であった。その活動の姿は、王の記録だけでなく、貴族や軍人の記録に描かれた。ここで「記録」というのは、文字記録だけでなく、神殿、記念碑、墓室の画やレリーフの芸術表現も含むのであって、ここで描かれる馬の姿はまさに颯爽たるものであった。芸術家は躍動する馬を描くことに情熱を傾けた。こうして、馬は、新王国時代の芸術に革命的な活気を与えた。

 この芸術性の高まりが、第18王朝のツタンカーメン王の数々の遺品や第19王朝のラムセス2世の建造物のレリーフや絵画に残されたのでした。

 

 

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〔映画〕森の中のレストラン

2024-09-23 11:25:07 | 映画

 
 2022年に公開された日本映画です。
 
 落ち着いたトーンというか “地味” な作品ですが、扱っているモチーフ自体繊細なものなので、むべなるかなではあります。
 
 物語の構成も素直で訥々と進んでいくのですが、それだけに役者の方々の技量に加え、もっている人柄がそのままに伝わってくるように感じました。
 いい映画だと思います。

 

 

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〔映画〕雪の華

2024-09-22 10:22:22 | 映画

 
 2019年に公開された日本映画です。
 
 中島美嘉さんの代表曲である「雪の華」をモチーフにしたラブストーリーですが、まあ、予想どおり、これでもかという我田引水的設定のコテコテの作りですね。
 
 ただ、これはこれで正解だったように思います。いたずらに感動や涙を煽るような過度な演出もなく、素直に予定調和のエンディングにもっていったところなどは、中途半端かもしれませんが、私は嫌いではありません。
 
 中条あやみさんの台詞や演技もこういったテイストにはマッチしていましたね。
 
 あと、弦楽器で奏でるメロディをメインにした葉加瀬太郎さんの音楽。こちらもとても自然で効果的でした。

 

 

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〔映画〕シュリ

2024-09-21 19:01:35 | 映画

 
 1999年に公開された韓国映画です。
 
 アクション映画としての評価が高く、その後の “韓流ブーム” の嚆矢となった作品とのことだったので、興味を持って観てみました。
 
 しかしながら、私には全く響きませんでした。
 現実感が感じられない設定と、ディーテイルを無視した雑な演出はありえないレベルだと思いますあれだけの銃撃戦を繰り広げておきながら一発の弾も当たらないとか、潜伏場所の周りを包囲しないで突入作戦を実行するとか・・・
 
 アクション映画なら最低限のリアリティに拘るべきですし、ラブストーリーを求めるのならこういった設定を選択すべきではないでしょう。

 

 

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〔映画〕ライド・ライク・ア・ガール

2024-09-20 20:37:03 | 映画

 
 2019年に公開されたオーストラリア映画です。
 
 実話にもとづく作品とのことですが、こういった過度な修飾を施さないストレートな物語は観ていてとても気持ちがいいですね。もちろんモチーフがシンプルなので、そもそも変な小細工は不要だったでしょう。
 
 キャスティング面では、父親役にはサム・ニールというビッグネームが据えられて、要としての安定感をもたらしていることに加え、そのほかの出演者はそれぞれに新鮮味があって好感が持てました。

 

 

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〔映画〕ハリー・ポッターと賢者の石

2024-09-19 16:17:30 | 映画

 
 2001年に公開されたイギリス・アメリカ合作映画です。
 
 このところ気楽に楽しめる映画にあたっていないので、無難な作品を選んでみました。
 
 一世を風靡した「ハリー・ポッター」シリーズの第1作目ですが、独特のファンタジックな世界観が見事にあたりましたね。
 
 キャスティング面でも、ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフ、ロン・ウィーズリー役のルパート・グリント、ハーマイオニー・グレンジャー役のエマ・ワトソンというコンビが、それぞれに個性的だったことに加え、シリーズ中不変だったのも、好印象を持続するのに大きな力になったようです。

 

 

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魔女の封印 (大沢 在昌)

2024-09-18 20:34:40 | 本と雑誌

 

 いつも聴いている大竹まことさんのpodcast番組に大沢在昌さんがゲスト出演していて最新作を紹介していました。

 大沢さんの代表的な作品である “新宿鮫シリーズ” はほとんど読んでいるのですが、この “魔女シリーズ” は初めてでした。
 
お話を聞いていてその主人公の設定にちょっと興味を持ったので、先日まずは第1作目、続けて第2作目も読んでみました。ここまでくると、ものはついでで、第3作目にも手を伸ばしました。

 小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、今までの大沢さんの作品とはかなり異質な設定でしたね。
 SFというかオカルトチックで “思い切ったなぁ” というのが率直な印象でした。

 特異なキャラを登場させたこともありラストの納め方が気になりましたが、読みながら想像したものよりも “手前” で止めたようです。大沢さんにしては “中途半端” のような気もしますが、こういうのを “余韻” と呼ぶのかもしれません。

 さて、これで、ようやく最新刊に手を伸ばせます。

 

 

 

 

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〔映画〕ブレイクアウト

2024-09-17 12:55:42 | 映画


 2011年に公開されたアメリカ映画です。

 ニコラス・ケイジとニコール・キッドマンが出演するサイコ・スリラー作品ということだったので、だいたいの感じは想像できましたし、まさに、その通りといった出来栄えです。

 ともかく、設定やストーリーが大雑把で、何か新しい工夫で楽しませようという意欲のようなものが全く感じられません。
 安直に、ビッグスターを二人並べておけばいいと割り切っているのでしょうか。

 

 

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〔映画〕シャッター アイランド

2024-09-16 09:55:53 | 映画

 

 2010年に公開されたアメリカ映画です。

 こういった設定だと、サプライズで終わるのが “お決まり” ですね。

 その前提で、伏線の配置や二転三転するエピソードの織り込み方が気になるところですが、それらを押さえる注意力よりも、芸達者な出演者の演ずる映像に素直に引きずられたという感覚です。レオナルド・ディカプリオをはじめとして、マーク・ラファロもベン・キングスレーも、それぞれ流石に見事な演技でした。

 できればもう一度観て、“謎解き” に挑戦したい気持ちもありますが、今はそこまでのエネルギーが湧いてきません。

 

 

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