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宇宙の進化 (デカルト(野田 又夫))

2006-06-16 01:32:38 | 本と雑誌

 先にデカルトは、哲学のみならず数学の世界にも大きな功績を残したと紹介をしました。
 彼の思索の広がりは物理学・天文学・生理学にも至ります。

 科学の分野での彼の思考の機軸は、「機械論」であったと言います。 
 機械論の原型は、古代ギリシャのデモクリトスが提唱した原子論です。この思想が17世紀初め再びデカルトらにより表舞台に復活しました。近世の機械論によると、主にぜんまい時計が基本モデルとされ、自然は、機械的な運動法則に従って動く集合体だとみなされました。

 この機械論をベースに、デカルトは、宇宙はさまざまな状態の物質で完全にみたされ、その物質が太陽の周りをまわっているという渦動説を考案したのでした。

(p144より引用) ニュートンにおいてはかえって捨てられ、ニュートン以後人々が復活したデカルトの考えがあります。それは、太陽系が、現在あるような形になったのは永い進化の過程を経た結果であると考えることであります。この見地からは、デカルトの渦動論は、後にカントやラプラスの考えた太陽系発生論につながる仮説であったとみとめられます。ニュートンの方は、聖書の説くところに従って、この世界が六千年くらい前に神の手で現在あるような秩序においてつくられ、諸遊星は創造の日からいまのように運行していたと考えているのであります。

 このデカルトの渦動説は、結果的には誤った考えではありましたが、18世紀以降の「宇宙進化論」の先駆けとなるものでした。

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