いつも参考にさせていただいている「ふとっちょパパ」さんのBlogで紹介されていたので読んで見ました。
著者三枝氏が実際に携わった事業改革の実例をもとに、複数社のケースをマージさせたストーリー仕立ての内容です。
冒頭、物語の舞台となる会社の様(事業改革前)が描かれるのですが、結構リアリティに富んでいて、おそらくどんな会社でも多少なりとも心当たりがあるようなシーンが次々に登場します。
三枝氏は、事業再建のストーリーに沿ってさまざまな登場人物に改革の推進や妨害をさせます。そしてその営みの中で、臨床医のように個々の症状(課題)に対する治療(ときには大掛かりな外科手術)を施していきます。
改革に至る共通パターンとして、三枝氏は、以下の8つのステップを示します。
(p293より引用) 会社の改革がうまく進むときには、必ず八つのステップがきちんと踏まれている。・・・
- 第1ステップ 「成り行きのシナリオ」
- 第2ステップ 「切迫感」
- 第3ステップ 「原因分析」
- 第4ステップ 「シナリオ作り」
- 第5ステップ 「決断」
- 第6ステップ 「現場への落とし込み」
- 第7ステップ 「実行」
- 第8ステップ 「成果の認知」
さらに、それぞれのステップごとに潜む障害を8つの壁として指摘しています。
- 第1ステップの壁 「現実直視不足」の壁
- 第2ステップの壁 「危機感不足」の壁
- 第3ステップの壁 「分析力不足」の壁
- 第4ステップの壁 「説得性不足」の壁
- 第5ステップの壁 「決断力不足」の壁
- 第6ステップの壁 「具体化力不足」の壁
- 第7ステップの壁 「継続力不足」の壁
- 第8ステップの壁 「達成感不足」の壁
通常の会社の場合、第1ステップの壁(「現実直視不足」の壁)や第2ステップの壁(「危機感不足」の壁)あたりに止まっているケースが多いように思います。
「事実」を認識する「頭」と、心から「マズイ」と感じる「皮膚感覚」がスタートになります。
「危機感」のなさは会社の中に傍観者を生み出します。傍観者は、(何もしないので)「無害」かといえば、決してそうではありません。
(p260より引用) 気楽な傍観者的行動は、ぎりぎりのところを走り抜けようとしている改革者を「死の谷」に落としかねない。何ヶ月もかけてきた改革の準備をぶち壊し、改革に向けた気持ちの結集を妨げ、事業救済の最後のチャンスを崩壊させかねないのだ。
深い覚悟や信念もないくせに、そんな行動がとれるほど、この会社の管理職の責任感が希薄になっているのである。