(p124より引用) どんな能力を持っている人でも、上役に変な人がいて、その上役だけの評価で判断されると芽が出ないものです。だから、いろいろな方向から見てやることが必要です。人間の生活は、クモの巣のように張りめぐらされた糸のなかにいれば、安定する。こうなっていれば、課長ににらまれようと、係長にきらわれていようと、おれのことは他の人が見てくれているという自信がもてる。安心して仕事をすることができる。
優しさにあふれた言葉だと思います。人の持ついい面を探し出そう、そしてそれを活かしてやろうという気持ちが伝わってきます。
現実的には、なかなかここまではできません。私も、長くつきあっているメンバとか同じプロジェクトのメンバとかであれば、ひとり一人の性格や実際上のがんばり、業績等も十分把握しているので、自分なりのフォローやケアをすることもできます。が、正直、それにも限界があります。能力的にもしくは純粋に物理的に十分にケアできない場合、どこまで何ができるか本当に悩ましく思います。
How To的なアプローチで人を活かす「方法」を論ずること自体が不遜なことなのです。
経営に終わりはない (文春文庫) | |
藤沢 武夫 | |
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