(p101より引用) 従来の商品にフォーカスしたダイレクトメール・キャンペーンでは2%の反応率が得られるかもしれない。しかし、もっと重要でありながら一般的に無視されている統計値が、80%の「反感」率である。適切に的が定められていないマーケティングは、実際のところ顧客との関係を損ねてしまうかもしれないのだ。
ある施策が効果を挙げた場合、そのプラス面ばかりに目がいってしまいます。が、一歩下がって全体を俯瞰し残りの部分についても意識して見ることも重要です。
表と裏、一部と残り、というように逆方向から見ることにより、新たな課題に気づいたり全体最適に近づいたりすることができます。
(p116より引用)コミュニケーション戦略は顧客との対話である。ひとり言ではない。・・・マーケティングのためのマーケティングは、顧客リレーションシップ戦略ではない。無理に聞かされる聴衆にとっては、なんのためにもならない独白である。顧客とのコンタクトがいつもアップセルやクロスセルの話だったら、それはリレーションシップの構築などではない。顧客に「特別提供」を連打することは、顧客の苛立ちをもたらす可能性の方が高い。
耳に痛い話ですが、けだし正論です。
(p124より引用)実用的な情報+ターゲットを絞ったマーケティング・コミュニケーション=より高い獲得率+低コスト+反感率の低下=価値の向上
データベースマーケティング手法を駆使し精緻に絞り込んだターゲットであったとしても、100発100中はあり得ません。
勧奨が功を奏して喜ばれるのは多くても数%の顧客に過ぎず、残りの大半の顧客には、満足感以外の何らかの気持ちを残すことになります。
ここでの盲点は、どんな優れたCRM施策であっても顧客の「反感を生む」可能性があるということです。
この本は、データウェアハウスシステムで最大手であるNCR社のCEO(当時)の著作なのでデータベースマーケティングの有効性をアピールした内容であることは当然ですが、多種多様な企業における具体的な実例を豊富に示してくれています。このため、データの具体的活用シーンをリアルにイメージすることができます。
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