昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

饂飩供養

2012-07-27 18:43:01 | グルメ

夏真っ盛り、土用丑の日、夏安居の季節が来た。夏安居とは禅家で、夏の期間、托鉢などを休んで、休養する時期を言う。夏の間、外に出て地の虫を踏み潰して殺生をしないように定められたともいうが怪しいものである。宗旨は違えど、身体の養生を要するのは洋の東西、仏教もキリスト教も同じである。そこで、自分への供養のつもりで、鰻ならぬ饂飩供養としゃれ込んだ。饂飩供養とは禅家で、この日ばかりは饂飩が食い放題と、普段は天井が透けて見えるような粥を啜って、禁欲的な食生活にいそしんでいる禅僧たちを供養するために、節句などに行うものである。夏目漱石の『吾輩は猫である』に、「饂飩は馬子の喰うものだ」と迷亭が苦沙彌にのたまう場面がある。迷亭が蕎麦を食うくだりである。オカブも饂飩より蕎麦のほうが好きだ。しかしこう暑いと蕎麦よりも冷やした饂飩である。タライ一杯に茹でた饂飩とかち割り氷をぶち込んで、食欲もいや増したところで一心不乱に食らう。満足満足である。

日盛りや物売りの声遠のきて     素閑

2012julyudonkuyou