昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

等々力渓谷に行ってきました。

2014-11-24 00:36:00 | まち歩き

三連休の最終日、かーたんと等々力渓谷に行ってきた。
晩秋の今は盛りの紅葉を観ようということで、重い腰を上げたのだが、結果は葉は色づき始めたばかり。少々肩すかしではあった。しかし佳き一日を過ごしたので良しとしよう。
休日とて、遅いお目覚め。なんやかんやで出かける準備に時間がかかり、昼前に家を出る。三茶から等々力行のバスに乗る。20分ほどで等々力駅に着く。駅前の案内板で等々力渓谷への道順をチェック。
鉄橋の脇から渓谷に降りる。先に申しあげたように木々の葉はまだ色づき始めたばかり。かーたんと「まだ紅葉してないじゃん」とぶーたれていたのだが、都会の真ん中のわずかばかりの区域とはいえ、自然の趣に触れて、失望の念も次第に薄れ、青々とした木々と、さらさらと流れる(清流とはとても言えないが一昔前のどぶ川然とした水に比べれば澄んでいる)水に、次第に心ほぐれ、秋の気配を満喫することになった。連休ということもあり、この都会のささやかな行楽地は大変な人出。細い渓流沿いの路をすれ違うのにも骨が折れる。カメラを操る人、黄色くなりかけた銀杏を見上げいいなあ、と口にする人、小さな子供と戯れながら歩く家族連れ、お年寄り同士のグループ。それぞれの秋の楽しみ方があってよい。 今日は曇り空とあって、冷え込みもそれほど厳しくなく、コートを着て長く歩いていると汗ばんでくるほどだ。
水の流れは落ち葉を浮かべて優しく移ろいの表情を見せる。滝の修業場の対岸に日本庭園があった。坂道を上がっていくと茶亭などもありなかなかいい雰囲気。茶亭では湯茶の接待もある。
修業場では行者はいなかったが、等々力の名の由来となった滝の流れ落ちる音が、渓谷に谺して名の通り「とどろいて」霊厳な様を顕している。真言密教の行者は本尊の大日如来の脇侍である不動明王と一体となるために修業するという。不動明王との一体感が彼らに法悦を与える。
等々力不動への登り口に茶店があった。入ろうと思ったが汁粉一杯500円也に恐れをなして遠慮しておいた。等々力不動の境内は渓谷から上がってきた人でにぎわっていた。本堂では厄除けのお札を打っている。遅い七五三を祝う親子連れもいた。 等々力不動から九品仏に向かう。目黒通りに出て環八との交差点で環八を右に入り尾山台駅前の商店街に入る。
商店街で、『尾山台更科』という蕎麦屋を見つけ暖簾をくぐる。この蕎麦屋はキッチンを受け持つ女将と思われる老女と、キッチンとホールを受け持つお姐さんと、主にホール・会計担当のおばはんの女三人で切り盛りするという不思議な蕎麦屋であった。ただ、女の蕎麦屋でも蕎麦の味は確かであった。この店のお姐さんはかなりいけている容姿で蕎麦屋のウェイトレスをさせておくにはもったいない風貌であった。
早速、大平山の熱燗大徳利とせいろ大盛りを頼む。かーたんはミニかつ丼とミニざるそばのセット。蕎麦は更科の名の通り色が白く腰が強く実に美味い。汁も程よい味加減。なかなか侮れない女三人なのであった。かーたんがオカブがとった酒を少し飲むというから猪口も二つ出ていることだし少し分けてあげた。かーたんのセットのかつ丼はミニとは思えないボリュームで、かーたんはその量を持て余していた。ここでゆっくり休んでお支払いは2,450円。なかなか結構な蕎麦屋でなのであった。

初冬の仏のかんばせ蕎麦屋酒   素閑




尾山台の商店街を抜け高級住宅街に入る。途中、逸見政孝と表札の出た豪邸が目に入り、かーたんと二人意外なところに意外な人が住んでいたなと目を見合わせる。
東急線の踏切を渡り、こんもりした木立が見えたのであれが九品仏だろうと当たりをつけて向う。その木立は確かに九品仏浄真寺の物であったが東急線側からだと裏の墓地に突き当たってしまい、境内を約一周して山門にたどり着いた。
九品仏浄真寺は浄土宗。もちろん本尊は阿弥陀如来である。
九品仏の由来となった三品三生の阿弥陀堂は遷仏して改修中であった。しかし、かろうじて上品上生の最高位の阿弥陀仏を見ることが出来た。人間はその人の生前の生き様によって九つの往生の仕方がある。上品上生という最高の極楽往生になると阿弥陀如来が娑婆にじきじきに迎えに来るという話をかーたんにしてやった。
その他、昭和天皇お手植えの松、河口慧海の記念碑、観音堂、馬頭観音、地蔵菩薩などがあった。見るべきものが多すぎる。少し疲れてきた。最後に閻魔堂を観た。かーたんがしょうづかのお婆様の像を指して怖そうというから、あの人は閻魔様の裁きの時にとりなしてくれる人だよと解説してやった。
浄真寺を出て自由ヶ丘に向かう。 途中、かーたんとエルさんの母校である玉川聖学院がある。懐かしくてキャンパスを覗いていたら、旧知の前学院長のB先生がいた。思わず嬉しくなって挨拶する。この学校はプロテスタントのミッション・スクールで、B先生が「学校のためにお祈りください」とおっしゃり、もちろん「お祈りします」と応えた。仏閣巡りをしてきてキリスト教の祈りをするというとなにかちぐはぐな気がするがオカブもかーたんもクリスチャンだからしかたがない。
自由ヶ丘に来たのはここからバスで三軒茶屋まで帰るつもりであったからだが、バス停に長い行列が出来ていたので、東急線で二子玉川に出てそこで田園都市線に乗り換え三軒茶屋経由で帰ってきた。
三茶からの帰り道、代沢十字路の『ムッティス・クーヘン』でシュトーレンが出ていたので買ってきた。この店のフラウによれば今年のシュトーレンの初売上であるそうだ。
家に帰ってきてどっと疲れた。お疲れ様。

妻ともにすごせし勤労感謝の日    素閑