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ミステリ専門書店(翻訳もの限定)
ワニと読むミステリ(帽子収集狂事件)
![]() | 帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫) |
ジョン・ディクスン・カー | |
東京創元社 |
![]() | The Mad Hatter Mystery (Dr. Gideon Fell Mystery) |
John Dickson Carr | |
Harpercollins |
読むと、機会があるかが重要。
(ジョン・ディクスン・カー著)
久々にカーの本を手にとりました。はるか昔にこの本は読んでいますが、新訳になったのでちょっともう一度読んでみようかと。
時は1932年。ロンドンでは連続帽子盗難事件が話題になっています。その記事を書いているのはフリーランス記者フィリップで、高名な古書収集家のサー・ウィリアム・ビットンの甥です。サー・ウィリアム自身も帽子盗難の被害にあっています。
ポーの未発表原稿を入手したサー・ウィリアムですが、その原稿を盗まれてしまいます。原稿盗難を解決すべく招かれたフェル博士とサー・ウィリアムが面会しているとそこにもたらされたのは、甥のフィリップが殺されているのが発見されたというニュースです。霧のロンドン塔の逆賊門のところで死体は発見され、しかもサー・ウィリアムの盗まれたシルクハットをかぶせられています。
このロンドン塔が事件の現場というのが良いですね。ロンドン塔というだけで、なんだかぞくぞくします。しかも深い霧の中です。
帽子盗難事件と、ポーの未発表原稿盗難事件と、2つの盗難事件が進行して、それがどうからみあっているのか、首をひねりながら、読んでいくことになりますよ。その次が早く知りたい!と叫ぶかも。
ポーの原稿というのもミステリアスな感じを増します。
フィリップはなぜ殺されなければならなかったのか。帽子盗難事件の解決に迫っていたからか。
ポーの原稿はサー・ウィリアムの屋敷に保管されていて、外からの侵入犯の可能性が極めて低い状況にあり、犯人は家族・使用人の誰かに絞られるように見えますが、誰にも動機がないようです。
多くの謎がだんだん解き明かされて、謎と謎の関係が明らかになっていく、ミステリファンにとってはこんなに楽しいミステリはなかなかないでしょう。
さすが江戸川乱歩がミステリ黄金時代ベスト10に選んだだけのことはあります。
1933年刊行。昭和8年です。時代の古さはこのミステリの魅力には関係なし。
■ポーつながり
ポーに捧げる20の物語
スチュアート・M・カミンスキー編の、ポー生誕200周年記念アンソロジーです。
トマス・H・クック、メアリ・ヒギンズ・クラーク、S・J・ローザン、ドン・ウィンズロウなど、アメリカを代表するミステリ作家たちの書き下ろしです。
■1932年つながり
愛は売るもの
これはジル・チャーチルの御屋敷に住んでるけどお金がないリリーとロバートのブルースター兄妹のミステリです。設定が、1932年のニューヨーク州です。
主人公: ギディオン・フェル博士(探偵)
場所: イギリス、ロンドン
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
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