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ワニと読むミステリ(いたって明解な殺人)

いたって明解な殺人 (新潮文庫)
グラント・ジャーキンス
新潮社

A Very Simple Crime
Grant Jerkins
Berkley Trade

読むと、その人の行動は性格によります。
 
(グラント・ジャーキンス著)
 グラント・ジャーキンスのデビュー作です。
 会社役員のアダムが愛人との旅行から帰宅すると、頭をクリスタルの灰皿で割られた妻が死んでいるのを発見します。傍らには知的障害を持つ息子のアルバート。過去にも灰皿で同室の少年を殺害したことがあることから事件は単純なものと検察は判断しますが、それに反する現場状況をつきつけたのは、下級検事補(扱うのは交通法違反のみ)レオ。事件は夫であるアダムの犯行であるとされます。
 弁護するのはアダムの兄で弁護士であるモンティ。まれにみる美貌を武器に数々の裁判で勝ちをおさめています。
 アダムと妻レイチェルのなれそめから結婚生活まで語られますが、少し異常かもしれません。
 さらに両親を早くに亡くしたモンティとアダムの少年時代の出来事など、どの話も引き込まれるような感じです。
 この事件解決に大きな役割を果たすのは、将来を約束されていながら少女連続殺人事件で失敗してしまい、今は下級検事補の地位に甘んじるしかないレオです。レオの性格が事件の行方に大いに関係しますよ。
 最後は法廷での駆け引きなど、ペリー・メイスンを思い出させるようなところもあります。
 これからどうなるのか、知らず知らずに速読状態になってしまっていました。それだけストーリーに引き込まれてしまいます。
 
 訳者あとがきによると、この処女作はあるコンテストに入賞したことで出版への道が開けましたが、内容が暗すぎる、肩入れしたくなる登場人物がいないといったことを理由に、出版を何社からも断られたそうです。それが刊行とほぼ同時に、脚本ニコラス・カザン、監督バーベット・シュローダーの『運命の逆転』コンビで映画化の話が進行しはじめたということです。
 映画化されたら見てみたいです。

 次回作は南部色を意識したものだそうです。アトランタらしい風景がでてくるかもしれません。どのように描かれるのか、今から楽しみです。

主人公: アダム・リー(会社役員)
場所:  USA、ジョージア州アトランタ
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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