おばあちゃんのコーヒーは、甘すぎます

2009年04月23日 | お客さん宅で
            (豊臣軍が「珍なる坂」と嘆いた峠も、
                           珍坂トンネルであっという間)

世の中不思議な名前や、人物や出来事って色々ありますね。
電気屋してから30年余り、当店は田舎ですから、山間(やまあい)にしても平野にしても、なんせお客様にお年寄りがいっぱいです。
それもおばあちゃんの一人暮らしの多いいこと、ウジャウジャです。
今日のTさん宅は、80歳前のおじいさんとおばあちゃんです。

電話で、「電気屋さ~ん、ちょっと蛍光灯見てほしいの~、すぐに来て~」です。
『どうしましたか、何をしてほしいのですか』と尋ねても、
「コタツも点(つ)かんし、何やかんや色々見てほしいの~」と、要領を得ません。
こんな電話はかないませんよ、予想して持っていった材料と違うものが必ず出てきて、店に取りに帰ります。
奥の間の蛍光管に、掘りゴタツの修理に、壁のコンセントの修理に、台所の天井灯の球です。
案の定、コンセントの取り付けに特殊な金具が必要、やっぱり店に引き返します。

『天井の蛍光管、カバーを取ったついでに5本とも替えたほうがいいよ、又切れたらかなわんよ』と云ってもおばあちゃん、
「金がないから、バタついてる一本だけにしといて~、切れたら又来て~」です。
『次の言葉当てようか』と引っ掛けると、おばあちゃんは、
「電気屋さんの顔を見たいから~、ピンポ~ン」と応えます。こちらがからかわれているのです。
『何やかんやでハイ、6,030円よ』と伝票出すと、
「今払うから、集金の足賃の分引いといて~」と、6,000円しか出しません。
私は、コーヒーと一緒に出されたお菓子が、『とってもおいしかったよ、そこにある分もちょうだい、その分が30円だね』と冗談です。
出されたそのコーヒー、一口飲むと『ゲェ~、飲めんわ~』と唸るほどの甘さです。

どうして、どこでもここでもおばあちゃんのコーヒーはこんなに甘いのでしょうか。
『こんなの甘くて飲めんわ~』と突き返すと、
「まだ足らんと思って、砂糖のビン開けて待っとるんよ~」と、さかになって冗談です。
電気屋して30年間、田舎のおばあちゃんの甘すぎるコーヒー、ホトホトかないません。