(豊岡には面白い名前ですな~あ、enacar〔イナカー〕ってなバスが走っています)
♪♪ 田舎(い・な・か~)のバスは おんぼろ車 タイヤ~はつぎだらけ 窓はしまらない それでも お客さん ガマンをしてるよ それは私が美人だから 田舎のバスはおんぼろ車 デコボコ道を ガタゴト走る ♪♪
と云う歌がありましたね。
豊岡市には、ズバリenacar(イナカー)って名前のバスが走っています。
豊岡市日高町は一番奥の集落・羽尻の金谷バス停に、イナカーと一緒にアトムのトラックも到着いたします。
金谷のWさんちに、LEDの照明器具を納めに伺いました。
(ばあちゃんは、「うひゃ~、明かる~なったわ~。なんちゅう明るいんじゃ~な」と大喜びです)
『Wさ~ん、こんにちわ~』と大きな声出し訪ねます。
「アトムさんかえ、おおきに、娘が頼んでましたかえ」と、一人留守番のばあちゃんは、ちょっと薄暗い茶の間の奥から声出して、今来たか、今来てくれたかえと、嬉しそうな顔見せお迎えですね。
Wさんちは、日高町でも一番山奥深い谷、夏場は違いますが日の短い冬なんぞ、朝は10時にならんと陽が射さん、午後は3時で陽が陰るという、両脇が山に囲まれた所です。
そんな緑に囲まれた奥の奥の田舎の里に、80越したばあちゃんとその娘さんとの二人暮らしのおうちです。
LEDの取り付けを、下から眺めながらおっしゃいますね。
「アトムさん、今日は暑いですな~、とっても暑いですや~な。ここんとこの暑さはこたえますな~」、
「わたしゃ~、この暑い夏を越せるか心配ですや~な」と話します。
思い出しました。
『ばあちゃん、思い出しましたよ私のお袋のことを。70過ぎたころから毎年毎年 “暑いこの夏は越せるか分からん、越せんかもしれんわい” と云ってましたよ』、
『確かに、年を取ると寒い冬より暑い夏はこたえるようですね。だけど、夏を越せん越せんよと云いながら、お袋は88まで生きましたで』と話します。
「そうですかえ、この山奥の金谷でも夏はひど~暑いね~。今日は格別だわ」と云いながら、ばあちゃんは「アトムさんのお歳はいくつなんよ」と尋ねます。
『私ですか、私の歳は幾つに見えますか』とばあちゃんに聞きますと、「そうだね、うちの息子、隣村に住んどる息子知っとんさるか、その息子とおんなじくらいかな」、
『息子さんは昭和何生まれなんですか?』、
「昭和26年ですよ、60は過ぎたよ」とおっしゃいますね。
『私はね、昭和20年、26年よりも六つも年を取ってるんよ。若く見てもらってありがとう」なんて話をいたします。
LEDが取り付けられました。
「うひゃ~、明かる~なったわ~。なんちゅう明るいんじゃ~な」とばあちゃんは、リモコン操作しながらビックリします。
『あのね、明るいばかりじゃないんよ。このLEDってやつは、電気も食わんし長持ちなんよ』、
『毎日毎日、朝から晩まで10時間も点けても10年は持つよ、ばあちゃん、電気始末して一日5時間かな?、そしたら20年は持つかな、ばあちゃんは100だね、私も今年は68なんだけど次の取り換えには来させてもらわんね、この世にいるかいないか分からんね』なんて、くちゃくちゃ・だらだら、リモコン操作しながら話します。
《夏越せん ばあちゃん云うと 思い出す》