三笑会

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「汚点は、黒く塗りつぶせない」

2021-12-17 18:25:59 | 日記
「汚点は、黒く塗りつぶせない」

 令和3年12月9日付けで、審査請求人:賀上文代さん宛てに情報公開・個人情報保護審査会から警察庁長官に交付した答申書の写しが送られてきた。これは、諮問庁である警察庁長官が、本年5月31日付けで諮問した「事件名:北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者として捜査・調査されている特定個人(※賀上大助氏)に関する「特定個人に係る文書(特定年月日付け)」の一部開示決定に関する件」への答申である。審査会の結論は、「特定個人A(※賀上大助氏)につき、その一部を不開示とした決定については、別紙に掲げる部分を開示すべきである。」というもので、別紙(開示すべき部分)として、1ページ目の2行目及び4行目を特定している。
 審査会は、処分庁(警察庁)が一部不開示決定の根拠として掲げた「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」第5条の不開示条項について、そのほとんどを是認して答申を行っている。賀上さんが、先に受け取った一部開示決定に基づく行政文書の大部分は黒く塗りつぶされている。しかし、情報公開の分野で行政文書をほとんど黒く塗りつぶした警察庁がどうしても塗りつぶすことができない汚点がある。それは、警察庁は1970年代に北朝鮮による日本人拉致の実態を把握していたにもかかわらず、知らないふりをして国民に注意を喚起しなかったことが17名の拉致被害者と約880名の行方不明者を生み出してしまったという歴史的汚点がそうだ。
 具体的には、昭和52年(1977年)9月、東京都在住の久米 裕さん(当時52歳)を石川県の宇出津海岸に連れ出し、北朝鮮工作船で迎えに来た別の北朝鮮工作員に同人を引き渡した事件で、当該在日朝鮮人は、同月、石川県警察によって検挙されている。警察では、乱数表や暗号表など、スパイ活動を裏付ける資料を押収したほか、同人から、拉致の経緯、動機、状況などに関する具体的で詳細な供述を得ており、これらに基づき、必要な捜査を行った結果、北朝鮮による拉致容疑事案と判断している。
 また、昭和53年(1978年)8月、富山県でのアベック拉致未遂事件では、4人組が現場に残した遺留品を鑑定した結果、猿ぐつわや手錠等の品質から、工業力に劣る外国製の物であることが判明している。警察庁は、遅くともこの時点で北朝鮮が日本人を拉致していると確信したはずだ。
 それなのに、政府及び警察はこの事実を国民に公開して注意を喚起することなく沈黙を続けた結果、実に多くの日本人が拉致をされその家族の人生も狂わされてしまった。本来、国民が知るべき情報を公開しなければどうなるか、拉致問題の歴史がそれを教えてくれる。政府及び警察の汚点は、我が国の歴史が続く限り決して黒く塗りつぶせない。

令和3年12月17日

救う会徳島 代表 陶久敏郎