三笑会

三笑会は、平成30年6月1日~陶芸活動と陶芸教室、喫茶室、自家野菜販売、古美術・古物商経営を総合的に活動していきます。

演題:「日朝ストックホルム合意と拉致問題」 その⑪

2021-05-09 23:18:00 | 日記
演題:「日朝ストックホルム合意と拉致問題」 その⑪

6.公平な救済が最良の選択である
・昨年6月にお亡くなりになった横田滋さんは、平成23年1月、救う会徳島が主催する拉致問題講演会に、早紀江さんと二人で阿南市を訪れたことがある。滋さんは、拉致被害者だけでなく日本人妻などの他の被害者も公平に救済すべきとのお考えで、家族会の中では特異な存在であったことから、晩年は孤立していたと思う。

・「満州難民」井上卓弥著(幻冬舎)の第8章に「不幸なる御婦人方へ」と題する文章がある。これは、仁川港から日本人難民を乗せて博多港へ帰る米軍戦車揚陸艦LSTの船内に張り出された紙片で、ソ連兵などから暴行被害を受けた女性たちに、湾曲的に呼びかけられた受診の勧めである。暴行や妊娠を苦にして自ら命を絶とうとする女性が多く、超法規的措置として黙認されたという。

・これらの女性の帰国後の人生を思うとき、人道問題は後回し、拉致被害者こそ最優先と声高に叫ぶ一部の日本人の独善性に憤りを覚える。彼らには、辛い人生を余儀なくされた同胞に対し、大人として理解と思いやりのある言葉で語りかけることが何故できないのかといつも思う。

・人は、誰しも自分が生まれてくる時代と場所を自分で選ぶことができない。その時代を誠実に生き、不幸にも北朝鮮の土と化した名もない多くの同胞の人生が、決して無駄でも無意味なものでなく、今を生きる日本人の礎となっている。彼らの命にも人権にも優先順位を付けない、公平な救済こそが今を生きる我々の責務である。私は、こうした主張が原因となり、平成27年10月に救う会全国協議会を除名されたが、除名されても、戦後、北朝鮮において不幸な人生を余儀なくされた同胞の名誉を守りたいと思う。