三笑会

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「横田滋氏の訃報に接し改めて北朝鮮の人権解放を訴える声明」

2020-06-15 12:33:45 | 日記
「横田滋氏の訃報に接し改めて北朝鮮の人権解放を訴える声明」

              2020年(令和2年)6月13日
         NPO法人 北朝鮮帰国者の生命(いのち)と人権を守る会・総会

 さる6月5日、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父・滋さんが、老衰のため87歳で亡くなられたとの報に接し、心からお悔やみ申し上げたい。
めぐみさんを含めた日本人拉致被害者の救出運動に、早紀江夫人と共に半生を捧げられた滋さんの姿に、われわれは常に尊敬の念を抱いて来た。めぐみさんが1977年・昭和52年に行方不明になって今年で43年。その20年後の1997年・平成9年、北朝鮮拉致が報じられ「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」が結成されてから23年が過ぎ、2002年・平成14年、日朝首脳会談で、北朝鮮が日本人拉致を認めてから18年の歳月が経過した。
 この間唯一、横田夫妻にかすかな希望が訪れたのは6年前の2014年・平成26年、夫妻がモンゴルでめぐみさんの唯一の忘れ形見といえる娘で夫妻にとって孫のキム・ウンギョンさんに会えた時だけだった。
 めぐみさん救出にかけた横田夫妻の思いの深さは、1400回に及ぶ講演会と、家族会・支援団体「救う会」が22年かけて集めた拉致被害者救出を求めた署名数1341万4325筆に達した驚異の数が雄弁に語っている。国連人権理事会は2014年・平成26年に『北朝鮮人権報告書』を出し、拉致問題を含む北朝鮮の人権弾圧状態を世界に明らかにして、北の人権解放を願うすべての人々に応えた。
 この直後の5月、危機感を抱いた北朝鮮は、日朝政府間協議で、拉致問題、行方不明者、日本人妻を含む残留日本人、遺骨問題を解決すべき課題として「ストックホルム合意」を打ち出し、「特別調査委員会」を設置した。しかし、2年後に、北朝鮮による核実験と弾道ミサイルの発射で、日本政府が再び独自制裁を決定すると、北朝鮮は調査中止と特別調査委員会の解体を宣言した。
 横田夫妻は、拉致問題だけではなく、このストックホルム合意に示された人権人道問題にも深い関心を示し一縷の望みを託されたこと。また、北朝鮮に住む在日帰還同胞の日本への帰国にも理解と同情を寄せられていたことを我々はよく知っている。
 「北朝鮮人権人道ネットワーク」は、さる6月5日の声明で「滋氏が拉致問題解決のために注いできた努力と信念を無駄にしないために我々が今できることは、北朝鮮を交渉のテーブルに引き戻し、ストックホルム合意に明記された合意事項に則り、具体的かつ現実的施策を前進させることへの全面的協力ではないだろうか」との方針を打ち出したが、われわれ「NPO法人北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」(略称:守る会)も、この声明と志を同じくする者である。
 拉致被害者、行方不明者だけでなく、同じく北に住む日本人妻を含む在日帰還同胞も、日一日と老いている。一日も早いこの人道人権問題の解決を実現するためには、前途は多難だが、北朝鮮との間で、日朝共同宣言とストックホルム合意の精神を生かし、現実的な交渉を再開継続するしか道はない。北朝鮮政府には、日本を含む世界の市民の声に耳を傾け、善意で応える態度を心から望みたい。
 われわれ「守る会」一同、北朝鮮に囚われている全ての人々の人権解放を願う者として、横田夫妻が拉致被害者の救出運動を通して灯した北朝鮮の人権解放を目指す尊い志に思いをはせ、覚悟を新たにして拉致被害者の救出、日本人妻らを含む北に住む在日帰還同胞の再帰国運動と強制収容所の廃絶など北朝鮮の人権解放に取り組むことをここに誓いたい。
 最後に、改めて滋氏のご冥福を祈るとともに、早紀江夫人が一日も早く心穏やかな日々を取り戻され、お元気になられることを心から願うしだいである。