三笑会

三笑会は、平成30年6月1日~陶芸活動と陶芸教室、喫茶室、自家野菜販売、古美術・古物商経営を総合的に活動していきます。

「拉致被害者と残留日本人」

2020-06-23 12:18:54 | 日記
「拉致被害者と残留日本人」

 家族会・救う会は本年2月9日に合同会議を開き、決定した運動方針のなかで「調査報告書の受け取りや日朝合同調査とそのための連絡事務所設置などは、私たちが求めるものではない。「部分的解決」はありえない。認定未認定にかかわらない全拉致被害者の即時一括帰国こそが、絶対に譲れない私たちの要求であり、その実現のためにこれからも戦い続ける。」と主張している。
 この「調査報告書の受け取りや日朝合同調査とそのための連絡事務所設置など」とは、平成26年5月のストックホルム合意に明記されていることで、調査報告書の対象が拉致被害者だけでなく、遺骨・墓地、残留日本人、日本人配偶者、行方不明者を含むすべての日本人であることも明記されている。
 家族会・救う会が主張する全拉致被害者の即時一括帰国が、ストックホルム合意に明記されている他の日本人の問題に優先するのは当然とばかりに主張しているが、この点は本年6月5日に亡くなられた横田滋さんの「ただ拉致問題が解決すればそれで良いというのではなく、ストックホルム合意に示された人道問題も公平に解決すべき」との考えとは大きな隔たりがある。では、合意に示された人道問題とはどういうものか、外務省が公開した行政文書「北朝鮮における残留日本人問題」(概要)から探ってみたい。
 「終戦時、北朝鮮域には27~28万人の在留邦人(居住者)と旧満州南域から北朝鮮を経て日本に向かう約7万人の邦人(引揚者)が存在した。しかし、北朝鮮に侵入したソ連軍が38度線を遮断したため、これらの邦人は北朝鮮の各地の学校や民家に収容された。(中略)厚生省は、昭和36年1月1日現在で、北朝鮮域に最終消息のある残留日本人の名簿(第1回名簿:140人分、第2回名簿:871名分)を作成し、日本赤十字社を通じて北朝鮮赤十字会に手交し、その安否調査を依頼した。その後も、厚生省(厚生労働省)において必要な調査を行っている。」とある。
 家族会・救う会は、国家犯罪、主権侵害である拉致問題の解決なくして他の人道問題を先行して協議するなど絶対にあってはならないと主張するが、例として挙げた残留日本人問題は、終戦間もない頃に国際政治に自らの人生を翻弄された日本人の問題である。なぜ、拉致問題が残留日本人問題より優先されるのか、家族会・救う会は国民に対して納得のいく説明をして欲しいと思う。不本意な人生を余儀なくされ、声も出せずにいる弱い立場にいるのは拉致被害者も残留日本人も同じでないのか。


令和2年6月23日

救う会徳島 代表 陶久敏郎