桜子でーす

日々の感想や思いついた事柄を写真や文章に表しました。ビジュアルに表現出来ると嬉しいな!

秋深し、庭の植物に思うこと

2014年11月15日 | 日記・エッセイ・コラム
11月16日(土)

秋が深くなった。

何日ぶりかで、庭の草取りをする。
主に露草。主人?のいない夏から秋にかけて、思い切り自由に伸びたかがよく分かる。
もう、蚊に刺されるおそれも無いから、草むらの中へ入って素手で引き抜く。

ススキもすっかり穂が開いてしまった。このまま、穂が飛んで行けば、彼方此方にススキが生えるかも知れない。
これは大変。でも、今日は後回しにしよう。

未だに名前の分からない濃いピンクの花は真っ盛り。辺りに派手な花びらを撒き散らす。
邪魔だから、枝を切ってしまおうかと思うが、私の相変わらずの『慈悲心』が邪魔をする。
兎に角、放置期間が長いから庭は散らかり放題だ。


病院で隣りのベッドにいたIさんが、やっと退院した。もう、この病院には知り合いはいないのでは無かろうか。
彼女は私の顔を見る度に「又、あなたの写真を見せて下さいね」と話していた。

自分のリハビリが終わった後、私は時々、三階にいる彼女を尋ねて、iPhonで写真を見せて上げた。
更に、写真が良く見える様にiPad持参で出掛けたりもした。

私の顔を見ると、彼女は自分のベッドの隅を開けて、二人が並んで座れる様にする。
そして、写真を見ながら、いろいろな話が弾むのが常だった。
話に夢中で、リハビリの時間が来て別れる事も度々あった。

数ヶ月の長い入院生活では、彼女も又、自宅の庭がどうなっているか気がかりだったと思う。
我が家の手入れ不足の庭木や雑草に近くなった草花類でも、結構良い慰めになったらしい。
話題は余り無いが、おっとりとした人柄の良さから出た言葉から、彼女の気持は良く理解出来た。
性格の違いはあっても、二人には共通した興味や関心があったように思う。


彼女は私より六斎以上の年上だったが、何となく友達の様で気楽だった。
二人の日常の会話は少なかったが、お互いに気持を理解し合っていた。

当時では珍しい私立の小学校へ通っていたと言う。その学校は高輪の高台にあって私も良く知っていたけれど、その後、移転してしまった。
都電が走る旧町名を知っていると言うと「そんな町名を知っている人がいて嬉しい」と話していた。


何となく、生活の場が共通に理解し合えると言うのは、話が弾むものだ。
のんびりしていて、人より行動が遅くなる彼女に、失礼と思いながらお節介なアドバイスをした事もある。
結局、私がいなくなった後も、相変わらずおっとりとしていたのだろう。

別れる際、アドレスの交換をしたが、多分、今では久し振りに戻った生活のリズムに戸惑っているに違いない。
落ち着いた頃に、ゆっくり電話をしてみようかと思う。


病院で同室にいても、いろいろ生活の違いがあり価値観の相違もある。
数ヶ月ばかりの生活とは言え、隣りにいる人の影響は避け難いが、出来るだけ無理な付き合いは避けて来た。
私は二ヶ月余りの滞在だったが、その間、五人の人と同室になっている。

それぞれ、家庭の事情で部屋を変える人もいたが、Iさんとは、結局、私が退院するまでの長いが気遣いの無い付き合いだったと思う。


今頃、石が多い自宅の庭で何を見ているのかなぁ?と、時々。思う。