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インド映画の平和力

ジャーナリストさこう ますみの NEVER-ENDING JOURNEY

NETFLIX で見られる不朽のクラシック『ラガーン』

2018年04月18日 | アーミル・カーン
 『ダンガル きっと、つよくなる』は、2016年の本国公開以来、ボリウッド歴代興行成績の首位を維持している。こうした現状からは想像しにくいが、かつてのボリウッドでは「スポーツ映画は当たらない」と考えられていた。

 そのジンクスを破ったのが、2002年にオスカー候補になった不朽のクラシック、アーミル・カーン製作・主演の『ラガーン』である。植民地下のインド、気まぐれな英国軍人によって、クリケットに勝てば年貢は免除、負ければ3倍という賭けを一方的にのまされた農民たちが奮闘する痛快な物語だ。クリケットのルールをまったく知らなくても、問題なく楽しめる。

 もっとも、『ラガーン』が打ちやぶったジンクスは、それだけではない。挙げはじめると長くなるので、もう1点のみ、興味深いことに触れる。
 インドには、老舗映画雑誌『FILMFARE(フィルムフェア)』が主催する著名な映画賞がある。その2002年度に『ラガーン』で作品賞と監督賞を受賞した、監督・脚本のアシュトーシュ・ゴーワリケールが、このようなことを語っていた(『FILMFARE』2002年4月号)。

「(オスカーの経験によって)欧米社会が、メインストリームのインド映画をどのようにとらえているかを初めて知りました。侮蔑でした。インド映画でも、サタジット・レイ、シャーム・ベネガル、リッティク・ゴトク、アドゥール・ゴーパーラクリシュナンという監督たちの作品は、敬意をもって受けいれられています。しかし主流の商業娯楽映画は、ばかげたものとみなされているのです」

 だが、まさに『ラガーン』は、そのクオリティによって、そうした欧米の姿勢を革命的に変えたのである。英国公共テレビのチャンネル4が「見ずには死ねない映画50」に選定したところにも、端的にうかがえるように。

 日本では劇場公開されず、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントからDVDが出されただけだったが、ちょうど『ダンガル』公開と前後して NETFLIXに入った。ナレーションの挿入が、DVDとはわずかに異なるバージョンではあるが。
 あわせてアーミル・カーン・プロダクション製作の映画がほかにも5本、加えられている。メイキング・ドキュメンタリーとしては初めて、本国で劇場公開された『熱砂の記憶~ラガーン 撮影記~』もおもしろい。

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