さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

粉屋の話 最終回 カンタベリー物語4

2012年04月12日 | らくがき

 アリスンの甲問にしたたか口づけをやらかしてしまったアブソロンは、必死に泥や砂や藁や布や削りくずで唇をぬぐって、「ひでえことしやがる!」と言いながらおいおい泣いて、町中を歩き回ったあげく鍛冶屋の前にやってきた。そこで明け方にもかかわらずその門を叩き、仕返しをしてやろうと真っ赤に焼けた鋤を借りて、再び大工の家に戻っていった。

  「アリスンや、今度は金の指輪を持ってきたんだよ。口づけを許してくれるなら、これをあげよう」

 そこで小便に起きたニコラスが、今度は自分がアブソロンにお尻をなめさせてやろうと出て行って、窓から尻を突き出した。

 「美しい小鳥ちゃん、見えないよ、どこなんだい」とアブソロンが尋ねると、ニコラスは返事のかわりに、おならを一発かましたのだった。その雷のような音にアブソロンはひるんだが、彼は真っ赤に焼けた鋤を、そのお尻の真ん中に差し込んでやった。

            ジュッ!

 したたか火傷をしたそのお尻は、手のひらほどの皮がベロンとむけてしまった。

  「助けてー!水だー!水~~!!!」とニコラスが喚きたてたので、屋根裏の樽の中で眠っていた大工はびっくりして目がさめた。ついに洪水がやってきたかと思った大工は、急いで樽をつるしてあったロープを斧で切ると、それはドシンと床に落っこちて、大工は腕を折って気絶してしまった。

 この大騒ぎで近所の人々がみんなこの家に飛び込んできた。そして事の顛末を知り、間抜けな大工の妄想を笑いものにしたのであった。

 
下心まるだしのアブソロンはお尻をなめさせられ、お調子者のニコラスはお尻にひどい火傷を負い、間抜けな大工は女房を寝取られた。かわいい女房のアリスンだけが、笑っておしまいというお話でした(^益^)b

 

 さてこの『カンタベリー物語』、巡礼の往復の道のりで行なわれる「お話コンテスト」の優勝者が誰かどころか、カンタベリー寺院に到着しないで終わっているのです。チョーサーはこれを10年書き続けて、もういいかって思ってしまったんでしょうね^^;



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