![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/26/0cbcd4700b7fdea084b33c0fda72db93.jpg)
写真。何かの木の実、あるいは殻のように見えるけれど、実は「虫こぶ」で正式には「イスノキエダチャイロオオタマフシ」と命名されている。「虫こぶ」あるいは「虫えい」とも呼ばれるこのこぶは、内部に潜む虫が特定の植物に刺激を与えて形成するから「虫こぶ」だったのだけれど、現在では昆虫以外のダニや細菌によっても作られることが判明したので、厳密にいうと虫こぶという名前ではくくれないからまとめてゴール(gall)と呼ぶようになってきた。
といったうんちくは「虫こぶハンドブック」(薄葉 重・著/文一総合出版・刊/1,200円)の用語解説で確認したもの。
こまかく説明しようとするとかなりややこしい話になるのだけれど、このゴールは「フシ」ともいう。命名法には規則があり「イスノキエダチャイロオオタマフシ」はイスノキ+エダ+チャイロ+オオタマフシに分解される。最初の「イスノキ」が虫が寄生する植物名で、こぶが枝に作られて、形態がチャイロで大きなタマ状になるからだ。
写真の虫こぶは公園東側の池の近く、根本でつながっている3本の大きなモミジバスズカケノキの裏側のイスノキの枝になっていたもので、秋の終わりに地面に落ちたものを拾った♪ 完全に木質化していて、たたくとコンコンと乾いたいい音がする。穴があいているけれど、寄生していた虫がここから抜け出た跡だ。
では何が棲みついていたかというと、体長1ミリほどの「モンゼンイスアブラムシ」。実はこのアブラムシの生態の不思議を解明した「アブラムシ こぶの中で快適生活」という毎日新聞の記事を秋に見つけて、そういえばあの虫こぶがきっとそうだ、と見当つけて見つけにいった。
そこからずるずるとたどって「虫こぶハンドブック」に至る、という次第。国内ではおよそ1,400種類の虫こぶが記録されているという。そういえばあの木にも確か虫こぶができていた、と記憶をたどって調べる面白さがある。ちなみに「イスノキ」(ってどんな木か、説明するともう一晩かかりそうだから今は不問)はアブラムシの天国で、「イスノキエダナガタマフシ」や「ハコタマフシ」に「ハタマフシ」などが宿を借りに来るらしい。
地味な樹木にも自然界の不思議が、楽しい物語が隠れているのだった♪
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