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高笑いよりちょっとの微笑みのほうがいい。そんな気持ちにさせてくれた「すべては真夜中の恋人達」。読了。

2024-07-03 13:14:48 | 日記
高笑いよりちょっとの微笑みのほうがいい。そんな気持ちにさせてくれた「すべては真夜中の恋人達」。
現代作家で新刊を待ちわび読書の喜びに浸る二人がいる。村上春樹と川上未映子である。
川上未映子は下層階級の生活の実態をリアルに描写している。
すべては真夜中の恋人達 この作品にはすべての人々には恋をする権利があり、恋が素敵であることを主人公のさえない女の子の失恋で描いている。
主人公は校正を仕事にしている。人とのコミュニケーションが苦手だが仕事は丁重にこなしている。緊張をほぐすためにアルコールを持ち歩いている。まーアルコール依存症予備軍でもある。この設定だけでも切なくなる。作者は可哀想な人に視線を向けて登場人物に仕立て上げ話を作り出す。下層の人々の貧困をリアルに描写する。それとともに、けなげに生きている人がもがき、苦しんみながらもいいこともある時を描いてくれる。読んだあとにほっとする。知らずにほほえんでいる自分に気がつく。
主人公は平凡そうな老齢の男に恋をする。その男と知り合ったカルチャーセンターで何度か会話をするうちに好きになる。その男は物理の先生だそうだ。好きになること、胸のうちがゆっくりと幸せに沸き立つ主人公。恋の世界に誰でも入り込む権利があることを感じさせてくれる。
その恋は男が偽っていたことで終わるが主人公はまぎれもなくデートをしたのである。
失恋でも、片思いでも淡い恋はとても良い思い出になる。たとえ相手が自分を騙していたとしても。恋をしたいけれど自分には縁がないと思っている人々にはぜひ読んでほしい。
プラトニックラブはトキメキの媚薬である。

ささやかな幸せは、金持ちやバイタリティー溢れる投資家には無縁であろう。高笑いよりちょっとの微笑みのほうがいい。そんな気持ちにさせてくれた「すべては真夜中の恋人達」。

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