磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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福竜丸 The voyage of the Lucky Dragon

2008年09月05日 | 読書日記など
『福竜丸 The voyage of the Lucky Dragon』
   ラルフ・E・ラップ(著)/八木勇(訳)/みすず書房1958年

ラップ博士が書いたものであるという。
--どこか小説風……。ABCCを正当化する……。



距離について。下「」引用。

「船でいちばん学があるといわれていた久保山が、早速、雑誌を引っぱり出して、音の速さを調べて学のあるところをみせた。彼らは閃光をみてから音を聞くまで七、八分たったように思った。音の速さに時間を掛けると、爆発した地点から船までの距離がでてくる。音の速さは一秒間に千フィートだと久保山がいったので、終った時間が七分半とすれば、距離は八十七カイリ(一六三キロ)はあると彼らは計算した。だから見崎が天測で、船の位置をビキニ環礁の中心から八十五カイリあると出したのにだいたい納得がいった。閃光がビキニの方角からきたのに間違いはない。」

関わった人のことも書かれてあった。下「」引用。

「その日の朝、福竜丸から逃げ出した「慰安婦」の一人は、午後になって新聞記事をみて血相を変え、新聞をにぎりしめたまま医者の家に駈けこみ、早口に一部始終を打明けた。彼女は福竜丸の船員と一晩過ごしたが、生命に別状ないだろうか、心配でたまらない、といったが検診の結果、彼女はほんの申し訳け程度に汚染されていた、ということだった。」

「ABCC」について。下「」引用。
「残念なことにABCCの研究は順調に進んだとばかりいえなかった。研究所を病院だと思い、治療を受けられると期待して生存者はやってきた。しかし外国人の医者が治療をすれば法律違反に問われるのだ。共産主義にアジられたお先棒かつぎの政治家たちが、「モルモット」といいう言葉を使って再建に苦闘する市民生活に巧妙な宣伝で食い入っていた。だが、しつこい反対にあいながらもABCC医学陣はぼう大な資料を集め、それを全世界の人々が利用できるようにした。」

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アメリカの科学者ならではの記述のように思える。

武谷三男が登場する。下「」引用。

「東京へ帰った木村博士は友人である立教大学理学部教授、武谷三男博士に相談をもちかけた。木村博士は、ウラン237をみつけ出した不思議ないきさつを説明し、それもその量が多く、これは容易ならぬことのようだ、と言葉を強めて話した。-略-
「ウラン237ができた以上は、ウラン238の核分裂が当然起ったのだ」-略-
 ビキニの爆弾は純粋な水素爆弾ではなく、天然ウランのエネルギーを点火用に使った爆弾である、と西脇博士もまた大阪の自分の研究室で結論を出した。」

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この時代もやはり『原子力帝国』であることは否めないと思います。








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