磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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象さんのおむつ

2005年10月27日 | 短編など


象さんのおむつ

1.

「あらー、本日も、象吉、おねしょしたの……」
「ごめんよ、ママ。でもねえ、今日も朝から気持がいいね」
象吉のまわりには、プールができるほどの
水がたまりました。さすが子象とはいえ象さん。

お母さんと象吉はいろいろと話していましたが、
お母さんは部屋の中に入ったままで、
出て来ませんでした。

「こんなに気持のいい朝だというのにね……」

「あら、ママ象さんは?」
カバ三は心配して象さんにききました。

「うん、ママにしかられているの。
ママは怒って部屋から出てこないんだ。
相手にしてくれないんだ」

「ふん、おねしょする子なんか、
池の中には入らないでね」
カバ三は、いけずを言いました。

「そんなひどいよ」

四人家族が動物園に来ていました。
象吉は公園のベンチでオムツ交換をしている
おかあさんと赤ちゃんを見ていました。

カバ三は、
「象吉もオムツをしてもらったらいいぞ」
と冷やしかしました。

「赤ちゃんじゃないぞ」

「象吉のオムツなら、花柄がいいね」
と、カバ三は笑いました。


2.

その日、象吉は花柄のオムツをしている夢を見ました。
みんなが大笑いします。

「おねっしょするから、赤ちゃんでもないのに、
オムツしているわよ」
「わあ、いやだわ」

恥ずかしくって目がさめました。
そして寝床から出ていきました。

その朝、象吉はおねしょしていませんでした。

「おかあさん、今日はおねしょしなかったよ。
昨日は変な夢をみたんだ。
花柄のオムツをさせられているんだ」

「そんなものは使わなくってもいいわよ。
おねしょなんかで怒っていません。
おねしょすることをしっかり考えない。
まずおねしょすることを認めなさいと、
象吉にいっていたのよ。
しっかり話をきかないからよ。
口にオムツはないから困ったもんよ」

「口にはマスクでしょう」

「ほら、また!」
「ごめんなさい」
「でも、今の冗談はすこしおもしろかったわ」

ママ象はやさしいお母さんでしたが、
しっかり躾をする、きびしいお母さんでもありました。
でも、素直にきいたら、ユーモアもわかってくれる
たのしいママでもあります。






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ありがとうございます。






【本人評】これは、高校生のときの作品です。
オムツのコマーシャルで、象さんがオムツをしているのが見られます。
放水=象 ということでしょうね?

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