磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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瓦礫の果てに紅い花-ヒロシマに美術館をプレゼントした男の物語-

2009年06月15日 | 読書日記など
『瓦礫の果てに紅い花
  -ヒロシマに美術館をプレゼントした男の物語-』
     長谷川智恵子・著/WAVE出版2009年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「ひろしま美術館をつくり、人々の心に希望の花を贈った男、井藤勲男(いとういさお)。一九○八年東広島市生まれ。広島銀行等頭取。一九四五年八月六日、原爆による惨禍から辛うじて生き残り、その後、一銀行員でありながらフランス印象派を中心とした世界的名画を蒐集。広島銀行の百周年記念事業として、ひろしま美術館を建設、一九七八年に開館し初代館長となる。夢を実現したのち、一九八九年、静かにその波乱の生涯を閉じる。」



帯に書かれてあります。下「」引用。

「夢と理想を生き抜いた孤高の生涯
広島への鎮魂と文化復興を祈り、世界的名画を蒐集、人々の心に奇跡を起こしたひとりの行員がいた。世界に誇る「ひろしま美術館」をつくった男、井藤繁雄--。おおからさを欠き、息苦しさつのるこの国に、愛と希望を贈る珠玉の感動秘話!」

「はじめに」で、こんなことが書かれてある……。下「」引用。

「昨今、ほとんどの企業が利益追求だけに汲々とし、社員は上役の顔色をうかがうばかりで、自ら率先して矢面に立つことや、冒険にかける意気込みを持っている人がいなくなった。保身と安全を優先するあまり、周りを気にして、言うべきことを言わず、行動もしない。
 会社ばかりではなく、学校でも家庭でも同様である。とくに「上」に立つ人の質が、きわめて低下していることに私は強い危惧を感じている。正しいと思えることを実行する勇気と機会を奪う指導者が多い、そんな社会に閉塞感を抱くのは私ばかりではないだろう。-略-」

原爆ドームを模したという。下「」引用。

「美術館は原爆ドームを模したという円形のドーム型をしている。建物の周りは透明な水の流れる水路が取り巻いており、入口の青銅の扉の模様は水門のイメージがあるという。
 水にちなむ設計や意匠には、原爆が落された日、被爆した人々が瀕死の状態で必死に水を欲していたことから、被爆された方々への鎮魂の意味が込められているとの説明があった。-略-」

京大出身だという。下「」引用。

「六高から京都帝国大学法学部に進む。この大学は同じ国立でも東京帝国大学ほど堅物ではなく、より自由な校風があったと井藤はいっていた。
 この京都時代に井藤は仏閣をめぐりをしたり、美術館を訪れたりと、文化に触れることの多い日々を送った。
 京都という文化の息づく街に四年間の学生時代を過ごしたことは、井藤の美術に対する審美眼を磨き、のちの美術館構想の下地を知らぬ間に育んでいたのであろう。-略-」

軍隊の給料の半分だった行員。格差社会だったようですね。下「」引用。

「軍隊は銀行の二倍の給料だったので惜しい気もしたが、軍隊にいっていたら死んでいたことだろう。その選択で良かった。-略-」

軍需産業との取り引き。下「」引用。

「井藤の当時の仕事としては、県下の企業合同であり、次々とできた組合との取引も多かった。軍需産業との取引も同様である。東洋工業、日本製鉄、三菱重工業などである。
 そてし翌年五月に五行合併で、新芸備銀行の発足となる。一県一行の布石であった。合併はスムーズに行われ、事務的な問題もほとんど生じることはなかった。
 ただし、その三ヶ月後に原爆が落とされ、終戦を迎えることになる。」

百周年事業として……。下「」引用。

「井藤の決めた百周年事業とはいえ、このままいったらどうなるのか。大蔵省の目も気になるしで、重役たちは頭をかかえていたのだ。-略-井藤の表情が変わった。目がするどく光り、ドスの利いた低い声で井藤はいった。
「わしは、被爆した広島の文化の拠点をつくろうと思って、銀行の百周年事業として美術館を構想した。広島市民を考えての事業だ。被災者の方々にも心の安らぎになる美術館をつくろうと考えたのだ。そして広島を、いつまでも原爆の嫌な思い出だけの街ではなく、個性のある文化的な街として、世界に発信できるようにしなければならないと思っている。これらかの広島のためなのだ。頭取としてそう考えている。しかし、みんなが反対なら、わしは頭取を辞める」
 井藤以外の頭取は、他に考えられない状態だった。結局、重役たちは「わかりました。頭取のおっしゃるように意義のあることなので、絵画を買われることを認めます」というしかなかった。-略-」

美術品は投資にもなりますね……。
--だからといって、美術品の価値がわかっているとは限らないけど……。

「はだしのゲン」の原画を、高価で買い取っても、これは美術品としての価値はあるのではないか?

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