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朝日選書534 原爆 表現と検閲 日本人はどう対応したか

2007年07月21日 | 読書日記など
『朝日選書534 原爆 表現と検閲 日本人はどう対応したか』
    堀場清子・著/朝日新聞社1995年

帯に書かれています。下「」引用。

「私たちは沈黙を強いられたのだろうか。
1945年、焼土の日本。新しい時代に期待し、ほとばしる言葉、文章。だが、周到に張りめぐらされた占領軍の検閲は、原爆の悲惨さを伝える術(すべ)さえ奪っていく。プランゲ文庫に残る原爆作品を中心に、検閲個所を復元しつつ、日本人自身の表現へのこだわりを問う。」



検閲といえば聞こえはいいものですね。

しかし、実際は事実を隠蔽して、『原爆神話』を作り出したのです。
善なる者がなしたのなら、良いことかもしれないが……。
それでも、きちんとした文書は残していないと仕事とはいえないでしょう。

このことについて、著者の知人は「検閲」なんか問題じゃないと……。それに対して著者。下「」引用。

「社会における軍隊の比重が上るに反比例して、言論の自由は極限される。」

暢気な著者ですね。これは実に重要なことです。
今、原発の耐震性がいわれていますが……。

--原爆から生まれた技術。
原爆の関係者がうみだした、平和利用……。
しかし、その実態は軍事と同じで隠蔽……。

最初から原発は、高く危険であった。
これを『安全神話』に切り替えていくには、隠蔽体質がなければ成立しません。

もし、原爆をもっときちんと見つめておいてくれたら、ボクがそう書くのはことなのです。

でも、これは日本に関したことではなく、原発をもつということは、こういうシステムを取らねば仕方がないのです。

アルコールを飲めば酔っぱらう。
--これと同様のことですね。

ですから、いくら、改革だ! 安全だ! と神輿をあげようが体質はかわらないのです。
変われば、原発は止まります……。
--「公害と原発のあるところに民主主義はない」ですね。


著者は当時、爆心地から九キロの所におられたという。

偽薬でも渡すことができたら、どんなによかっただろうと著者は書く。

ジグソー・パズルとは、うまい表現だと思いました。下「」引用。

「母や叔母たちと話しあってみると、同じ場所、同じ状況の中にいながら、体験や記憶がそれぞれに違っている。まるで各自が、ジグソー・パズルの別々の一片を抱えこんでいるように、それほど、どの局面も切羽詰まり、混乱をきわめていた。」

社会もまたジグソーパズルなのに、気に入らないピースを切り捨てる国家社会主義者……。

著者は被爆者ではないのにと、非難をうけ、原爆をテーマにした詩をかくのをやめられたという。--後悔されているようです。

カトリック司教ブリエ「宗教の自由、平和を口さきだけでいっている、原子爆弾主義者の悪だくみを、うちくだかなければならない」


そして、意外なことに、検閲というよりも自己規制されていたようです。
言論を仕事というよりも商売にされている日本らしいことですね。

大手新聞は、軍部を暴走させたのも、自らの責任はなく、強制されたという……。
--そして、原発もきっと同様なのでしょう……。
それでは、ジャーナリストではないですね。

検閲処分を受けた原爆作品は少なかった。その理由。
1.すでに重要な資料はアメリカ軍の独占状態。
2.朝日新聞社の停止(1945年9月18~20日)以後、マスメディアは自己規制。
著者が調査するにも、文献や資料がなく証明できなかったのもあるようです。


朝日選書534 原爆 表現と検閲 日本人はどう対応したか






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