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WOWOW2007年8月
バルトの楽園(がくえん)
2006年
第一次世界大戦、日本は本格的には参戦しなかったというものの、中国大陸でドイツと戦闘。
激烈な戦闘……。そして捕虜になるドイツ兵。
日本軍にもいろいろな人がいる。ドイツ兵を捕虜だというので、卑しめる者たち……。
武士道や侍などというが……、とても武士道とは思えない野蛮人。
それに比べて、会津出身の松平健がふんする日本兵は違う。
本当の武士道を感じる……。
いばり散らして、人斬り包丁をふりまわすような人物ではない。
捕虜たちを見ていて、父を思い出す主人公。
そして、捕虜たちに信頼をおく、「信頼をおけば、信頼にこたえようとするものだ」。
同じ人間として扱った……。
敵に塩を送るという言葉は武士道精神だと思う。
--それに対して冷酷な官軍は、ひどい仕打ちを会津の人たちにした……。
そして、このドイツ人たちも、実に愉快な人物たちだ。
捕虜ではあるが、収容所の外にクラシック音楽を教えに行ったり、パン作りを教えたり……。
日本ではじめてベートーヴェンの第九を演奏したのは、ドイツの捕虜だったという。
--これは史実だろう……。
冷蔵庫なども作るドイツ兵。
--彼らも戦争がなければ、一民間人である者が多いのだろう。
いろいろな文化を教えてくれたドイツ兵。
ドイツは負けた……。
だが、それからも捕虜のなかには、日本に住む者たちもいた。
戦場のメリークリスマスは、どちらかといって、大人の童話っていう感じがして、ウソ臭いと思うが、この話は史実に基づいているとも思う。
--世界ではドイツと日本といえば、残酷だというイメージをもたれているかもしれないが、日本人にもいろいろな人たちがいる。
武士道もご都合主義で、偉そうにいうだけのレトリックの人物ではない。
卑劣ではないという意味での武士道をみたような気がする。
--人を人とも思わず斬り捨て御免! という殺人鬼のようなものに人の『道』などあるはずがない!
いい映画だったと思うし、見てよかったと思う。
文化というものは混ざるものである……。
ドイツの文化を愛しているドイツ人は、捕虜になってもその文化を再現した。
しかし、今のベルト・コンベーアの流れ作業では無理だろうなあ……。
チャップリンの映画『モダン・タイムス』が作られる前の時代、それなら可能だろう……。
文化は--そして奪い合うだけのものではない!
ブラボー! と言いたい作品である。
そして、殺しあう文明の、ゼロサムゲーム。
多くの映画は“闇”である。
--殺される人たちにも家族があり、同じ人間だということは描かれていない。
--異常な映画が多い……。
まるでブッシュ大統領のようなものだ。
そんなものに酔っている社会では不気味な社会になっていくのも仕方がない気がする。
この映画では、そんな闇はない。
……さまざまな人間模様もあざやかに描かれていたとボクは思う。
音楽でいえば第九だろう!
ぜひ、見ていただきたい一作です。
俘虜たちのシンフォニー
『バルトの楽園』
もくじ
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2006年
第一次世界大戦、日本は本格的には参戦しなかったというものの、中国大陸でドイツと戦闘。
激烈な戦闘……。そして捕虜になるドイツ兵。
日本軍にもいろいろな人がいる。ドイツ兵を捕虜だというので、卑しめる者たち……。
武士道や侍などというが……、とても武士道とは思えない野蛮人。
それに比べて、会津出身の松平健がふんする日本兵は違う。
本当の武士道を感じる……。
いばり散らして、人斬り包丁をふりまわすような人物ではない。
捕虜たちを見ていて、父を思い出す主人公。
そして、捕虜たちに信頼をおく、「信頼をおけば、信頼にこたえようとするものだ」。
同じ人間として扱った……。
敵に塩を送るという言葉は武士道精神だと思う。
--それに対して冷酷な官軍は、ひどい仕打ちを会津の人たちにした……。
そして、このドイツ人たちも、実に愉快な人物たちだ。
捕虜ではあるが、収容所の外にクラシック音楽を教えに行ったり、パン作りを教えたり……。
日本ではじめてベートーヴェンの第九を演奏したのは、ドイツの捕虜だったという。
--これは史実だろう……。
冷蔵庫なども作るドイツ兵。
--彼らも戦争がなければ、一民間人である者が多いのだろう。
いろいろな文化を教えてくれたドイツ兵。
ドイツは負けた……。
だが、それからも捕虜のなかには、日本に住む者たちもいた。
戦場のメリークリスマスは、どちらかといって、大人の童話っていう感じがして、ウソ臭いと思うが、この話は史実に基づいているとも思う。
--世界ではドイツと日本といえば、残酷だというイメージをもたれているかもしれないが、日本人にもいろいろな人たちがいる。
武士道もご都合主義で、偉そうにいうだけのレトリックの人物ではない。
卑劣ではないという意味での武士道をみたような気がする。
--人を人とも思わず斬り捨て御免! という殺人鬼のようなものに人の『道』などあるはずがない!
いい映画だったと思うし、見てよかったと思う。
文化というものは混ざるものである……。
ドイツの文化を愛しているドイツ人は、捕虜になってもその文化を再現した。
しかし、今のベルト・コンベーアの流れ作業では無理だろうなあ……。
チャップリンの映画『モダン・タイムス』が作られる前の時代、それなら可能だろう……。
文化は--そして奪い合うだけのものではない!
ブラボー! と言いたい作品である。
そして、殺しあう文明の、ゼロサムゲーム。
多くの映画は“闇”である。
--殺される人たちにも家族があり、同じ人間だということは描かれていない。
--異常な映画が多い……。
まるでブッシュ大統領のようなものだ。
そんなものに酔っている社会では不気味な社会になっていくのも仕方がない気がする。
この映画では、そんな闇はない。
……さまざまな人間模様もあざやかに描かれていたとボクは思う。
音楽でいえば第九だろう!
ぜひ、見ていただきたい一作です。
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『バルトの楽園』
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