磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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科学 2011-11

2012年03月22日 | 読書日記など
『科学 2011-11』
   田中太郎・編/岩波書店2011年

特集名 チェルノブイリの教え



「表5-放射線に弱い人を見つける方法」花岡文雄。 下「」引用。

「[簡易の一次スクリーニング]
・採血で得たリンパ球を増殖させる(レクチン刺激)。
・リンパ球にプレオマイシン(DNA切断作用をもつ抗がん剤)を作用させて増殖できるかどうかを観察する。
・リンパ球が増殖できなければ、プレオマイシンによるDNA二本鎖切断を修復できたためと考えれる。
・ミトコンドリアの活性を指標にして細胞の生存を検出するキットがすでに市販されている。
・マス・スクリーニングが可能(96穴などのマルチタイタープレートを用いる)。
[二次スクリーニング]
・一次スクリーニングでプレオマイシン存在下でのリンパ球の増殖が低く危険性が考えられる場合、リンパ球にX線を照射して確かめる。」

放射線に弱い人……。下「」引用。

「乳幼児・胎児が放射線の影響をうけやすいことは、DNA損傷の観点からも考えられます。細胞分裂が盛んであるということは、DNA複製がそれだけ行われています。すでに述べたように、複製時に損傷があると二本鎖切断がおこりうるので、複製の盛んな乳幼児・胎児はその分、影響をうけやすいと考えられます。
 また、すでに医療で放射線をあびた人は注意する必要があります。放射線によるDNA損傷の面から考えると、損傷の量が、通常の人よりも下駄をはいた状態にあかるです。そのほかのDNA損傷を引きおこす要因、たとえば、タバコの煙や車の排気ガスなども、避けるに越したことはありません。」

カール・セーガン「法外な主張は、法外な証拠を必要とする」

「100mSv以下は影響ありません?」 下「」引用。

「少なくとも、“100mSv以下で過剰相対リスクの値が急にゼロになる”という閾値モデルは成立しがたい(逆に100mSv以下ではむしろリスク係数は大きくなる傾向が認められる)。」

「原子力産業労働者データ」 下「」引用。

「最近、原子力産業労働の疫学追跡調査で、累積被曝量とともにガンが増加したという報告がいくつか発表されている。
 2005年にCardisらは、世界15カ国で行われてきた原子力産業労働者の疫学調査をひとつにまとめて解析した結果を報告している。平均個人被曝量19.4mSvの約40万人の集団において、平均12年の観察期間中2万4158件の死亡があり、そのうち(白血病を除く)ガン死6519件、白血病死196件であった。ガンの過剰相対リスクは1Svあたり0.97(95%信頼区間 : 0.14~1.97)と統計的に有意であった。
 2009年にMuirheadらは、英国の被曝労働者国家登録にもとづく疫学調査を報告している。その報告によると、17万4541人の被曝作業員を平均22年追跡した結果、2万6731人の死亡があり、そのうちガン・白血病死は8107件であった。累積被曝量は平均24.9mSvで、ガン死の過剰相対リスクは1Svあたり0.275(90%信頼区間 : 0.02~0.56)と統計的に有意であった。-略-」

「事故処理者(リクビダートル)の健康問題」 下「」引用。

「-略-1992年ベルリンで開かれた第2回被ばく者国際会議で、ミンスクのG.E.Lepin教授は、7万人の事故処理者が健康を害しており、1万3000人がすでに死亡したと発表している。A.Yablokovは、種々の検査を総合すると2005年までに、11万2000~12万5000人の事故処理者が死亡した、と推定している。ウクライナとロシアの死亡率調査によると、彼らの主要な死因は非悪性疾患と重篤な複合的な疾患で、次いで多いのが悪性腫瘍である。一般に信じられているように、必ずしも悪性腫瘍のみによる死亡率の増加ではないのである。事故処理者の病状で特徴的なのは同時に4種類から5種類の疾病にかかるということである。これは被ばくによる若年性老齢化と分類され、約70%の事故処理者にみられる。」

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山下俊一と笹川良一。40歳以上も配布すべき……。下「」引用。

「笹川プロジェクトで山下俊一らはウクライナ、ベラルーシ、ロシアで惨事が起きた時に10歳以下であった子ども11万9178人を調べた。その中から62例の甲状腺がんが見つかり、4万5873例のがん以外の甲状腺疾患が見つかった。すなわち62例のがんが発症する背景には730倍にも及ぶ甲状腺疾患があるということを示している。しかし、山下氏はチェルノブイリにおいて急性障害で死亡したのは28人であり、子どもの甲状腺がんが増えただけだと述べている。
 甲状腺がんは高汚染地区に住む子どもたちの間で特に急速に増加した(表7)。甲状腺がんの発症を年齢別に見ると0~18歳の年齢層で最も著しく増加を示している。惨事当時すでに大人だった人にも甲状腺の等価線量が5Svになりると予想されない限り40歳以上にはヨウ素剤の投与を行わないことになっているが、この結果を見る限り、予防のためには配布すべきである。」

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「正しく理解できない」資料。下「」引用。

「「たとえば文部科学省の「放射線を正しく理解するために-教育現場の皆さまへ」なる資料の中に見える。この資料には問題が多々あるが、その一例として次のようにある。「チェルノブイリ原発事故では、小児甲状腺がん以外のがんの増加は認められていません」といい、身体の不調はストレスからと説明したうえで「放射能のことを必要以上に心配しすぎてしまうとかえって心身の不調を起こします」と述べている。まさにチェルノブイリ大惨事の時に「放射線恐怖症」といって現に起きている病気を無視した姿勢を彷彿とさせる。
 市民はチェルノブイリ大惨事の実態をよく理解し、記憶して行動する必要があるだろう。」

正当化できない。下「」引用。

「-略-チェルノブイリ原発の運転員には責任を感じて事故直後に大量に被曝しながら作業をした人がいたのですが、彼らでも2~3週間は生きていました。被曝によってすぐに死ぬのはまれで、さらに低いレベルである多くの被曝は直ちにはす影響は出ないものです。こういう言い方でもって何かを正当化できるかというと、まったくそんなことはないのです。」

原子力開発の根底にある傲慢さ。下「」引用。

「編集部 第2章「隠された事故原因」では、ソ連の原子力行政のすべてを牛耳ってきたというスラフスキーとソ連科学アカデミー総裁のアレクサンドロフについての、ゴルバチョフの証言を興味深く読みました。この二人の「巨人」は事故で不安な政治家を前にして「特にどうってことないじゃありませんか。原子炉の開発にはこうしたことはつきものなんですよ」と言ったというのですね。この言葉には、原子力開発の根底にある傲慢さがみえるように思います。」

IAEAは世界市民のための組織ではない。下「」引用。

「-略-IAEAのブリックス事務局長(当時)の次のような言葉が記録されています。「IAEAとは、加盟国の政府の利益と意向を代表する組織であり、各国の国民や、世界の市民のための組織ではありません。もちろん民主的国家においては、政府は国民の利益を代表しますから、間接的には人々の利益につながるはずなのですが……」。」

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ICRPも同様に政治的組織。

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「ストロンチウムの調査の問題点」 下「」引用。

「-略-一方、情報が欠如しているのが、ストロンチウムです 。
 放射性のヨウ素とセシウムは、生体の体を透過するγ線を出すので、外部から放射性物質の濃度を計測することができます。放射性ストロンチウムは、ほとんどγ線を出しません。放射性ストロンチウムの検査をするには、ストロンチウムを化学的に分離した後に、微弱なβ線を計測しなくてはなりません。化学的な分離に時間がああるので、ストロンチウムの検査は、2週間から1 カ月かかります。また、工程が複雑なために、放射性ストロンチウムの検査が可能な機関は、国内でも限られています。
 検出に時間がかかるストロンチウムについては水際で止めることができません。そこで、日本では、セシウムの10%のストロンチウムが含まれることを前提に、基準値を設定しています。計測が容易なセシウムを量して、計測が難しいストロンチウムを併せて防護しようという考えです。この10%という値は、チェルノブイリなどの過去の事故から推定した値であり、福島でも10%でよいのかどうかはわかりません。日本沿岸に流れ出たセシウムとストロンチウムの比を把握することが重要になります。-略-」

しかし、チェルノブイリ事故の爆発は原子炉一つ。日本では複数あったわけですね。同じ比率とは限らないのでは?









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