龍の声

龍の声は、天の声

「孫子の兵法について学ぶ③」

2019-03-24 05:58:19 | 日本

「兵とは詭道なり!」

戦争とは、敵をだます行為である。

だから、本当は自軍にある作戦行動が可能であっても、敵に対しては、とてもそうした作戦行動は不可能であるかに見せかける。本当は自軍がある効果的な運用のできる状態にあっても、敵に対しては、そうした効果的運用ができない状態にあるかのように見せかける。

また、実際は目的地に近づいていながら、敵に対しては、まだ目的地から遠く離れているかのように見せかける。実際は目的地から遠く離れているにも関わらず、敵に対しては、既に目的地に近づいたかのように見せかける。

こうした、いつも敵にいつわりの状態を示す方法によって、

・敵が利益を欲しがっているときは、その利益を餌に敵軍の戦力を奪い取る。
・敵の戦力が充実しているときは、敵の攻撃に備えて防禦を固める。
・敵の戦力が強大なときは、敵軍との接触を回避する。
・敵が怒り狂っているときは、わざと挑発して敵の態勢をかき乱す。
・敵が謙虚なときはそれを驕りたかぶらせる。
・敵が安楽であるときはそれを疲労させる。
・敵が親しみあっているときはそれを分裂させる。
・敵が自軍の攻撃に備えていない地点を攻撃する。
・敵が自軍の進出を予想していない地域に出撃する。

これこそが兵家の勝ち方であって、そのときどきの敵情に応じて生み出す、臨機応変の勝利であるから、出征する前から、このようにして勝つと予告はできないのである。



「兵は詭道なり」の一節

兵は詭道なり。
ゆえに能なるもこれに不能を示し、用なるもこれに不用を示し、近くともこれに遠きを示し、遠くともこれに近きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、怒にしてこれを撓だし、卑にしてこれを驕らせ、佚にしてこれを労し、親にしてこれを離す。
その無備を攻め、その不意に出ず。これ兵家の勝にして、先には伝うべからざるなり。
「兵は詭道なり」は、孫子の兵法の第一章「計篇」で出てくる一節です。


◎「兵は詭道なり」の現代語訳

戦争とは、騙し合いである。
だから、本当はできることもできないように見せかけるし、必要であっても必要でないように見せかける。また、実際は目的地に近づいているのに遠く離れているかのように見せかけ、目的地から遠く離れているのに近づいたかのように見せかける。
敵が利益を欲しがっている時は利益を餌に敵を誘い出し、敵が混乱していればその隙に奪い取り、敵の戦力が充実している時は敵の攻撃に備えて防禦を固める。 敵の戦力が強大な時は戦いを避け、敵が怒り狂っている時はわざと挑発してかき乱し、敵が謙虚な時は低姿勢に出て驕りたかぶらせ、敵が休息十分であれば疲労させ、 親しい間柄であれば分裂させる。
こうして敵が攻撃に備えていない地点を攻撃し、敵が予想していない地域に出撃する。このように、兵家の勝ち方とは臨機応変の対応によるものであるから、あらかじめどのような方法で勝つかは人に話すことはできないのである。


◎「兵は詭道なり」の解説
孫子は戦争について「兵は詭道なり」と説き、戦いは所詮、敵と味方の騙し合いと考えました。
できることをできないように見せ、できないことをできるように見せる。そういった虚実の駆け引きが戦いの本質であり、相手の裏をかくことで弱者が強者に対峙したり、勝てる戦いに持ち込むのが兵法ということになります。
その意味では、兵法は臨機応変のもので常に定型の「勝利の方程式」ではありませんから、兵法を知らない他人から見るとわかりにくいものなのかもしれません。







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