編集部: こむら返りとは、何でしょうか?
齋藤さん: ふくらはぎから足裏、足の指にかけての急激な筋肉の突っ張りを一般的に「こむら返り」とよびます。いわゆる「足がつる」状態です。急な激痛なので心配になるかもしれませんが、病気ではありません。
編集部: どうして「こむら返り」は起こるのでしょうか?
齋藤さん: 実は、正確なメカニズムはよくわかっていません。医学的には「有痛性筋痙攣」とか「筋クランプ」と称しますが、正式な名称もはっきり定められていないのが現状です。腓腹筋に起こることがほとんどなので「腓腹筋痙攣」とも呼ばれていますが、実際は腓腹筋以外でも起こりうる症状です。「こむら」は「ふくらはぎ」をさす言葉ですが、ふくらはぎ以外にも手足の指や首、背中などでも起こります。原因としては、筋肉の疲労や血行不良、そしてミネラルバランスの崩れなどがあげられます。
編集部: どんな人に起こりやすいのでしょうか?
齋藤さん: 加齢に伴い血流が滞りやすかったり、疲労が溜まりやすくなったりしている中高年、ミネラルバランスが崩れやすく体重増加などで足に負担がかかりやすい妊娠中の女性などです。普段あまり運動習慣のない人が急にスポーツやストレッチをした時なども、筋肉に負担がかかると起こりやすいと言われています。運動前に準備体操をするのは、「こむら返り」の予防という目的もあるのです。
◎「こむら返り」の原因
編集部: 「こむら返り」の原因についてもう少し詳しく知りたいです。
齋藤さん: 「こむら返り」は、わかりやすくいうと筋肉の誤作動なので、筋肉が正常に働きにくい状態になってしまうと「こむら返り」が起こりやすくなります。
編集部: そうすると、筋肉が疲労している状態が良くなさそうですね。
齋藤さん: そうですね。筋肉に酸素や栄養分を運ぶのも、筋肉に溜まった疲労物質を回収するのも血液なので、血行不良も筋肉の疲労に繋がります。
編集部: ミネラルバランスが原因となるのはどうしてですか?
齋藤さん: 私たちが筋肉を働かせて活動するとき、筋肉は収縮と弛緩を繰り返します。このときにカルシウムやカリウム、ナトリウムなどのミネラルが必要とされるのです。そして、それらの働きを調整しているのがマグネシウムというミネラルです。これらが不足したりバランスが悪くなったりすると、筋肉の働きが上手くいかなくなってしまうのです。
◎「こむら返り」の予防法や対処法
編集部: では、どうやったら「こむら返り」は減らせますか?
齋藤さん: まず、筋肉疲労を速やかに解消することです。筋肉が疲れていると感じたら、マッサージやストレッチ、休息などで対応しましょう。もちろん、先ほど言ったように、運動前に準備体操をするのも効果的です。
編集部: 血行を良くするためには、何をしたらいいのでしょうか?
齋藤さん: 基本的なことですが、食生活や水分摂取に気をつけて、血液サラサラを保ちましょう。また、タイトな衣類や靴でふくらはぎを締め付けないことや、冷やさないことも大切です。特に、くるぶしから上の10~15cmあたりは、血管が急激に細くなるため血流が悪く、冷えやすい部分です。靴下を履いたり、半身浴や足湯をしたりして冷えを解消しましょう。
編集部: ミネラルバランスを保つために何かいい方法はありますか?
齋藤さん: カルシウムは乳製品や小魚、カリウムは野菜や果物、海藻類、マグネシウムは肉や魚に多く含まれます。このような食材を使ったレシピを積極的に取り入れるのがいいですが、ミネラルウォーターも吸収率が良く、効率的に摂取できるのでおすすめです。あとは、煮干しや干し椎茸などでしっかり「だし」をとったお味噌汁は、全てのミネラルがバランスよく摂れる優秀メニューです。
編集部: 実際に「こむら返り」になった時の対処法を教えてください。
齋藤さん: 膝を伸ばして座り、足の親指をつかんで手前に引っ張りましょう。仰向けに寝た状態でも構いません。これだけですぐに治まります。事故につながる恐れもありますので、運転中や水泳中などはできるだけ速やかに安全な場所へ移動しましょう。
編集部: 最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。
齋藤さん: 「こむら返り」は普段の食生活や生活習慣、運動前の準備体操などで予防することができます。実際に「こむら返り」になってしまった時も、突然の激痛でパニックになるかもしれませんが落ち着いて行動することが大事です。必ずおさまるので安心してくださいね。
◎編集部まとめ
こむら返りとは、いわゆる「足がつる」状態で、筋肉の疲労や血行不良、そしてミネラルバランスの崩れが原因で起こることがわかりました。いざ「こむら返り」になった時も「膝を伸ばして、足の親指を手前に引っ張る」という対処法を思い出して落ち着いて対応したいですね。