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萌映画

映画評と映画与太話

シュツットガルト・バレエ「眠れる森の美女」(2008)

2008-11-27 | 舞台
シュツットガルト・バレエの「眠れる森の美女」を見てきた。(2008年11月23日 東京文化会館)
もう再演しないんじゃないかと半ば諦めていたマリシア・ハイデ演出版だ。これ、カラボスがイケてるんだよね。

東京では3公演あるうち、王子がフリーデマン・フォーゲルのやつを選んでみた。いとしのロミオくんである。(過去記事参照)
結果、王子は誰でもよかったかなと思ったのだが…。

「眠れる森の美女」は、登場人物が悩んだり悲恋したりするお話ではないので、ハイデ版も筋書きにひねりはない。
求婚王子たちがかっこよくて、魔女カラボスが強烈なだけ。
でもこれが重要(^^;

筋書きは民話などと同じ。
第一幕:ある国の国王夫妻に女の子が生まれて、誕生祝賀会に妖精たちが招待され、それぞれが姫に祝福を授ける。
が、招待リストから魔女カラボスが漏れていた。立腹したカラボスは16歳になったら姫は死ぬと呪いをかける。が、リラの精が死ぬのではなく眠るだけと呪いを和らげる。

幕が開くとダンサーたちがストップモーションのごとく静止している。かっこいー。貴族たちの青いドレスがおしゃれ。
なんとかの精たちはまあ、それなり。リラの精だけちょっと偉そう。
そして、出たー、乱入カラボス! この日はジェイソン・レイリー。そう、カラボスは男性舞踊手が演じるのだ。白塗りして、黒いドレスの裾を翻して飛ぶわ、走るわ、禍々しく場を席巻。
これだけ濃いキャラだとやっているほうも楽しそうだなぁ。

途中、成長するオーロラ姫とそれを見守るリラの精、その様子をうかがうカラボスっていうシーンが繰り広げられる。

さて、姫は16歳になりました。演じるのはマリア・アイシュヴァルト。なかなか安定感のある人だ。
東西南北4人の王子が求婚にやってくる。そのうち二人はヨーロッパ風で、黄色い人がちょっとオリエント風(おそらく東の王子)で、緑の人がやっぱりなんとなく異国風(南の王子?)。
求婚王子たち、粒ぞろいです。
こりゃ、オーロラ姫じゃなくても一人を選べって無理だぞ、とか思ってみたり。
パーティー客に紛れてフードをかぶったカラボス侵入。糸巻きのはりをしこんだ薔薇の花束を姫に渡して、姫、指にささって…。
「100年経ったら王子の口づけで目を覚ます」ってことに。リラの精は姫だけじゃなく、宮廷の全員をねむらせるんだな、これが。

第2幕:100年経ちましたー。
ということで、衣装がどことなく19世紀っぽい。アール・ヌーヴォー風?
薔薇が生い茂った宮廷の庭に狩りの貴族たちがやってくる。
王子登場。
王子、何故かひとりになりたがる。ナカマがみんなどこかへいってしまったところ見計らって、リラの精が王子にオーロラ姫の幻を見せる。
惑わされた王子、カラボスとひと悶着あったが、姫にチューして目覚めさせる。

ええと、フォーゲルくん、ちょっとやつれた?
ロミオから3年でずいぶん老けちゃった感じ。
うーん、まあ、「眠り」の王子だからこんなもんかなーという感じ。 

第3幕:結婚披露宴。
目覚めた宮廷の人たちと御伽噺の登場人物が参列する披露宴である。赤ずきんとか長靴をはいた猫とか青い鳥とかでてくるのである。
だけど、アリババと4つの宝石ってなに?
とりあえずパーティーだから細かいことは気にしてはいけない。
求婚4王子も国賓として参列している、が、100年も経ったらきみたちの国はもうないだろう、なんてことも…。

オーロラ姫、100年眠っていて16歳のまま、のはずが、何故か26歳くらいの貫禄がついていた(^^;
抜群の安定感で、難しいパ・ド・ドウをこなす。
王子、キャラ設定はともかく、体の線がきれいです。さすが王子。

最後に「ああ、悔しい」とう風情のカラボスも姿を見せるのだが、リラの精に追っ払われる。

カーテンコール、やはりカラボス絶賛でした。

シュツットガルトの演出は色彩もなかなか粋である。特に衣装は、米国のバレエ団だったら原色だろう、というあたりが深みのある色使いだったりする。
途中、照明の演出で、まわりがセピアに見えるっていう場面があって、これもかっこよかった。
いろいろ目の保養をさせていただきました。

英国ロイヤル・バレエ「シルヴィア」

2008-07-07 | 舞台
英国ロイヤル・バレエの「シルヴィア」を見てきた。(2008年7月5日 東京文化会館)
なんか、プリンシパルに怪我人続出やらなにやらでキャストが大幅変更。ま、rukkiaはキャスト狙いじゃなかったから別にいいけど、狙ってた人はがっかりしただろうな。

今回の「シルヴィア」はフレデリック・アシュトン振付(元は1800年代の古典バレエ)、初めて見る演目だが、例によってお話はしょーもないものである。
羊飼いの青年アミンタ(デヴィッド・マッカテリ)はニンフのシルヴィア(ローレン・カスバートソン)に惚れちゃうが、狩りと純潔の女神ディアナに仕えるシルヴィアは言い寄るなんてもってのほかと怒って彼を射殺してしまう。
愛の神エロス(ジョシュア・トゥイファ)はシルヴィアを返り討ちにする。が、その矢の魔力(?)でシルヴィアはだんだんアミンタを焦がれるようになる…。
同じようにシルヴィアに惚れちゃった狩人オリオン(ギャリー・エイヴィス)は実力行使にでる。シルヴィアをさらって、金品でそそろうとするが、彼女は全く靡かず。逆にシルヴィアに酒を飲まされすぎてへべれけになって逃げられる。

一方、アミンタはエロスによって生き返る。そしてさらわれたというシルヴィアを追って…。
アミンタを殺しちゃって後悔しまくるシルヴィア、エロスに祈ると、生き返った姿を垣間見せられ、嬉々としてアミンタの元へ。
ディアナの神殿前で再びあいまみえる二人、大喜び。

あの、その女、あんたを殺した下手人なんですが(^^;

ま、そんな話です。

で、ヒロインのシルヴィアを演じるのはまだソリストのローレン・カスバートソン。ソリストといってもプリンシパルへの昇進が確定しているそうだ。
さすがロイヤルで主役をとるだけあって、ジャンプや回転の迫力はバツグン。一瞬バランスを崩したかというところもあったが、何食わぬ顔。気に入るまではいかなかったが、特に不満なし。

アミンタのデヴィッド・マッカテリは…、ええと、彼が悪いわけじゃないと思うのだが、恋する若者はキモイです。
もともと古典バレエの王子ってそんなもんだが(^^;
まあ、エロスの矢で呪い(?)でもかけられなかったら普通、惚れないだろうなぁ、あんなナヨ男には。> 容姿は問題ないのだが…

何気に妙ちきりんだったのがエロス。最初は石像のふり(?)、アミンタを生き返らせるところではマントをかぶって奇妙なステップ、シルヴィアのお願いを聞くところでは天使の羽根付。
彼はこのお話を影で糸引きまくる役なわけだが…、どういうキャラなのかちょっと理解に苦しむ。ま、おもしろいからいいんだけど。

そして何気に見せ場なのが悪役オリオン。ギャリー・エイヴィスという人はキャラクター・ダンサーだそうだが、いかにも過ぎるわかりやすい悪辣振り。さらにカーテンコールでは主役を奪う勢い(^^;
あー、アミンタよりオリオンのが全然かっこいいと思うんだけどなぁ。 > 性格は悪いけど…

もちろんアシュトン作品なので音楽と踊りの調和はばっちり。英国ロイヤルなので衣装のセンスもグー。
そんなこんなで、いろいろ邪に楽しめた演目でした。
欲を言えば、ディアナに撃たれちゃうオリオンの今わの際をもうちょっと派手に… > それこそ主役そっちのけ(^^;

マリンスキー・オペラ「イーゴリ公」(2008)

2008-02-05 | 舞台
マリンスキー・オペラの「イーゴリ公」を見た(2008年2月2日 NHKホール)。サンクトペテルブルグのマリンスキー劇場引越し公演である(昔はレニングラード・キーロフ劇場といっていたはず)。指揮はワレリー・ゲルギエフ。

もともとオペラは見ないのだが、一昨年の指環が楽しめたので、ゲルギエフのオペラなら見てみたいかなと。
それに「韃靼人の踊り」の踊りと合唱を生で体験したかったのだ。
そんなわけで、予習もせずに大枚をはたいてオペラへGO。

とにかく内容を知らないので、興味津々状態で見物である。
知っているのは、ロシアのイーゴリ公という人が出てきて、韃靼人(正しくはポロヴェッツ人)のハーン(汗)となにやらかにやら、という話だということ。
曲だって「韃靼人の踊り」以外は知らない。作曲者のボロディンの他の曲も「中央アジアの高原にて」ってやつくらいしか知らない。もちろん、オペラ歌手についての予備知識は皆無。

さて冒頭はイーゴリ公たちがポロヴェッツとの戦いへ出向く場面である。
いざ出陣!っていう時に日食が起きる。凶兆だとさざめく人々。が、勇ましいイーゴリ公はそれでも行かねばならぬ、と。
ここらの芝居がへぼい。あまり日食に恐れおののいている風には見えない。所詮オペラか…。

妻が出てきておやめくださいとすがるも彼の意志は固い。
で、この妻、か弱いはずなのに夫を凌ぐ声量。ソプラノとバリトンではこうも通りが違うのかと思うくらい。
もちろん体型もぱつんぱつん。こりゃ、前にブリュンヒルデをやった誰かだろうと思ったら、案の定、一番パッツンパッツンだった「ジークフリート」の時のブリュンヒルデの人だった(^^;

イーゴリ公、あとを妻の兄に託して無理矢理出立。
で、この兄、動きが胡散臭いと思ったら悪役だった。オペラ歌手にしては高度な演技力。 < 失礼です
こういう人がいるのがゲルギエフのプロジェクトのいいところだ。

さて次の場面はなにやら野営地のようである。ポロヴェッツの女性ばかりが物悲しく歌い踊る。どうやらハーンの娘が思い人を待っているらしい。
やってきたのはどう見てもロシア人。テノールである。色男はテノールと決まっているのである。
どうやらこの人物はイーゴリ公の息子で、捕虜になっている間に敵の娘とラブラブになってしまったということらしい。
が、いけない。どうもいけない。全くのオペラ体型で身のこなしもドスドスしていて、百年の恋も冷めるんですけど…。
本来ならこの役がこのオペラ一番の色男なのになぁ。

さて、なにやかにやで「韃靼人の踊り」に突入である。物語としては、ハーンが捕虜になって悶々としているイーゴリ公を客人として慰める宴会、という設定のようである。
この場面、踊るのはマリンスキー劇場バレエの人。プロ中のプロである。振付は初期のミハイル・フォーキンのものほとんどそのままらしい。
エキゾチックを狙ってちょっと妙ちきりんだが、迫力は満点である。
楽しい。
ただ、席が遠かったからか、思っていたほど合唱の迫力を感じれられなかったのが残念だ。

で、この物語、ハーンがやけに太っ腹である。残虐な侵略者なのだが心が広いのだ。なんだこりゃ。
苦悩するするイーゴリ公に「自分の敵にならないと約束するなら帰国してもよい」とかいうのだが、「侵略者は許さん」と強情なイーゴリ公に、「その豪胆なところがよろしい。わっはっは」である。
さらに脱走したイーゴリ公に「同じ立場なら自分もそうした」って調子だし、残った息子を殺せと迫る家来に「縄ではなく娘で縛っちゃおうぜ」と2人を結婚させちゃうのだった。

一方、イーゴリ公の街では、奥さんがさめざめと泣きながら主人の帰りを待っている。そのわりには電光パンチ・ソプラノである。 > いいのかそういう演出で?
待てよ、親子を送り出してるのに、息子のことはあまり気にかけてないぞ、この人。
幕間の物悲しい合唱曲がステキだった。合唱はセットの裏でアカペラで歌っていて姿は見えない。歌の内容は、ポロヴェッツに蹂躙された国土を嘆く悲しい歌である。しみじみ。
ボロディンってソロの曲より合唱曲のがかっこいいかもしれないと思ったりした。

さて、街では銃後を任されたはずの兄貴がやりたい放題。かなりの放蕩者である。ここでも懇願する娘たちの合唱がステキだった。
この兄貴と奥さんの喧嘩シーンがあるのだが、電光パンチ・ソプラノに負けないバリトンである。うわー。
この兄貴いいかも。
あとで調べたら兄貴はバリトンではなくバスだった。そんなに低くなかったけどなぁ。

今回はロシアものってことで、衣装がだぶだぶばさばさしていてオペラ歌手のみなさまの体型を思いっきりカバーしていた。 > ただし、ぱつんぱつん奥さんとドスドス息子はさすがに隠せてなかった…
兄貴はオペラ体型には見えず、普通にかっこいい。オペラグラスでチェックしたら、ルックスもよかった♪ おお、オペラにもこういうのありなのかと感動。 < 感動ポイントが間違ってます(^^;

最後は脱走したイーゴリ公が帰還して、街を守るぞーってところで終わる。

ドラマとしてはどうかと思うが、結構楽しかった。
ただ、このチケット代を考えると、次も見にいくかというと微妙だな。
今回の兄貴(アレクセイ・タノヴィツキー)と前回のハーゲンの人(ミハイル・ペトレンコ)が出るなら見に行くかも。 < 相変わらず不純
あ、両方ともバスだ。バスって脇役だよなー。同時に2人とも出ることはないのかなぁ。

惜しむらくは、席が遠くてオーケストラボックスが見えなかったこと。指環の時はかっこいい演奏家チェックを楽しんだものだったが(^^;



指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演出:エフゲニー・ソコヴニン
2001年版演出 : イルキン・ガビトフ
音楽監修(2007年) : ワレリー・ゲルギエフ
「ポロヴェッツ人の踊り」 振付 : ミハイル・フォーキン
演奏:マリンスキー劇場管弦楽団

イーゴリ公 (プチーヴリの公) : セルゲイ・ムルザーエフ
ヤロスラーヴナ (その妻) : ラリーサ・ゴゴレフスカヤ
ウラジーミル (彼らの息子) : エフゲニー・アキーモフ
ガリツキー公 (ヤロスラーヴナの兄) : アレクセイ・タノヴィツキー
コンチャーク汗 (ポロヴェッツ人の長) : セルゲイ・アレクサーシキン
コンチャコーヴナ (その娘) : ナターリア・エフスタフィーエワ

【ポロヴェッツ人の踊り】
ポリーナ・ラッサーディナ、イスロム・バイムラードフ、アンナ・シソエワ、ゲンナジー・ニコラーエフ

*日本語字幕付


バーミンガムバレエ「コッペリア」(2008)

2008-01-21 | 舞台
英国バーミンガム・ロイヤル・バレエの「コッペリア」を見た。(2008年1月17日 五反田ゆうぼうと)
「美女と野獣」に続いて日本人プリマである。本日のスワニルダはゲスト・プリンシパルの吉田都さん。彼女は遠目にも日本人とわかる小柄で平たい顔の人である。
しかし、さすが英国でのプリンシパル昇進先駆者、ものすごい安定感+わかりやすい演技である。体の切れが他のダンサーと全然違うぞ。そしてやきもち焼きでおきゃんで賢いスワニルダ、ぴったりである。
最後のパ・ド・ドゥもウツクシイのだが、それより、いたずら心で友達とコッペリウスの家に忍び込むところとか、人形の真似をするところなんかが国宝モノである。
いやー、平日に休みをとって見に来た甲斐があろうというもの。
都さんは今は日本で熊川哲也のKバレエカンパニーに所属しているらしい。
…げげ、もう40代だったのか、それにしてはなんと軽快な!

ピーター・ライト版のフランツは浮気性な色男だ。イアン・マッケイが軽妙に演じる。が、なんかやたらと転んでたけど、あれは演出?それとも失敗? > さすがに第3幕では転ばなかったけど

rukkiaはローラン・プティ版の「コッペリア」が好きなのだが、スワニルダだけをとったらこのピーター・ライト版でもいいかもしれない、などと思った。
欲を言えば、誘惑ジプシー女とか、脇役がもっと濃ければなぁ。演劇的なロイヤルのバレエがもっと生きると思うんだけどなぁ。

バーミンガムバレエ「美女と野獣」(2008)

2008-01-08 | 舞台
英国バーミンガム・ロイヤル・バレエの「美女と野獣」を見た。(2008年1月6日 東京文化会館)
英国で「ロイヤル・バレエ」といえば普通、コヴェント・ガーデンのカンパニーを指す。バーミンガム・ロイヤルって何?と思ったら、その昔サドラーズ・ウェルズといっていたカンパニーだ。

で、会場に着くなり主役が怪我で交替というお知らせが…。エリシャ・ウィリスに代わって別の日にも主役をやっている佐久間奈緒。
えー、西洋人プリマがよくてこの日にしたのになぁ。

蓋を開けてみれば、彼女、悪く無かったよ。さすが名門のプリマである。全然日本人くさくない。スタイルもいいし動きも優雅だし、清楚でいい子ちゃんの三女をやらせておく分には全く問題ない。ただ、あまりにもいい子ちゃんの役なので、他の演目ではどうなのかはちょっとわからない…。
とにかくこの日は問題なしということで、安心して鑑賞。

演出はマイム多用が英国っぽい。振り付けはクラシックの基礎を使いつつモダンで速い動きが多いのだが、なんかちょっと退屈。なんでかな。おもしろくないわけじゃないんだけどな。ダイナミックな男性群舞もあるし。
でもなんか琴線に触れなかった。何が足りないんだろう。

第一幕の終盤、野獣の館にやってきた三女ベルと野獣の絡みがある。この時、まだ野獣の中身は野獣気味である。野獣VS無垢な美女。怪しい、怪しすぎる! > rukkia大喜び

が、このテンションが持続しない。第二幕になったらまたそこそこおもしろいけど琴線に触れない状態に戻ってしまった。
ベルがいなくなって衰弱する野獣、それを嘆くキツネガール(プログラム上はワイルドガール)。
ちょっと待て、元はといえば、野獣は制止を聞かずに狐を狩ろうとしたために野獣の姿にされてしまったのではなかったのか?(という場面が第一幕の冒頭にある)
キツネガールよ、その男はオマエを狩ろうとした張本人だぞ。なのに何故なつく?

なんて突っ込みはじめちゃったので、個人的には愛の悲劇(?)に浸る暇がなかったわけだが、このキツネガール、それはそれでなかなかよかった。ベル役をやることもあるアンブラ・ヴァッロという人だった。こういうキャラと姫キャラを両方できるってのはスゴイな。

クライマックス、野獣は愛の力で呪いが解けて王子に戻る。
すげぇ、王子っぽいよ、イアン・マッケイ! ずっと被り物だったなんて勿体無いよ!
が、あまりにも美麗王子なので「ちょっと待って」状態のベル、途中から急に受け入れてニコニコハッピーになるのだが、そのきっかけがよくわからなかった。
あー、心臓に手を当ててたよね? それ?

ということで、目指すものはよくわかったのだが、舞踊的にも演劇的にももう一押しな感じがしたデヴィッド・ビントリーの演出・振付。惜しいなぁ。
舞台美術も衣装もダンサーも申し分なかったんだけどね。
こういうのを見るとやはりグリゴローヴィッチとかノイマイヤーはすごいんだなと思うのだった。

グルジアバレエ「白鳥の湖」(2007)

2007-07-19 | 舞台
グルジア国立バレエの「白鳥の湖」を見てきた。(2007年7月14日 横須賀芸術劇場)
なんと、これ、ニーナ・アナニアシヴィリの復帰後初来日公演だった。
アナニアシヴィリは知る人ぞ知るボリショイバレエのプリマで、90年代からはアメリカン・バレエ・シアターでも活躍している現在の大御所プリマの一人だ。彼女は2004年から故郷のグルジア国立バレエの芸術監督も務めていて、1児の母となり、今年の春に2年ぶりに舞台復帰したんだそうだ。
同い年(1963年生まれ)のアレッサンドラ・フェリが引退公演とかいってるのに、復帰ですよ、復帰!
で、舞台上の彼女はそれはそれはぴちぴちでした。

もともと、幽玄というよりは溌剌といったほうがいいバレリーナだったわけだが、いやー、見事に華々しいですねぇ。もちろん役はオデットだから基本は繊細な踊りではあるのだが、それにしてもブランクも年齢も感じさせませんねぇ。さすが芸術家。

相手役はボリショイのアンドレイ・ウヴァーロフ。彼も結構いい年だと思うのだが、以前よりすっきりして王子っぽくなった気がする。ジャンプも滞空力あるし、長い足を存分に活かしているって感じ。
(今、チェックしたら35歳だった。一番ノッている時ともいえるかも)

さて、初めてみるグルジア国立バレエだが、どうしてどうして、レベル高いですよー。来日するような旧ソ連のバレエ団はどこもレベルが高いので、名前を知らずに群舞だけみたら区別つかないかも > ボリショイ、マリンスキ劇場、キエフ、ペルミ、モスクワ…
ナポリの踊りとかスペインの踊りには濃い顔の男性舞踊手が選抜されていて、ちょっと笑った。

で、この「白鳥の湖」、アレクセイ・ファジェーチェフの新演出版で2幕構成になっている。冒頭、バレエ団が白鳥の湖の稽古をしているという設定。練習に疲れた王子役舞踊手が眠り込んだら湖のほとり、っていう感じで物語が展開する。
最後、王子とオデットは引き裂かれたまま、王子役が目を覚まして終わる。
まあ、おもしろみのある演出とはいえないけど、芸術監督が夢の中では悪魔という設定は笑えるかも。
第2幕の花嫁選び宴会の民族舞踊はカラフルで楽しい。ステップがやたら速いのだが、あんなに速くしなくてもなぁ。
民族舞踊部分に限らず全体的に振り付けは速い動きになっているような気がする。それが現代的とも見えるし、そもそもグルジアの民族舞踊って速いのが特徴だとか。

で、ファジェーチェフだが、ボリショイ時代にアナニアシヴィリとコンビを組んでいた男性舞踊手だ。てっきり彼が旦那だと思ってたのだが、違ったようだ(^^;
アナニアシヴィリの夫君はグレゴリー・ヴァシャーゼーという弁護士(?)さんで、すでに渡米の頃結婚していたっぽい。へぇへぇへぇ。
で、ダンサーとしてのファジェーチェフはrukkiaはあまり好きでなくて、アナニアシヴィリは見たいけどファジェーチェフは見たくないとか贅沢いってたもんだった。
…単に好みじゃなかっただけです、はい。(ドン・キホーテのバジルは許すけど、白鳥のジークフリートはやめてくれって感じ)

さて、今回のグルジア国立バレエの来日公演は他に「ドン・キホーテ」があるのだ。そっちも見たくなってきたけど、いろいろ押しているので我慢。アナニアシヴィリはオデットよりキトリのが似合うんだけどなー。

あ、グルジアってGEORGIAって書くのねん…。



配役:
オデット/オディール
ニーナ・アナニアシヴィリ
ジークフリート王子/プリンシパル・ダンサー
アンドレイ・ウヴァーロフ
悪魔ロットバルト/芸術監督
イラクリ・バフターゼ
パ・ド・トロワ(王子の友人たち)
ラリ・カンデラキ
ツィシア・チョロカシヴィリ
ラシャ・ホザシヴィリ


王子がみたいのはやまやまだが

2006-11-19 | 舞台
来年の4月にフリーデマン・フォーゲルが来日して「白鳥の湖」のジークフリートを踊る。 →NBS日本舞台芸術振興会

去年のシュツットガルト・バレエの来日公演でrukkiaをノックアウトしたあのロミオである。
今年の夏のバレエ・フェスティバルにもきていたのだが、躊躇してたらチケットが売り切れていかれなくなってしまった。
今回も実は躊躇しているのだ。
…だってバックは東京バレエ団。ジークフリートとオデット以外は日本人だ。せめてロットバルトくらいまではかっこよくないとなー。
しかも公演は平日。仕事を休まなければ見に行けない。うーむ。

あー、でも見たいな王子。NBSが彼をバレエ・フェスに引っ張りだし、さらに客演させたってことは、一部の女性の間で人気沸騰になっているはずである…。
ぴちぴちかわいいうちに見ときたいなぁ < こらっ
…NBSの先行予約は来週いっぱいまで。悩む~。

ボリショイ「ファラオの娘」(2006)

2006-05-14 | 舞台
ボリショイ・バレエの「ファラオの娘」を見た(2006年5月10日、12日 東京文化会館)
内容はもろ妄想
まあ、バレエのストーリーなんてしょーもない話がほとんどなわけだが、しょーもない中にも普通は訴えたいことがあるわけだ。 > 「白鳥の湖」だって「くるみ割り人形」だってそれなりに…
が、この「ファラオの娘」は意味無し。エキゾチックな踊り満載にしたかっただけのエンターテイメント作品である。
ほら、現代でもあるじゃないですか、アイドルタレントを出したかっただけ/アクションとお色気を見せたかっただけの娯楽作品って(どれとはいいませんが…)。
案の定、ソ連時代は「芸術的見解により」上演されなかったらしい(^^;

というわけで、話はエジプトのピラミッド前からはじまる。イギリス人の偉そうな人(貴族かお金持ちか)が従者を連れてやってくる。この人、いでたちこそは冒険家風(リビングストン博士スタイル)だが、ピラミッドの前で絵を書き始めちゃったりするロマンチストである。 > どう見ても研究のためのスケッチというよりは趣味のお絵かきっぽい
で砂嵐に遭って、迷い込んだ神殿跡(?)でアヘン(水タバコのようにも見えるが、それで酩酊はせんだろう)吸ってそれから大妄想が始まるわけである。

妄想の世界ではイギリス人はエジプト人と化している。名前までついている > タオール
何故か従者も一緒にエジプト人化している。
ファラオの娘(ということは王女)が狩り遊びをしていた。
ええと、姫より侍女のが美人です(^^;
姫のアスピシア役はマリーヤ・アレクサンドロワ、プリンシパルである。この人、なんかいまいちだ。下手ではないのだが華がないというかなんというか…。うーむ。
侍女ラムゼ役はアナスタシア・ヤツェンコ、ファースト・ソリストである。役の性格付けのせいもあるのだろうが切れがよくてなかなかステキだった。
で、タオールは昼寝をしていた姫に一目ぼれ、目覚めた姫もその気になっていきなり熱烈ラブラブダンス。

配役はタオール以外は両日ともほとんど同じ。10日のタオールはニコライ・ツィスカリーゼであった。…タオールさん、かなり能天気。最初はこの人なんだろうと思ってみていたのだが、時間の経過とともにどんどん能天気度が増していく
そーいう人なわけですね(^^;
従者の方もお調子ものである。パッシフォンテというエジプト人になってしまった使用人役はデニス・メドヴェージェフ。「ラ・バヤデール」では太鼓の踊りをやっていた人(別の日には黄金の仏像をやっていたらしい)。背が低めなのでキャラクター・ダンサーという位置づけだと思うのだが、結構かわいい。もちろんダンスの味わいも抜群である。(でも見せ場は少ない)

12日のタオールはセルゲイ・フィーリンであった。同じタオールのはずだが、何故かさわやかな二枚目である。…これがホントなんだろう。 > ツェスカリーゼ、怪し過ぎ(^^;

で、第2幕は何故か宮殿で宴会である。原制作者はこれをやりたかったのだろう、エジプトっぽい黒髪のカツラをつけた人々満載、群舞踊りまくりである。
ここにも褐色塗りの日本人子供が出てきた。踊らないけど衣装つけて立っている日本人大人もいたい。キャスト表に「協力:東京バレエ学校」とあったから、そこの人たちなんだろう。

なんの宴会かというと、ファラオが姫をヌビア王と結婚させようとしていて、その前祝みたいなもんだったようだ。
姫はいやがってタオールと駆け落ちする。

第3幕は水底でのロマンチックな河の精の踊りである。この幻想場面はバレエの定番ではずせなかったのだろう。
ここでの河の精のソロを踊った人たちがステキだった。調べてみたら3人のうち二人はまだソリストでもなくコールド・バレエだ!(エカテリーナ・クサリノワ、アンナ・ニクリーナ)おそるべしボリショイ!!

何故水底かというと…、
駆け落ちした二人は河づたいに漁師の村にいきつくわけだが、着の身着のままで逃げたはずなのに、姫、お召し替えしている…。(そういえば狩の間にもお召し替えしていた…)
というのはいいとして、みんなが留守にしている間にヌビア王と追っ手がやってきて、姫に結婚を迫る。「ええい、いうことを聞かんか。結婚しないと殺すぞ」「わらわはイヤじゃ。ええ、殺してみなされ」「この~」ということで、捉えられるよりはと姫は河へ飛び込んで…。

でも、まだタオールに未練がある姫は河の神にお願いして地上へ戻してもらい、宮殿へ乗り込んで、ファラオにヌビア王の暴挙を直訴。「このオトコったら結婚を断ったら私を殺そうとしたのよ」「なぬ~、それはけしからん!」となって、ヌビア王との婚約はなかったことに。さらに「この人と結婚できないなら死んでやる!」ということでファラオは根負けしてめでたしめでたし。
…そして、イギリス人は目が覚める…。

今回は衣装が結構みんなおしゃれではまっていた。姫なんかいったい何回お色直し(?)した?
が、ダンスの構成がいまいち…。原制作はマリウス・プティパなのだが、今回の上演はそれを≪モチーフとした≫ピエール・ラコット版である。群舞が舞台を駆け回り出たり入ったり、マスゲームっぽ色々なフォーメーションを展開したり…。
おもしろくはあるんだけど、なんかあわただしい、という感じ。
うーん、いまいち趣味じゃないかもなー。 > rukkiaは演出・振付家としてはユーリ・グリゴローヴィッチやローラン・プティ、フレデリック・アシュトン、ジョン・ノイマイヤーなど演劇的な捻りのある人たちが好き

当初の発表では12日のタオールがツェスカリーゼでそのチケットを買っていたのだが、キャスト変更のせいで10日も行くこととなった。
どうしてもみたかったツィスカリーゼ、やっぱりお茶目だった。
カーテンコール時に飛んで見せたり。 > 観客大喜び
でも、タオールじゃちょっと消化不良だなぁ。彼には王子をやらせておくのはもったいない。やはり二枚目半が良く似合う。
また何か濃い役で来日してくれることを願う。

やっと見れたツィスカリーゼ

2006-05-10 | 舞台
かなり早めに出張仕事をばっくれました(^_^;)
「ファラオの娘」、かなり激しくしょーもない話です。
バレエってほとんどがしょーもない話ではあるんだけど…演出のせい?>ラコット版

…ツィスカリーゼ、太った?>13年前と比べちゃいかんか…

詳細は後日

ボリショイ「ラ・バヤデール」(2006)

2006-05-07 | 舞台

ボリショイ・バレエの「ラ・バヤデール」を見てきた。(2006年5月7日 神奈川県民ホール)
すげぇ、女の戦い!

ええと、今回のボリショイはけが人とかいろいろあってやたら配役変更が多くて一喜一憂状態だったわけだが、結果的に今日のキャストは結構満足した。

お話は去年のベルリン国立バレエのとほぼ同じ。苦行僧は見ていた!(ベルリンでは托鉢僧)なわけだが、ビミョーに違うところもある。グリゴローヴィッチ版だ。
実は、このバージョン、1993年のボリショイ来日の時に見ていたのだ。しかも、舞姫ニキヤ役は同じくナデジダ・グラチョーワで所も同じ神奈川県民ホール…。
あの時もステキと思ったが、今回もグー。
たおやかで健気な姫ぶりはさすが年の功
ええ、小娘ではこのたおやかさがでないのだよ、ここが芸術の怖いところ。

で、太守の娘ガムザッティ役はガリーナ・ステパネンコのはずだったのだが、けがで来日できないとかでマリーヤ・アラシュという人になった。ニキヤ役もやる人らしい。さすがボリショイ、まだプリンシパルじゃないけど抜群の安定感とキレがある。

で、第1幕のライバルご対面シーンだが、いやぁ、コワイコワイ、「この人は私のものよ、オホホホホ」「神に誓って私のものです。譲れませんっ」「諦めなさい!」「死んでもイヤです」って、たおやかなニキヤでさえ逆上してナイフを振りかざす。ガムザッティはもうライバルを抹殺するしかないと意を堅くする。
ええ、ここが本日のクライマックスですな。(本来の見せ場は別かもしれないが)

そして第2幕は勝ち誇った風情のガムザッティが婚約者となったソロルと登場。このソロルだが、美女二人がとりあうほどのいい男とは全然思えない。一応、ベルリン版は「英雄」ってことで、戦士たちからも一目置かれているような演出があったと思うが、こっちはそういう風には見えず。
そして、プログラムの解説読んでてびっくり。なんと第1幕のソロルとニキヤの愛の誓いでは駆け落ちを約束していたらしい。
そんなら何故彼女をさらってとっとと逃げないのか!?
まったくもって甲斐性の無い男である…。

ソロル役はウラジミール・ネポロージニー。スタイルもテクニックも王子向きだが飛び抜けてハンサムというほどではなく、なんか、こう、萌えない。
まあ、優柔不断ソロルにぴったりといえばぴったりだが…。(この人1993年の時は「ロミオとジュリエット」でパリスやってた人だ。イケてないぼっちゃまの代名詞パリスを(^^;)

さて、第2幕は婚約式(なのか?結婚式じゃないのか?)の披露宴での余興の踊りが続く。
ぎゃー、仏像、こんなところで踊るなっ
他のバレエ団では、黄金の仏像といえば暗く不気味な寺院でひとりでに踊り出す怪しい像のはずだが、ここでは何故か真っ昼間に衆人環視の中で踊りやがる。…踊りそのものは悪くはないんだけど、仏像は白昼踊るなっ! ぜいぜい…。
グリゴローヴィッチ版には「太鼓の踊り」というのがある。ボリショイ得意のエキゾチックで力強い男性中心の群舞である。会場大喜び。拍手の大きさが違うぜ。もちろんrukkiaも大喜び。

ガムザッティの取り巻きに黒人少女のたちというのがいて、これを黒塗りの日本人の子供がやっているのだが、かなり出番が多いのだ。しかも結構難しいステップで踊ってたりする。なんかすごいなー、この子たち。出演者表に名前載せて欲しいくらいだぜ。

といわけで、久々のボリショイ・バレエを堪能。楽しかった。