ヘレン・ミレンといえばrukkiaにとってはモルガン(@
「エクスカリバー」)でディープソート(@
「銀河ヒッチハイクガイド」)なわけだが、ここでは女王である。
しかも、
御存命で現職の女王である。
これまたすんごいものに挑戦したなぁ。
そして、主演女優賞総なめ、とどめにアカデミー賞も獲得である。挑戦は成功だったってことか。
同じ年に主演男優賞総なめのフォレスト・ウィテカー(@
「ラスト・キング・オブ・スコットランド」)はアグレッシブな演技で圧倒した。が、女王の役は静である。大きな感情の起伏を外に見せず、責務の重圧もぐっとこらえ、暴れたりしゃべり倒したりせず女王という存在を見るものに伝えるのである。
押さえた演技の中ににじむ迫力。ある意味、強烈な個性を撒き散らすキャサリン・ヘップバーンやレイ・チャールズの役のほうが簡単なのではないかと思ってしまう。
いいものを見せていただきました。この演技だけで
1つ追加である。
お話はダイアナ妃交通事故死を中心とする女王の葛藤の物語。折りしも革新を掲げるトニー・ブレアが首相になって、女王に「民衆が求める対応」を求める。
って聞くとどろどろ政治駆け引き人間ドラマみたいに思えるが…。
そっくりさんな感じの女王と首相に、当時のニュース映像で出まくるダイアナさんとか群集とか、ほとんど再現ドラマのよう。でも、これが意外とくさくならずに見れてしまった。
見終わって作者のいいたいことがまっすぐ伝わってきた。といっても、映画を見たrukkia自身の解釈でしかないのだが、この作品が描きたかったのは、「王として生きてく一人の人間の姿」ではなかったのかと。
難しい決断をしなければならない時に、彼女の側にいるのは頭の堅い旦那と日和見な息子、そして王室の権威体現を期待する母。結構みんな無責任な感じである(多分映画なのでわざと)。女王は誰も頼らず自分の責任において決断しなければならない。彼女の背負っているものは途方も無く大きい。
結局、首相のアドバイスを受け入れるわけだが、それは妥協とかそういうのではなく、「神と国民に奉仕する」という原点に戻って決断した結果なのではないかと思う。
彼女をそっとサポートする侍従長(?)のジャンヴリン卿(ロジャー・アラム)がよかった。
いくら苦しくても女王は人前で泣くこともできない。rukkiaは今でこそ涙腺崩壊しているが、蒼かった頃は「人前では絶対泣かない」主義だった。若くして女王となったエリザベスは、まだその時のままなのだ、きっと、なんて思ったり。
で、わんこと散歩したり、自らオフロード車を運転しちゃうとこなんか、結構かっこよかった。> エリザベス女王は運転できるんだ、へぇへぇへぇ
責任を負う潔さとアクティブさに脱帽で
2つ追加である(^^;
映画の中では当初王室に批判的なブレア首相が途中から女王ファンに鞍替えしちゃう。わかるよ、かっこいいよ、彼女。
配役の妙も感じた。映画の中ではいい人役のブレア首相はわりと似た感じのマイケル・シーン。当初、「いいのか、このやな役俳優が現職首相をやって」とか思ったけど、結果的によかったと思う。この人ならいい役でも決してかっこよくはならないところがミソ。
首相のブレーンのランポート(ティム・マクマラン)がちょっとかっこよかった。
映画の中ではへなちょこなチャールズ皇太子は似てない人がやっている。多分わざとだ(^^;
最後まで王室批判派で正論を吐く首相の妻(ヘレン・マックロリー)がやな感じ女優なのもきっとわざとだ(^^;;;;
萌え度:
好き度:人間ドラマにしては珍しく好きだった。やっぱ主人公がかっこよかったから > ミーハーです
鑑賞:劇場(2007.4)
原題:The Queen
監督:スティーヴン・フリアーズ
配役:ヘレン・ミレン(エリザベス2世)
マイケル・シーン(トニー・ブレア)
ロジャー・アラム(ロビン・ジャンヴリン卿)