いとゆうの読書日記

本の感想を中心に、日々の雑感、その他をつづります。

団塊の世代の戦後史  三浦展著

2007年09月12日 | その他
1947年から1949年までの3年間に日本では毎年270万人の子供が生まれました。この世代のことを人々は団塊の世代と呼んでいます。名付け親は堺屋太一氏だそうです。

 著者の三浦氏は1958年生まれ、この団塊の世代のことを目の上のたんこぶとはっきり言っています。私もまさにこの言葉には同感の世代です。ある時はあこがれ、ある時は嫌悪感を感じながらも、子供のころからずっと団塊の世代の人々の影響を受けながら生きてきたように思います。

 戦後の新しい日本で生まれ、新しい教育を受け、民主主義と個人主義と男女平等をたたき込まれたのに半分以上の人々は古い日本を引きずっていると著者は分析しています。新しい動きといってもかかわった人々の割合は必ずしも高くはなく、人口が他の世代と比べてとても多いので、全体から見ると一つの大きな潮流となって世の中を動かしてしまったようです。

 グループサウンズもフォークソングも団塊の世代の人々が関わったブームです。私たちの世代も多くは素直に受け入れてこのブームの中に溶け込んでいきました。

 大学紛争は今でも「あれはいったい何だったのだろう。」と感じています。1969年安田講堂陥落、東大紛争の行方を追う受験生を描いた庄司薫氏の「赤頭巾ちゃん気をつけて」が芥川賞を受賞。当時中学生だった私は、この小説を読んで理解できなかったことが多かったのですが、何かとても大きな時代の潮流のようなものを感じたことを覚えています。
 
 南こうせつとかぐや姫の大ヒット曲「神田川」も団塊の世代の何%かの人々が特別ではない普通のことにしてしまった価値観なのでしょうか。でも、実生活での団塊の世代の女性たちの多くについては三浦氏同様、私自身ももっと保守的で古い結婚観を持っていたように感じていました。
今の若者の方がもっと普通にこの歌の価値観を受け入れているように感じます。唯、あの歌の中の貧しさは受け入れられないかもしれませんが・・・。

 私の子供の世代はまた、団塊ジュニアの後追い世代。団塊ジュニアをやはり目の上のたんこぶだと思っているのかなと思うとなんだか複雑です。

フリーターやパラサイトシングル、ニートなどもまた団塊ジュニアが社会に出始めたころからさかんに言われた言葉です。そういう世代を育てたのが団塊の世代、著者はこのあたりも手厳しく断言しています。

定年を迎えた団塊の世代の人々がこれからどう生きていくか。それは私たち後追い世代がとても気にしていることかもしれません。


 さて、蛇足ですが今日は安倍首相の辞任表明でマスコミは大騒ぎです。何だかもう、タイミングの悪さにびっくり!今頃になってキレちゃったのかしら?安倍さんも私と同じで多かれ少なかれ団塊の世代の影響を受け続けた「団塊の世代が目の上のたんこぶ」の世代なのですが・・・。


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