最近ノンフィクションばかり読んでいましたので急に小説が読みたくなりました。
今回、初めて辻仁成さんの本を読みました。実は先日、境遇もちょっと似ていて趣味も共通の友人のひとりに辻さんの別の本を薦められて書店へ行ったところ、肝心の本はありませんでした。せっかくなのでこの際、辻さんの本を読んでみようと思い、これに決めました。1997年、今からちょうど10年前の芥川賞の受賞作です。
何だか不思議な新鮮さを感じる小説だなと思いました。でもちょっと灰汁が強いような印象も受けました。
唯、明暗はどちらにせよどんな完結を見られるか期待して読み進めたのに「あれっ?それだけなの?」という雰囲気で終了。なんだか尻切れとんぼみたいな気がして、もう一度最初の数ページを読み返したとき、なんとなく作者の意図が少しわかったような気がしました。
これは青函連絡船の客室係を辞め函館で刑務所の看守の職を得た主人公の話です。かつて主人公の私をいじめた同級生の少年が受刑者となって刑務所にやってくるところから始まります。
かつて優等生でクラスメートの人望も厚かった花井修は貧しくて地味で薄汚い私に周りの人間たちにはわからないような巧妙な手口で苦痛を与え続けました。
肉体を鍛え逞しい大人になった主人公の私と花井は、刑務所の看守と受刑者として立場が逆転します。
しかし、そこからの展開はまるで映画を見ているような感覚に陥ります。
海という大きな舞台を背景に主人公の葛藤は続きます。人間の普段は見たくない部分にまで踏み込む描写に力強さと若さを感じた小説でした。
今回、初めて辻仁成さんの本を読みました。実は先日、境遇もちょっと似ていて趣味も共通の友人のひとりに辻さんの別の本を薦められて書店へ行ったところ、肝心の本はありませんでした。せっかくなのでこの際、辻さんの本を読んでみようと思い、これに決めました。1997年、今からちょうど10年前の芥川賞の受賞作です。
何だか不思議な新鮮さを感じる小説だなと思いました。でもちょっと灰汁が強いような印象も受けました。
唯、明暗はどちらにせよどんな完結を見られるか期待して読み進めたのに「あれっ?それだけなの?」という雰囲気で終了。なんだか尻切れとんぼみたいな気がして、もう一度最初の数ページを読み返したとき、なんとなく作者の意図が少しわかったような気がしました。
これは青函連絡船の客室係を辞め函館で刑務所の看守の職を得た主人公の話です。かつて主人公の私をいじめた同級生の少年が受刑者となって刑務所にやってくるところから始まります。
かつて優等生でクラスメートの人望も厚かった花井修は貧しくて地味で薄汚い私に周りの人間たちにはわからないような巧妙な手口で苦痛を与え続けました。
肉体を鍛え逞しい大人になった主人公の私と花井は、刑務所の看守と受刑者として立場が逆転します。
しかし、そこからの展開はまるで映画を見ているような感覚に陥ります。
海という大きな舞台を背景に主人公の葛藤は続きます。人間の普段は見たくない部分にまで踏み込む描写に力強さと若さを感じた小説でした。