いとゆうの読書日記

本の感想を中心に、日々の雑感、その他をつづります。

私だけの仏教   あなただけの仏教入門  玄侑宗久 著

2014年12月10日 | その他
12月の上旬だというのに日本列島に厳しい寒波がやってきて、今まであまり聞いたことがない地域まで雪がたくさん降って驚いています。今年1月の関東を襲った大雪を思い出します。異常気象と言われていますが、夏の大雨と言い、台風の大きさと言い、何度も来るので、一体異常と呼ぶ基準はどこにあるのかさえわからなくなります。今盛んに言われている、地球温暖化、つまり二酸化炭素の排出量に関係があるのでしょうか?
 最近は科学の力で気象をコントロールする話まで持ち出されるようになりました。

でも、自然現象にどこまでも太刀打ちしようとすることは、なんだか人間のおごりではないかと思えでくるのですが・・・。

さて、今回はそんな科学の世界とは今となってはやや相反する宗教の話です。

私自身、非科学的なことはあまり信じない性質ですが、両親や義父の葬儀はすべて仏式で行いました。家族の中の暗黙の取り決めみたいなものに逆らう気はなかったので、義母と葬儀会館やお寺の和尚さんの指示に従って動きました。
ただ、これからは、義父の法事は私たちが中心になって取り行わなければなりません。お寺の和尚さんや仏具店の方々と接していくうちに私自身仏教に関してあまりに無知なこと実感しました。

とりあえず、もう少し勉強しておこう!そんな気持ちでいた時に偶然玄侑さんのこの本(電子ブックではなく、文庫本です。)に出会いました。玄侑さんの作品は以前このブログでも「中陰の花」を記事にしたことがありましたので、ちょっととっつきやすいかなという感覚でした。

<ヴァイキング式であなただけの仏教をみつけよう>という見出しに心が動きました。
「えっ!仏教を食べるの?まさか!」・・・「南無阿弥陀仏!」思わずそういいたくなるような・・・

ああそういえば、アメリカ人やカナダ人のキリスト教徒の人がなにかハプニングに見舞われるとよく「ジーザスクライスト!!」(キリストさま)と連発していたことを思い出しました。

何だか、念仏が急に身近に感じられるようになってきました。
宗教は多くの人にとってやっぱり心のよりどころなのでしょうか?

ここでは仏教の創始者釈尊(お釈迦様)に始まって、仏教の歴史が簡単に語られています。日本にたくさん宗派があるのもなるほどという感じです。

小さい頃から、「この世で悪いことをすると死後は地獄に落ちるよ。品行方正にしていれば
極楽浄土へいけるよ。」と聞かされてきました。一般民衆がこんな教えを信じて守ることができれば、世の中の秩序は保たれます。古今東西、根本的なことはあまり変わらず、他宗教でも似たようなことが言われてきました。でも、現実に生きる私たちは無数の煩悩に取り囲まれ、善いことだけして生きていくことはたいへん難しいことです。

僧とは清く正しく、戒律を守り、厳しい修行を重ねた大変な人徳者であるとある年齢までは信じでいました。
ところが、実際には玄侑さんも書かれているように結婚している和尚さんは多いし、お酒に強い和尚さんもたくさんいらっしゃいます。


<ありとある悪をば なさず 善なるを おこない そなえ
 みずからのこころを 浄む これぞ実(げ)に  諸々の仏の教え>

もともと何が善かと考え始めれば本質的には流動的なものであるので、時代によって変化するものもあります。人を殺したり、物を盗んだりしてはいけないというのはかなり普遍的なもので、誰にでもわかることです。これは「戒」の中に含まれます。その他いくつかの戒律について考えていくことで生命力の向かうべき方向性、やがて瞑想による精神統一「禅定」へ「禅定」の中で人は「智慧」を獲得します。

釈尊の死後、弟子たちによって仏教が広がっていく過程で枝分かれしてたくさんの宗派が出来、キリスト教なら聖書にまとめられるような経典が仏教では幾つもできてしまいました。今では膨大でありすぎるため、一冊で仏教がわかる本など到底ありえないってことでしょうか??

現在は主に十三の宗派があります。玄侑さんは日本の仏教は奇形であると言及されていますが、人間の歴史が為政者と民衆の善と悪のせめぎ合いであることを思えば、その時代の人々を救うためには時代に即した考え方が出現しても不思議ではありません。


仏教について無知な私にも概要についてはわかりやすく解説されているので、少しだけ切り開くことができたような気になりました。やはりこれは哲学のようなものでしょうか。これからもう少し、いろいろな宗派のことも勉強して全体像をつかんでから、我が家の宗派について学んでいこうと思っています。

私だけの仏教・・・それはみんなひとりひとり受け入れられるものも消化の仕方も違うってことですね。信心深いとは言えない私ですが、納得できる部分もいろいろ見えてきて、とりあえず写経するときの心構えも少し変わりそうです。


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