「りんぷうの会」 公式ブログ

会長:神田佳明(能楽写真家)
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山口鷺流の60年の歩みについて

2015年06月15日 | 能楽ニュース
狂言『末広がり』 山口鷺流狂言保存会 米本太郎


先月5/24に山口鷺流の記事をアップさせていただきましたところ
反響がとても大きく、早く続篇記事を~という
熱いご要望を多数頂戴しておりました

遅くなりまして申し訳ありません

冒頭写真は昨年の山口鷺流狂言保存会60周年記念公演の
舞台写真で撮影は、りんぷうの会の会員の寺田良子さんです

鷺流はかつて大蔵流・和泉流とともに狂言の三大流儀でしたが
明治期に急激に衰退してしまい、プロの流儀としては残念ながら滅亡しています

現在は、山口県と新潟県の佐渡、佐賀県の高志(たかし)で
奇跡的に伝承され地域で大切に受け継がれているとのこと


狂言『末広がり』 米本太郎 米本文明
撮影:寺田良子

ここで簡単に山口鷺流の歴史を解説させていただきます

長州藩狂言方の春日庄作(しゅんにちしょうさく1816-1897)が
実質的な元祖だそうです

庄作は明治期に山口の素人衆に狂言を教え門弟が大勢いたそうですが
大正期には庄作の直弟子が亡くなったり狂言から離れたりして衰退

昭和期に細々と受け継がれてはいたものの危機的状況だったそうです

昭和27年頃、技術保持者で現在も最長老としてご活躍中の小林栄治先生が
藤沢卯三郎とともに鷺流狂言を始めた時には
鷺流の伝承者が中西治郎・河野晴臣の二人のみ

昭和29年に山口鷺流狂言保存会が結成され
ここから現在に至るまでの山口鷺流の歩みが開始されたということです




今回、山口鷺流狂言保存会の記念冊子「五十年の歩み」「六十年の歩み」を
参考にさせていただきました

2冊とも非常に分かりやすくコンパクトにまとめられた冊子で
貴重な写真資料なども収録されており
大変おすすめです


狂言『蟹山伏』 岡村薫 升井洋至  撮影:寺田良子


60周年というと人間で言えば還暦に相当します

ここまで山口鷺流が奇跡的に存続しえたのは
春日庄作の時代から始まる先人の方々の努力と情熱の賜物、
現在の保存会の方々の並々ならぬ熱意と鍛錬、
それを継続してサポートし支えてきた地域の方々の理解と協力、
郷土愛や誇りがあってのことと思います

近年は小林栄治先生とともに
保存会の技術保持者で会の中心的な存在としてご活躍の米本文明(よねもと ぶんめい)さんが
新作狂言『狸騙』(たぬきだまし)を創作・発表されるなど
新しい挑戦も行われており、今後ますますのご活躍をと
衷心より願っております



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